エナルモンデポーの投与により、肝機能検査値の異常が頻度不明で報告されています。テストステロン補充療法では肝機能障害が重要な副作用として位置づけられており、適切な監視体制の確立が必要です。
肝機能検査値異常の発現機序として、テストステロンの肝代謝過程での負荷増大が考えられます。特に蛋白同化・男性ホルモン剤を長期大量投与された患者において、肝腫瘍の発生報告もあることから、定期的な肝機能モニタリングは必須です。
対策として、以下の項目を重点的に監視する必要があります。
投与開始後は3-6ヶ月間隔での血液検査を実施し、異常値が認められた場合は減量または投与中止を検討します。
多血症はエナルモンデポー投与における主要な副作用の一つです。テストステロンの赤血球増加作用により、血液粘度の上昇と循環器系への負荷が懸念されます。
多血症の発現メカニズムとして、テストステロンが骨髄における赤血球産生を促進し、エリスロポエチンの分泌を増加させることが関与しています。これにより、ヘモグロビン値とヘマトクリット値の上昇が生じます。
モニタリング項目。
治療開始前と投与中の定期的な血液検査により、早期発見と適切な対応が可能となります。重度の多血症が認められた場合は、瀉血療法や投与量の調整を検討します。
長期大量投与により、精巣萎縮・精子減少・精液減少等の精巣機能抑制が報告されています。これは外因性テストステロン投与による内因性テストステロン産生の抑制機序によるものです。
視床下部-下垂体-性腺軸(HPG軸)の負のフィードバック機構により、外因性テストステロンの投与は内因性のLH(黄体化ホルモン)およびFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を抑制します。これにより、精巣における精子形成能および内因性テストステロン産生能が低下します。
特に注意すべき点。
将来子どもを希望する患者には事前の十分な説明と同意が必要であり、必要に応じて精子保存等の対策を検討します。
女性患者への投与では、男性化症状として回復しがたい嗄声・多毛、ざ瘡、色素沈着、月経異常、陰核肥大、性欲亢進等が報告されています。これらの副作用は一部が不可逆性であることから、特に慎重な観察が必要です。
嗄声(声の変化)は最も注意すべき副作用で、一度発現すると回復が困難な場合が多く、投与前に患者への十分な説明と同意取得が必須です。多毛症状も同様に不可逆性の変化として現れることがあります。
女性患者への投与時の注意点。
月経異常や性機能への影響についても、患者のQOLに大きく関わるため、継続的なフォローアップが重要です。
筋肉内注射による局所副作用として、注射部位の疼痛・硬結が報告されています。これらの症状は適切な注射手技により予防可能な場合が多く、医療従事者の技術向上が重要です。
投与部位副作用の予防策。
注射時の注意事項として、針刺入時に激痛や血液逆流を認めた場合は直ちに針を抜き、部位を変更して再注射を行います。特に乳児・幼児・小児への投与では、組織への影響を最小限にするための細心の注意が必要です。
KEGGデータベースにおけるエナルモンデポーの詳細な副作用情報と安全性データ
硬結の発現を最小限にするため、注射後の適切な圧迫止血と患者への注意事項の説明も重要な要素です。投与量や注射間隔の調整により、局所反応の軽減を図ることも可能です。