ADLが満点でもQOLが低いケースは約7割も存在します。
リハビリテーションでQOLを測定する際、評価尺度の選択が結果の解釈を大きく左右します。健康関連QOLには包括的尺度と疾患特異的尺度という2つの大きな分類があり、それぞれに長所と短所があるため使用場面を見極める必要があります。 co-medical.mynavi(https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/workstyle/pt_column/3347/)
包括的尺度は測定対象を特定の疾患患者に限定せず、健康な人を対象にしても利用可能です。代表的なものにSF-36とEQ-5Dがあり、健康な人と比較できる点が最大の特徴です。SF-36は身体機能、日常役割機能(身体・精神)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、心の健康という8つの健康概念を36問で測定します。つまり多次元評価が可能です。 rehab(https://rehab.cloud/mag/3506/)
一方で疾患特異的尺度は特定の疾患に焦点を当てた評価です。例えばWOMACは関節疾患に特化しており、「痛み」5項目、「こわばり」2項目、「身体機能」17項目の全24項目で構成されています。尺度得点が高いほど痛みや困難の程度が強いことを示し、ガイドラインでも広く使用されていますが、日本語版がない点がデメリットです。 co-medical.mynavi(https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/workstyle/pt_column/3347/)
疾患に応じた尺度選択も重要な視点です。腰痛であればRDQ(Roland-Morris Disability Questionnaire)、膝関節症であればJKOM(Japanese Knee Osteoarthritis Measure)、上肢であればQuick DASHといった疾患別評価を用いることで、より正確な能力障害の評価とアプローチが可能になります。 1post(https://1post.jp/2284)
効用値尺度とプロファイル型尺度の違いも押さえておきましょう。効用値尺度は複数領域を1つにまとめた点数(効用値)を算出できるのに対し、プロファイル型尺度はQOLに含まれるさまざまな領域を多次元のまま表現します。選好に基づく効用値尺度では領域ごとに重み付けがなされるため、医療経済評価などで活用されます。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1552200661)
リハビリテーションには「プラン(計画)」と「アウトカム(成果)」の2つが必要不可欠ですが、アウトカムは見えづらくなりがちです。ここでQOL評価が重要な役割を果たします。リハビリ前後によって生活や能力の改善がみられたかがQOL評価によって可視化されるからです。QOL評価は本人の主観的な回答によって点数化されます。 nextsteps(https://nextsteps.jp/houmonreha/post/65/)
「自分の生活や能力が改善した」「幸福や充実を感じた」といった主観がQOLの点数を上げます。これは臨床的アウトカム(筋力やADLの得点など)とは異なる視点です。臨床的アウトカムは数値に表しやすく客観的指標ですが、患者の主観的な満足度や充実感を捉えるにはQOL評価が適しています。 nextsteps(https://nextsteps.jp/houmonreha/post/65/)
興味深いことに、ADLは満点であってもQOLが満点であることは少ないという研究結果があります。リハビリテーション前後でQOLとADLともに向上しますが、ADL評価だけでは患者の生活の質を完全には把握できないということですね。 seirei.ac(https://www.seirei.ac.jp/digital/seirei_cu_vol12_book/pageindices/index5.html)
アウトカムの可視化には複数のメリットがあります。利用者やケアマネジャーに対して自立支援の成果を伝える営業資料として活用でき、算定率アップにつながります。また、利用者本人に対してアウトカムの維持改善を示すことでリハビリ効果を実感してもらい、利用日数を増やすモチベーションにつながる点も見逃せません。ADLや身体機能などの評価を推移やグラフで分かりやすく可視化することで、新規算定や算定継続の重要性を示し同意が得やすくなるでしょう。 rehab(https://rehab.cloud/solution/outcome-report/)
QOL評価は患者の価値観(生の満足感、充実感、自己実現度など)を優先させた評価方法として用いられますが、この評価方法は気分的・主観的であり信頼性に問題があるとの指摘もあります。効用値で病者や障害者のQOL状況を測定したところで、多数派のQOL観から見た測定にしかならないという批判的な視点も存在します。 ritsumei.repo.nii.ac(https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/record/4250/files/GL21p133-145.pdf)
