エルゴステロールは菌類の細胞膜を構成する主要なステロールであり、分子式C₂₈H₄₄Oの脂溶性物質です。キノコ類に豊富に含まれるエルゴステロールは、プロビタミンD2として機能し、紫外線照射によってビオステロールを経てエルゴカルシフェロール(ビタミンD2)に変換されます。この変換により、キノコの乾燥品では100g当たりのビタミンD2含量が、日光照射により通常の20μg以下から大幅に増加することが確認されています。yamaguchi-kinokoen+2
ビタミンD2は腸管でのカルシウム吸収を促進し、血液中のカルシウムを骨まで運搬して骨への沈着を助ける重要な役割を担います。特に高齢者や閉経後女性では、皮膚でのビタミンD産生能力が低下するため、食事からの十分な摂取が骨粗鬆症予防に不可欠です。骨粗鬆症患者における複数の臨床研究では、ビタミンD補給が骨折リスクの低減に寄与することが示されており、エルゴステロールを含む食品の摂取は骨の健康維持において重要な位置を占めます。taisho-kenko+4
健康長寿ネット「ビタミンDの働きと1日の摂取量」では、エルゴステロールから変換されるビタミンD2の生理活性と推奨摂取量について詳しく解説されています。
エルゴステロールおよびその誘導体であるエルゴステロールパーオキサイドは、顕著な抗腫瘍効果を示すことが複数の研究で明らかになっています。東北大学との共同研究では、エルゴステロール誘導体が腫瘍細胞に対してアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導する作用が確認されました。特筆すべきは、シスプラチンなどの従来の抗がん剤が効きにくい肺がん細胞に対しても高い感受性を示した点です。agaricus-med+1
エルゴステロールパーオキサイドをHL60白血病細胞に添加した実験では、濃度25μMで48時間後、50μMで24時間後にがん細胞をほぼ完全に死滅させる効果が観察されました。この過程では、アポトーシス特有のクロマチン凝集、核の断片化、DNAのヌクレオソーム単位での断片化といった特徴的な変化が確認されています。最近の研究では、エルゴステロールが大腸がんに対する抗がん作用を示すことも報告されており、動物実験モデルにおいて腫瘍負荷と体積を有意に減少させることが確認されています。pref.fukushima+2
農研機構の研究報告「きのこステロール化合物のがん抑制効果」では、エルゴステロールの大腸がん細胞増殖抑制効果のメカニズムについて詳細な解析が行われています。
さらに、エルゴステロールパーオキサイドの新規誘導体は、グルタミナーゼ1(GLS1)阻害剤としての活性も示しており、トリプルネガティブ乳がんに対する治療薬候補として期待されています。これらの多面的な抗腫瘍効果は、エルゴステロールが次世代のがん治療における重要な天然化合物である可能性を示唆しています。pmc.ncbi.nlm.nih+2
エルゴステロールは顕著な抗酸化特性を有しており、酸化ストレスに対する細胞保護効果を発揮します。酵母を用いた研究では、エルゴステロールが酸化的障害に対する抵抗性を高めることが、in vivo、in vitro、in silicoの各アプローチで実証されています。特に後期分岐真菌が酸化的摂動を受けやすい界面生息地に適応する過程で、エルゴステロールを蓄積することは、その抗酸化機能が環境適応に重要な役割を果たしていることを示唆します。pmc.ncbi.nlm.nih+1
シイタケ由来のエルゴステロールを用いた抗酸化ストレス作用の評価では、細胞に障害を及ぼさない濃度で効果的に活性酸素種の暴露による罹患率の高い肺がんの予防に寄与する可能性が報告されています。また、エルゴステロールを含むフィトステロール類は、LPS誘導性のRAW264.7マクロファージにおいて、貪食作用の抑制、一酸化窒素(NO)産生の減少、TNF-α放出の抑制、COX-2の発現と活性の低下といった抗炎症効果を示すことが確認されています。pmc.ncbi.nlm.nih+1
これらの抗酸化・抗炎症作用は、ERK経路を介して媒介されることが示唆されており、エルゴステロールの構造特性が炎症反応の制御において重要な役割を果たしています。agriknowledge.affrc+1
エルゴステロールは菌類の細胞膜に存在し、動物細胞におけるコレステロールと同様の役割を果たして膜の流動性と透過性を調節します。この菌類特異的な性質は、抗真菌薬開発における重要な標的となっています。エルゴステロール生合成阻害剤(EBI剤)は、エルゴステロールの合成経路を阻害することで、菌糸の正常な伸長を妨げ、結果として殺菌作用を発揮します。u-tokyo+3
アゾール系抗真菌剤は、エルゴステロール合成経路における重要な酵素を特異的に阻害し、真菌に対して優れた活性を示します。医療用途では、オキシコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾールなどが白癬菌治療薬として使用されています。一方、ポリエン系抗真菌剤であるアムホテリシンBは、エルゴステロールに直接結合して細胞膜を破壊し、殺菌作用を発揮する古典的な深在性真菌症治療薬です。engineer-education+3
住友ファーマの医療関係者向け情報「抗真菌薬の作用メカニズムとその効果」では、エルゴステロールを標的とした各種抗真菌薬の作用機序について包括的に説明されています。
エルゴステロール合成酵素であるErg8pやErg27pなどは人と真菌で構造的差異が大きいため、新規抗真菌薬開発の有望な標的として研究が進められています。これらの研究は、薬剤耐性真菌感染症に対する新たな治療戦略の構築に貢献することが期待されています。hoku-iryo-u+2
エルゴステロールは免疫学的に活性な脂質として、パイロトーシス(炎症性細胞死)を誘導する能力を持ち、宿主免疫応答において重要な役割を果たすことが近年の研究で明らかになっています。この免疫調節作用は、真菌感染に対する生体防御機構の一部として機能しており、エルゴステロールを認識する免疫系の応答が感染制御に寄与している可能性が示唆されています。pmc.ncbi.nlm.nih
過敏性腸症候群(IBS)モデルを用いた研究では、エルゴステロールがIBS症状を緩和する効果を持つことが特定されました。具体的には、腸管運動機能の正常化、内臓痛の軽減、大腸の炎症抑制、腸管バリア機能の改善といった多面的な効果が観察されており、これらは腸内微生物-代謝物経路を介して媒介されると考えられています。academia.carenet
キノコ類に含まれるβ-グルカンやエルゴステロールなどの成分は、相乗的に免疫機能を調節し、マクロファージの活性化を通じて感染防御や抗腫瘍免疫を増強することが知られています。これらの免疫調節作用は、エルゴステロールが単なる栄養素にとどまらず、機能性食品成分としての医療応用可能性を有することを示しています。fukushima-eiyoushikai+3
マクロファージ研究の専門サイト「免疫力アップにはきのこがいい?」では、エルゴステロールを含むキノコ成分の免疫調節メカニズムについて詳しく解説されています。
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