アゾール系抗真菌薬は深在性真菌症の治療において中心的な役割を果たしていますが、多くの薬剤との相互作用により重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、併用禁忌薬の理解が極めて重要です。これらの薬剤はチトクロームP450(CYP)、特にCYP3A4を阻害することで、併用薬の代謝に影響を与え、血中濃度を上昇させます。医療従事者は処方前に必ず患者の服用薬を確認し、禁忌薬との併用を避ける必要があります。medicalcommunity+2
カルシウム拮抗薬、特にアゼルニジピン(カルブロック)とアゾール系抗真菌薬の併用は重大な相互作用を引き起こします。イトラコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾールの6種類が併用禁忌に指定されています。イトラコナゾールとアゼルニジピン8mgの併用では、アゼルニジピンのAUC(血中濃度曲線下面積)が2.8倍に上昇することが報告されています。さらに強力なCYP3A阻害作用を持つポサコナゾールとの併用では、生理学的薬物速度論モデルの解析により、AUCが約5倍に増加すると予測され、血圧低下や浮腫などの副作用発現が懸念されます。mhlw+3
この相互作用の機序は、アゾール系抗真菌薬がCYP3A4を阻害することで、主にCYP3A4で代謝されるカルシウム拮抗薬のクリアランスが低下するためです。臨床現場では、特に爪白癬などで皮膚科を受診した際にイトラコナゾール(イトリゾール)が処方されることがあり、既にカルシウム拮抗薬を服用している高血圧患者では注意が必要です。他のカルシウム拮抗薬では併用注意扱いですが、アゼルニジピンでのみ併用禁忌となっている点も重要です。sokuyaku+1
2016年10月18日より、アゾール系抗真菌薬ミコナゾール(フロリードゲル経口用、フロリードF注)とワルファリンカリウムが併用禁忌となりました。ワルファリンは薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)で代謝される性質があり、アゾール系抗真菌薬はCYP代謝を阻害するため、併用するとワルファリンの抗凝固作用が強く出てしまい、重篤な出血等の副作用が生じます。平成25年度以降で41例の重篤な出血関連症例が集積しており、頻回な抗凝固作用のモニタリングを実施してもなお重篤な出血が生じた症例も含まれていたため、併用禁忌への変更が決定されました。closedi+2
ミコナゾールがワルファリンの代謝酵素であるチトクロームP-450を阻害することにより、ワルファリンの作用が増強し、重篤な出血あるいは著しいINR(プロトロンビン時間国際標準比)上昇があらわれることがあります。さらに併用中止後も、ワルファリンの作用が遷延し重篤な出血を来したとの報告もあります。ミコナゾール以外のアゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾールなど)については、推定使用患者数に対する報告数は限られるものの著しいPT-INRの上昇がみられている症例があることから、併用注意として慎重投与が求められています。japal+1
口腔カンジダ症の治療でフロリードゲルを使用する際には、患者がワルファリンを服用していないか事前に確認することが必須です。academy.doctorbook
直接経口抗凝固薬(DOAC)とアゾール系抗真菌薬の併用についても重要な相互作用が存在します。ダビガトランはイトラコナゾール経口剤との併用が禁忌であり、リバーロキサバンはアゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール)の経口または注射剤との併用が禁忌となっています。一方、アピキサバンとエドキサバンではイトラコナゾール併用は禁忌ではなく「併用注意」扱いとなっており、DOACの種類によって扱いが異なります。mixonline+3
DOACはP-糖タンパク(P-gp)とCYP3A4の代謝を受けるため、それらを阻害する薬剤の併用はDOACの作用を増強させ、出血リスクを増加させることが知られています。実臨床での後ろ向き研究では、フルコナゾールとDOACの併用は単剤で用いた場合に比べ大出血リスクを有意に高めることが報告されています。アゾール系抗真菌薬はリバーロキサバンの血中濃度を大幅に上昇させ、CYP3A4での代謝を遅延させることで出血リスクを増加させます。nms+1
DOACを長期内服している患者にアゾール系抗真菌薬を処方する際には、各DOACの禁忌項目を確認し、必要に応じて抗真菌薬の変更や代替治療を検討することが重要です。note
アゾール系抗真菌薬による相互作用の主な機序は、肝代謝酵素CYP3A4の強力な阻害です。アゾール系薬剤は、真菌のチトクロームP450(CYP)酵素を阻害することで抗真菌作用を発揮しますが、ヒトのCYPにも影響を与えてしまいます。特にCYP3A4はヒトの薬物代謝において最も重要な酵素であり、多くの医薬品の代謝に関与しています。イトラコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬は、トリアゾール窒素を介してCYP3A4のヘム鉄と配位結合することで、酵素活性を強力に阻害します。webview.isho+4
研究データによると、イトラコナゾールのCYP3A4阻害活性はケトコナゾールと同程度であることが報告されており、CYP3A4基質に対する阻害効果は数多くの臨床試験で検証されています。この阻害作用により、CYP3A4で代謝される併用薬のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇します。併用薬の種類によっては、血中濃度の上昇が2~5倍に達することもあり、予期せぬ重篤な副作用を引き起こす可能性があります。yakushi.pharm+2
アゾール系抗真菌薬を処方する際には、CYP3A4で代謝される薬剤との併用を避けるか、併用する場合は血中濃度のモニタリングと用量調整が必要です。jstage.jst+1
アゾール系抗真菌薬を使用する際の臨床的リスク管理では、処方前の薬歴チェックが最も重要です。新たに他の薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分観察し、慎重に投与する必要があります。特に高齢者では複数の疾患により多剤併用(ポリファーマシー)となっているケースが多く、アゾール系抗真菌薬を追加処方する際には注意が必要です。jstage.jst+2
アゾール系抗真菌薬は併用禁忌・併用注意の薬剤が多いため、処方前に以下の薬剤クラスを服用していないか確認すべきです:カルシウム拮抗薬(特にアゼルニジピン)、抗凝固薬(ワルファリン、DOAC)、HIVプロテアーゼ阻害剤、免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)などです。併用が避けられない場合は、併用薬の減量、投与間隔の延長、または代替薬への変更を検討します。pins.japic+3
薬歴管理システムを活用し、相互作用チェック機能を使用することで、処方段階での併用禁忌薬の見落としを防ぐことができます。患者への服薬指導では、他科受診時や市販薬購入時にアゾール系抗真菌薬を服用していることを必ず伝えるよう指導することが重要です。sokuyaku+1
参考リンク(厚生労働省による使用上の注意改訂指示):
ワルファリンカリウム及びアゾール系抗真菌剤の併用禁忌に関する公式通知文書です。医療従事者向けに相互作用の機序と臨床的注意点が詳細に記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000185533.pdf
参考リンク(PMDAによるアゼルニジピンとアゾール系抗真菌薬の併用禁忌情報):
カルシウム拮抗薬とアゾール系抗真菌薬の相互作用に関する薬物動態データと併用禁忌への改訂経緯が記載されています。
https://www.pmda.go.jp/files/000270271.pdf

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