病や障害を得た人のQOLの数値は、多数派の能力主義的なQOL観が基準となって低い値となりやすい傾向があります。これはQOL評価の落とし穴です。リハビリテーションは対象者自身の生活能力を高めていくことに主眼が置かれていますが、評価尺度自体が持つバイアスを理解しておく必要があります。 arsvi(http://www.arsvi.com/2010/1103ta.htm)
信頼性の観点からも尺度選択は重要です。WOMACおよびSF-36スケールでは内部一貫性の信頼性が高かったのに対し、EQ-5Dでは低いという研究結果があります。ただし、無症性緩和のために行われた初期修正股関節関節症の患者では、WOMAC、SF-36、およびEQ-5Dが患者報告の結果を測定する際に高い反応性を示したとも報告されています。反応性が高いということですね。 bibgraph.hpcr(https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/24479622)
痛みのための単純なVAS(visual analog scale)も等しく優れた評価を示すことが分かっています。WOMAC痛の効果サイズは1.7、SF-36の痛みは1.4、WOMACの物理関数は1.6、SF-36の物理関数は0.8、EQ-5Dインデックスは1.2でした。効果サイズ0.8以上が大きいと見なされるため、いずれも十分な反応性を持っています。 pubmed.ncbi.nlm.nih(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24479622/)
「リハビリテーション=機能訓練」という誤解が広まっていますが、これは大きな間違いです。リハビリテーションが生まれた当初はその人の生活や人生を再建したり良くするという意味でしたが、いつの間にか医学的リハビリテーション(病院や診療所などの医療機関で行う理学療法や作業療法など)という役割が先行したためこの誤解が広まってしまいました。 minnanokaigo(https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/home-care/no161/)
リハビリテーションとは「全人間的復権(人間らしく生きる権利の回復)」と訳されています。QOLが「人間らしい生活を送ることができているのか」を見るならば、「QOLを高めること=リハビリテーション」とも言えます。これが本質です。 minnanokaigo(https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/home-care/no161/)
機能訓練をしたらご本人の最終的な目的を達成できるわけでもなく、あくまでリハビリテーションの中の1つの手段にすぎません。対象者の機能を回復したり生活を再建したりすることが目的であり、介護ではその方の出来ない事を手助けするのに対し、リハビリテーションは対象者自身の生活能力を高めていくことに主眼が置かれています。 arsvi(http://www.arsvi.com/2010/1103ta.htm)
QOL評価を実際の臨床現場で活用するには、評価タイミングの設定が重要です。リハビリ前後の変化を捉えるためには、初回評価時と一定期間後(例えば2年後や退院時)に同じ尺度を用いて測定する必要があります。術前スコアと比較して統計的に有意な改善が見られるかを確認することで、介入効果を客観的に示せます。 bibgraph.hpcr(https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/24479622)
MCID(臨床的に意味のある最小変化)を基準にすることで、「本当に良くなったのか」をより客観的に判断できます。個々の患者さんの治療効果を評価する際、単に数値が変化しただけでなく臨床的に意味のある変化があったかを見極めることが大切です。これは質の高い評価につながります。 note(https://note.com/kuro_hakos/n/n28bc35f9e37e)
複数の評価尺度を組み合わせる戦略も効果的です。包括的尺度で全体的な健康状態を把握しつつ、疾患特異的尺度で詳細な症状変化を捉えることで、多角的な評価が可能になります。患者の視点に立脚した健康度を包括的尺度で測定し、疾患特異的な症状については特異的尺度で評価するという使い分けが推奨されます。 doui(http://www.doui.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entryname=medical_report&entryid=00015&fileid=00000030&%2FSIHYO0971.pdf&disp=inline)
QOL評価を患者や家族、ケアマネジャーへの説明資料として活用する際は、グラフや推移表を用いた可視化が効果的です。数値だけでなく視覚的に理解しやすい形で提示することで、リハビリの成果を実感してもらいやすくなります。自立支援の成果を伝える営業資料としても活用でき、サービス継続のモチベーション向上に貢献します。 rehab(https://rehab.cloud/solution/outcome-report/)