カタログを「なんとなく」眺めているだけでは、現場で本当に使える製品を見落としています。
アロン化成株式会社は、塩化ビニル(塩ビ)製品を中心に、排水・給水・衛生設備向けの製品を幅広くカタログ展開しているメーカーです。桝(ます)とは、配管の途中に設ける点検・接続用のボックス状構造物で、建物の排水システムには欠かせない部材です。
カタログに掲載される桝の主な種類は以下の通りです。
アロン化成のカタログでは、これらを「呼び径」と「深さ(有効深)」で分類しています。呼び径は150・200・250・300mmが主流で、医療施設の規模や配管設計に応じて選定します。
カタログ上の寸法は「外径」と「内径」が混在しているため、実際の施工寸法と照合する際は必ずどちらの数値かを確認することが基本です。この確認を怠ると、現場で寸法が合わないトラブルに直結します。
医療施設では、一般建物とは異なる排水が発生します。消毒液・次亜塩素酸ナトリウム溶液・各種薬品を含む廃液が日常的に流れるため、桝の材質選定は特に重要です。
アロン化成のカタログに掲載される桝の主な材質は以下の2種類です。
次亜塩素酸ナトリウムに対しては、通常の塩ビ製品でも低濃度(200ppm以下)であれば問題ない場合が多いです。ただし、グルタラール系消毒剤(2%濃度以上)を日常的に流す環境では、塩ビの劣化が起こる可能性があるため注意が必要です。
これは意外ですね。医療現場では「塩ビ製品は耐薬品性が高い」という認識が浸透していますが、薬液の種類と濃度によっては適合しないケースもあるということです。
カタログの製品ページには「耐薬品性一覧表」が記載されていることがあります。発注前にアロン化成の技術サポート(フリーダイヤル)へ問い合わせ、使用環境を伝えた上で適合確認をとることが確実です。確認が条件です。
医療施設の設備担当者がアロンのカタログを見て桝を選定する際、最も多いミスは「呼び径だけで選んで深さ(有効深)を確認しない」ことです。
桝の有効深とは、インバート(底部の流れ溝)の上端から蓋下端までの距離を指します。配管の埋設深度によっては、有効深が不足して適切な勾配が取れないケースが生じます。
医療施設は増改築が頻繁に行われる傾向があり、既設配管の深度が図面と異なるケースも珍しくありません。現地で実測してからカタログの寸法表と照合するのが原則です。
また、アロン化成のカタログには「かさ上げ部材」や「延長スリーブ」などの付属品も掲載されています。本体だけでなく付属品のページまで確認することで、現場対応の選択肢が広がります。これは使えそうです。
発注の際は「製品型番+ロット単位」を必ずメモし、カタログのバージョン(改訂年)も控えておくと、後から仕様変更の有無を確認しやすくなります。
医療施設における排水設備の設置は、建築基準法・水道法・医療法の関連法令に基づく必要があります。桝の選定・設置はこれらの法令に適合した規格品を使うことが前提となります。
アロン化成の桝製品のうち、JIS規格(JISK6741など)に準拠したものはカタログ上に「JIS適合品」として明記されています。医療施設への導入においては、JIS適合品を選定することがリスク管理の観点から重要です。JIS適合品が原則です。
さらに、医療法第25条に基づく立入検査では、排水設備の維持管理状況が確認項目に含まれる場合があります。点検口(桝の蓋)が適切に管理されているか、汚水が漏れていないかは、年1回以上の目視点検が求められるケースがあります。
アロン化成のカタログには「点検・清掃のしやすさ」をうたった製品ラインナップも掲載されており、蓋の着脱が工具不要のワンタッチ式タイプも存在します。維持管理コストの削減を狙うなら、このタイプの製品をカタログから探してみてください。
アロン化成 製品情報ページ(公式)|桝・排水設備製品のカタログ確認はこちら
上記リンクでは、アロン化成の最新カタログPDFのダウンロードや製品型番の確認ができます。医療施設向けの選定に迷った際の一次情報として活用してください。
一般的な建設・設備の文脈でしか語られないアロンの桝ですが、医療廃棄物の「フロー設計」の観点から見直すと、新たな活用可能性があります。
医療施設では感染性廃棄物を含む廃液が発生し、専用の排水ルートを設計する必要がある場合があります。このとき「どの系統の排水がどこを流れているか」を明確にするために、系統ごとに桝を配置し、点検口として機能させる設計が有効です。
アロンのカタログには、異径・異方向の配管を接続できる「合流桝」や「90°曲がり桝」も掲載されています。複数の排水系統を一か所で管理・点検できるように設計することで、万が一の汚染漏洩時に隔離対応が迅速に行えます。
この設計思想は「HCWH(Health Care Without Harm)」が提唱する医療施設の環境配慮型廃棄物管理にも通じます。系統分離を桝の配置で実現するというアプローチは、カタログの活用幅を大きく広げます。
桝1個の単価は製品・サイズによりますが、アロン化成の標準的な塩ビ桝(呼び径200mm、有効深300mm)は定価ベースで3,000〜8,000円程度の範囲が多いです。系統分離のための追加コストとしては現実的な水準です。
厚生労働省:医療施設の構造設備・管理に関する基準|医療法に基づく排水管理の根拠確認に
上記は医療施設の設備管理に関わる法令の根拠確認に活用できます。桝の設置・管理が法的にどのような位置づけにあるかを把握する際に参照してください。