疑い病名だけでRASTを算定すると、診療報酬が全額査定されます。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
RAST(Radio Allergo Sorbent Test)は現在、「特異的IgE半定量・定量検査」として保険収載されており、臨床現場では単に「特異的IgE検査」と呼ばれることが大半です。 アレルゲンに対する特異的IgE抗体量を血液中で測定し、どの物質に感作しているかを特定するために用いられます。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
診療報酬上の点数は、1アレルゲン(1項目)あたり110点です。 1点10円で計算すると1項目=1,100円(10割)、3割負担の患者であれば窓口負担は約330円となります。 これが基本です。 soujinkai.or(https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/allergy-test-cost/)
ただし、患者から1回に採取した血液を使用した場合の算定上限は1,430点(13項目分)と定められています。 たとえばVIEW39のように39項目を一度に測定した場合でも、保険請求できる上限は1,430点のままです。 39項目をRASTで個別算定しようとすれば自費換算で約15,000円になりますが、保険の算定枠は変わりません。 つまり多く測るほど、医療機関側の持ち出しが増える構造です。 soujinkai.or(https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/view39-rast/)
コスト面を把握することは大切なポイントです。
別途、免疫学的検査判断料が月1回144点加算されます。 初診料・再診料、処方箋発行料なども加算されるため、患者の総窓口負担は3割負担で5,000〜7,000円程度が実態です。 自費診療で同等の検査を行う場合は17,000〜24,000円程度になることが多く、保険診療の経済的メリットは非常に大きいと言えます。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
| 検査種別 | 測定項目数 | 3割負担の費用目安(検査料のみ) |
|---|---|---|
| RAST(1項目) | 1項目 | 約330円 |
| RAST(13項目・上限) | 13項目 | 約4,300円 |
| VIEW39・MAST36/48 | 36〜39項目 | 約4,300円(点数上限同じ) |
| 自費(IgG 219項目など) | 219項目 | 30,000〜55,000円(全額自己負担) |
2024年度診療報酬改定における特異的IgE検査の点数・算定要件の詳細については、以下を参照してください。
RAST検査が保険適用となるためには、医師がアレルギー疾患を疑う明確な症状を診察し、診断・治療を目的として検査を指示することが前提となります。 単に「アレルギーが心配」という状況では不十分です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
さらに重要なのがレセプトの病名記載です。
「アレルギー性鼻炎の疑い」「食物アレルギーの疑い」などの疑い病名では、特異的IgE検査の診療報酬算定は認められません。 アレルギー性鼻炎・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・蕁麻疹などの確定病名をレセプトに記載することが必須です。 確定病名がない状態で算定を続けると、審査支払機関による査定・返戻の対象となります。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
これは算定上の必須要件です。
また、見落とされがちな注意点がもう一つあります。小児科外来診療料(いわゆるマルメ算定)を採用している施設では、6歳未満の患者については検査費用が包括されるため、特異的IgE費用を別途算定できません。 小児科外来診療料の再診点数は410点(約4,100円)であり、13項目のRASTを実施すれば完全に赤字になります。 こうした施設では、6歳未満患者への検査項目を医学的に厳選する必要があります。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
請求担当者と医師が連携して病名を正確に記載しているか、定期的な確認が欠かせません。
RAST(特異的IgE)検査が適用となる疾患は多岐にわたります。 代表的なものは、アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・蕁麻疹です。どの検査方法を選ぶかも重要です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
RAST(個別項目検査)は、病歴や症状から特定のアレルゲンが絞り込める場合に有効です。 たとえばそば摂取後にアナフィラキシー症状が出た患者であれば、そば・甲殻類・果物などに絞って検査を依頼することが合理的です。 13項目以内に収まるため、保険算定の上限も気にせず対応できます。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
これは使えそうです。
一方、VIEW39やMASTシリーズは、スクリーニングを目的として1回採血で多数のアレルゲンを網羅したい場合に使われます。 測定項目数は36〜48項目と多いものの、保険点数の算定上限はRASTと同じく1,430点です。 VIEW39を3割負担で実施した場合の自己負担は検査料のみで約4,300円程度となり、RASTで13項目個別検査した場合とほぼ同等の負担です。 lino(https://lino.clinic/column_skin/61362)
