2時間おきの体位変換には、科学的根拠がありません。
褥瘡予防のスキンケアは、皮膚バリア機能を守ることが最大の目的です。皮膚の角質層は、静菌作用・緩衝作用・水分保持の3つの機能で皮膚を外力から守っています。この3つのバランスが崩れると、わずかな圧迫や摩擦でも褥瘡が発生しやすくなります。 jaog.or(https://www.jaog.or.jp/note/9%EF%BC%8E%E8%A4%A5%E7%98%A1%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%A8%E7%AE%A1%E7%90%86/)
洗浄で見落とされやすい点が、洗浄剤の選び方です。刺激性の高い石けんを使うと、角質層のpHが乱れてバリア機能が低下します。弱酸性洗浄剤を使用することで、生理食塩水による洗浄と比べて治癒期間が有意に短縮されたという報告があります。 つまり、洗浄剤の種類が褥瘡の治り方に直接影響するということです。 med.saraya(https://med.saraya.com/gakujutsu/guideline/skincare.html)
洗い方にも注意が必要です。泡立てた洗浄剤を皮膚に「のせて」、指の腹で軽くなでるように洗います。 こすり洗いは皮膚表面に微細な傷をつくり、炎症を誘発します。すすぎ残しも刺激になるため、洗浄剤が残らないよう十分なすすぎが必要です。 sendaihp(https://sendaihp.jp/cp-bin/wordpress/wp-content/uploads/2020/12/c8dd334e2b8d47babce681df79853781.pdf)
保湿ケアは毎日継続することで、はじめて褥瘡予防効果が出ます。角質層の水分が不足すると皮膚の弾力性が失われ、外力に対する耐性が著しく下がります。 乾燥した皮膚はまるで「ひび割れた壁」のようなもので、少しの力でも崩れやすい状態になっています。 jspu(https://www.jspu.org/general/prevention/)
保湿剤の塗り方も重要です。強くこすって塗ると摩擦が生じ、逆効果になります。適量をとって手のひらで温め、皮膚に「置く」感覚でなじませるのが正しい方法です。 これは保護クリームを塗る場合も同様です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500275)
失禁がある患者の場合、洗浄後に撥水性保護クリームを肛門・外陰部周囲に塗布することが『褥瘡予防・管理ガイドライン第4版』で推奨度C1として記載されています。 撥水クリームは尿・便の刺激物から皮膚を守るバリアの役割を果たします。これは知っていると得する情報です。 almediaweb(https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/part7/04.html)
スプレータイプの保護剤もあります。手の届きにくい部位や、塗布時の摩擦を最小限にしたい場合に有効です。 患者の体格や皮膚状態に応じて、クリームタイプとスプレータイプを使い分けましょう。 almediaweb(https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/part7/04.html)
| ケアの種類 | 主な目的 | 使用タイミング | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 🧼 洗浄 | 汚れ・刺激物の除去 | 1日1回(失禁時は都度) | 弱酸性洗浄剤を使用、こすらない |
| 💧 保湿 | 角質層の水分保持 | 洗浄後・入浴後 | こすらず「置く」ように塗布 |
| 🛡️ 保護 | 外力・刺激物の遮断 | 失禁後・骨突出部ケア | 撥水クリームで皮膚バリアを補強 |
「2時間ごとの体位変換」は、1977年に出版された書籍『褥瘡—病態とケア—』から臨床に広まった慣習です。 驚くべきことに、この2時間ルールには当初から科学的根拠がありませんでした。現在のエビデンスでは「4時間を超えない範囲で行う」が推奨されています。意外ですね。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/205020/)
具体的には、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどの高機能マットレスを使用している場合、体位変換を2時間ごとにしても4時間ごとにしても褥瘡発生率に差がないことが複数の研究で示されています。 つまり、マットレスの種類で体位変換の間隔を個別に判断することが原則です。 radionikkei(https://www.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-160225.pdf)
一方、標準的なマットレスでは2時間以内が目安になります。 重要なのは、「全員2時間」という画一的な計画ではなく、患者個別のリスク評価に基づいて体位変換計画を立案することです。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/205020/)
摩擦・ずれは、圧迫と並ぶ褥瘡発生の主要因です。体位変換時や移乗時に皮膚が引っ張られることで「ずれ」が生じます。スライディングシートの活用は、移乗時の摩擦を大幅に軽減できます。仙骨部への予防的ドレッシング材の貼付も、摩擦・ずれ対策として現場で広く使われています。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500275)
褥瘡ケアの出発点は、正確なアセスメントです。リスク評価なしにケアを開始するのは、地図なしに山を登るようなものです。入院時に全患者のリスク評価を行い、チームで情報共有することが早期発見につながります。 osaka.med.or(https://www.osaka.med.or.jp/img/doctor/care-manual/care-manual-4-5.pdf)
代表的なリスクスケールとして「ブレーデンスケール」があります。このスケールは「知覚認知」「湿潤」「活動性」「可動性」「栄養」「摩擦とずれ」の6項目で評価します。合計点数が低いほどリスクが高く、一般的に18点以下でリスクありと判断します。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/8736/)
褥瘡が発生した場合は、DESIGN-R®2020による評価が標準です。DESIGN-Rは「Depth(深さ)」「Exudate(滲出液)」「Size(大きさ)」「Inflammation/Infection(炎症/感染)」「Granulation(肉芽組織)」「Necrotic tissue(壊死組織)」「Pocket(ポケット)」の7項目で創状態をスコア化します。 スコアの変化を追うことで、治療効果を客観的に判断できます。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/11445/)
褥瘡の評価と記録を継続することで、ケアの見直しタイミングを見逃しません。記録は「どの部位に」「どのケアを」「どれくらいの頻度で」行ったかを具体的に残します。評価の継続が条件です。
日本褥瘡学会が公開している「褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版(2022年)」は、エビデンスに基づいた実践の指針として必読の資料です。Mindsでも確認できます。
褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版(日本褥瘡学会監修)の概要と推奨内容はこちらから確認できます。
褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版 | Minds診療ガイドラインライブラリ
褥瘡と失禁関連皮膚炎(IAD:Incontinence-Associated Dermatitis)は、見た目が似ているため混同されやすい問題です。しかし治療方針は異なります。IADを褥瘡として対処すると、適切なケアが行われず皮膚炎が悪化する危険があります。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/11445/)
IADの特徴は、尿・便に含まれる刺激物(アンモニア、消化酵素など)による化学的損傷である点です。発生部位は肛門・外陰部周囲、臀部、鼠径部で、びらんや発赤が広範囲に広がります。一方、褥瘡は骨突出部に限局した圧迫・虚血による損傷です。 部位と形状を見れば、二つを区別できます。 jaog.or(https://www.jaog.or.jp/note/9%EF%BC%8E%E8%A4%A5%E7%98%A1%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%A8%E7%AE%A1%E7%90%86/)
ある病院の取り組みでは、ICTを活用したスキンケア支援を導入した結果、褥瘡発生率が8.6%から6.9%に低下し、失禁関連皮膚炎の発生率が0%を維持したと報告されています。 看護師のスキンケアに対する安心感向上にもつながったとされています。これは使えそうです。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-17H04462/17H04462seika.pdf)
IAD予防に使用される「撥水性保護クリーム」や「皮膚保護スプレー」は、排泄物から皮膚を守りつつ通気性も維持する製品が各社から展開されています。撥水ケアと洗浄ケアを組み合わせた「ルーティン化」を病棟全体で共有することで、ケアの質が均一化されます。失禁ケアのルーティン化が予防の鍵です。
IADと褥瘡の区別については、日本創傷・オストミー・失禁管理学会(JWOCM)の資料が詳しく、現場での判断に役立ちます。
![]()
シルキーポアドレッシング 4号 10.0×13.0cm 20枚 アルケア 創傷用粘着ドレッシング 衛生医療 被覆材 絆創膏 ドレッシング材 高通気性 低皮膚刺激性 床ずれ防止 褥瘡予防 床ずれ防止シート 床ずれ防止シール 絆創膏 高齢者用 老人用