ただし、VIEW39やMASTは検査できる項目が固定されています。 「特定の食品アレルゲンを個別確認したい」「職業性アレルゲンを追加したい」などの場面では、RAST個別選択の方が柔軟に対応できます。 shibuya-naika.wellnest-clinic(https://shibuya-naika.wellnest-clinic.jp/shibuya_exa_allergie/)
| 検査方法 | 測定項目数 | 項目選択 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| RAST(個別) | 1〜13項目 | 自由選択(180種類以上から) | 被疑アレルゲンが絞り込める場合 |
| VIEW39 | 39項目(固定) | 固定 | 初回スクリーニング・被疑不明な場合 |
| MAST36/48mix | 36〜48項目(固定) | 固定 | 吸入・食物を幅広く調べたい場合 |
食物アレルギー研究会|各種検査の特徴と適応(抗原特異的IgE抗体検査の解説)
RAST検査の結果はクラス0〜6の7段階で判定されます。 クラス2以上が「陽性」とされますが、ここで注意が必要です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
クラスが高い=必ず症状が出る、という意味ではありません。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
食物アレルギーにおける特異的IgE検査の感度は70〜90%程度、特異度は60〜85%程度とされています。 特に小児の食物アレルギーでは、IgEが陽性でも実際には食べても症状が出ない「感作あり・発症なし」の状態が相当数存在します。 特異的IgE抗体陽性は「感作されている状態」を示すものであり、アレルギー発症の確定診断ではないのです。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
逆に、数値が低くても症状が出るケースもあります。
したがって、検査値のみをもとに患者へ食事制限を指示することには慎重でなければなりません。 不必要な食物除去は患者のQOLを損ない、成長期の小児では栄養偏向につながる恐れがあります。 確定診断が必要な場合には、食物経口負荷試験(OFC)などの追加検査が必要です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
一方、吸入系アレルゲン(ダニ・ハウスダスト・花粉・カビなど)については、特異的IgE検査と臨床症状の一致率が比較的高く、診断補助としての信頼性はより高いとされています。 食物系と吸入系では解釈の重みが異なります。これだけ覚えておけばOKです。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
日本アレルギー学会|血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起(学会公式見解)
RAST検査で原因アレルゲンが特定できたあと、治療をどう選択するかが医療従事者にとっての次の課題です。 治療の選択肢は大きく「対症療法」と「根本治療(アレルゲン免疫療法)」に分かれます。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
対症療法は即効性がある点が強みです。
抗ヒスタミン薬・点鼻薬・点眼薬などによる薬物療法は、くしゃみ・鼻水・皮膚のかゆみを速やかに抑えます。 ただし、薬の効果が切れれば症状は再燃します。 薬物療法単独では根本解決にはなりません。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
これに対し、アレルゲン免疫療法(特に舌下免疫療法)は、スギ花粉症・ダニアレルギーを中心に根本的な体質改善を目指せる唯一の治療法です。 スギ・ダニの舌下免疫療法は健康保険適用で実施でき、3〜5年の継続が推奨されます。 成人でも約80%の患者で症状改善が報告されており、治療終了後も効果が持続するケースが多い点が特徴です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
費用の面でも合理的です。
仮にスギ花粉症の患者が対症療法を年間15,000円のペースで40年継続した場合、生涯の医療費は60万円に達します。 東京ドームのグラウンド面積(約13,000㎡)を埋めるほどの長い時間軸で考えると、この差は非常に大きい。これに対し舌下免疫療法を5年間(年間約25,000円)実施した場合の合計は約12.5万円であり、その後の対症療法費用を大幅に減らせる可能性があります。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
またRASTで吸入系アレルゲンの感作が確認された患者には、日常生活でのアレルゲン回避指導も重要です。ダニ・ハウスダストであれば週1回以上の掃除機がけ(1㎡あたり約20秒以上)、防ダニカバーの使用、室内湿度50%以下の維持などが基本対策です。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
検査結果を活かした指導まで行って初めて、RAST検査の価値は最大化されます。 「IgEが高いですね」で終わらせず、原因→回避策→治療選択のセットで患者に提示することが、質の高いアレルギー診療につながります。 med.augarten-japan(https://med.augarten-japan.com/rastkensahiyoutukenwotadashikushiru.html)
日本アレルギー学会|アレルギー疾患の手引き改訂版 —アレルゲン免疫療法・診療全般の標準的指針