マンジャロ(チルゼパチド)の貯法は「遮光、2~8℃で保存」で、凍結した製品は使用しないことが明確に示されています。
この「2~8℃」は“冷たければ良い”ではなく、凍結域に近づけない温度帯として管理する、という意味合いも含みます(実務上は冷却吹き出し口付近などの低温スポットを避ける発想が重要です)。
また、遮光は「冷蔵庫に入れているから大丈夫」と誤解されやすい一方、メーカー情報では個包装が“遮光袋ではない”と明記され、使用直前まで個装箱などで光を避ける注意が促されています。
現場で起きがちなズレは、温度管理だけに注意が向き、光(診察室の照明、窓際、車内での直射)への配慮が抜けることです。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/ff073a29b31b238bb90cecee74043514a4e23990
医療従事者向けには「冷蔵=遮光ではない」「個包装=遮光ではない」を一文で言語化して、患者指導資料にも同じ表現で落とし込むと事故が減ります。
メーカーの適正使用情報では、冷蔵庫が使用できない場合に限り、遮光の上で30℃以下の室温なら21日間まで保存可能とされています。
さらに別ページでも、室温保存が可能な期間として「21日以内」、条件として「遮光」「30℃を超えない」ことが示されています。
したがって、医療従事者が説明すべき“常温OK”の定義は、単に室内に置けるという意味ではなく、「30℃以下」「遮光」「合計21日以内」という条件付きの“例外運用”です。
患者が自己管理する場面では「一度常温に出したら、また冷蔵に戻せばリセットできる」と誤解されやすいので、“合計21日”という累積管理である点を強調すると齟齬が減ります。
また、家庭内の“室温”は季節・暖房・日当たりで簡単に30℃へ近づくため、患者の生活導線(窓際、キッチン、車内、カバンの中)を想定した具体例で注意喚起すると、理解度が上がります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/35af884cd3a50c1cfe821d3453be98127abe5a1f
メーカー情報では「処方前」の保管は添付文書の貯法(遮光、2~8℃)順守が求められ、貯法を外れたものを流通または処方することは推奨できない、と明確に述べられています。
一方で「処方後」の想定として、冷蔵庫が使えない場合に限り、21日・30℃以下・遮光での室温保存が可能、と整理されています。
つまり、同じ“常温に置いた”でも、医療機関の在庫管理(処方前)と患者の自己管理(処方後)では、許容される説明範囲が異なる点が実務のコアです。
この区別を曖昧にすると、薬剤部・外来・オンライン診療の各導線で説明がブレて、結果的に患者の自己判断を誘発します。
運用としては、院内SOPでは「処方前:逸脱品は原則使用しない(メーカー推奨不可)」を固定し、患者説明では「冷蔵が基本、例外として21日ルール」を“例外”と明示して伝える二階建てが安全です。
見落とされがちですが、メーカー情報で「ビニール袋で個包装されているが遮光袋ではない」と明記されており、光が当たらないよう個装箱や引き出しで保管する注意が示されています。
この一文は、医療現場での患者指導に直結します。
たとえば、患者が「個包装だからバッグの外ポケットで持ち歩いた」「透明ポーチに入れて車内へ置いた」というケースは、“温度”より先に“光”が逸脱し得るため、遮光の具体策(外箱に戻す、光を通しにくいケースに入れる)まで踏み込む価値があります。
また“遮光=暗所”という曖昧な言い方だと人によって解釈がブレるため、「箱に入れたまま」「引き出しに入れる」といったメーカーが例示している表現をそのまま採用すると、再現性が上がります。
資材面では、患者が捨てがちな外箱が遮光に役立つため、外箱保管の理由を“単なる見た目”ではなく“遮光のため”と説明すると行動変容につながります。
メーカー情報が提示する条件は明確ですが、現場で問題になるのは「患者が条件を覚えきれない」ことなので、説明を“ルール”ではなく“チェックリスト”に変換すると事故が減ります。
チェック項目は、(1)外箱に入っているか(遮光)、(2)30℃を超えない場所か、(3)常温で過ごした累計日数は何日か、の3点に絞ると運用しやすいです。
この3点はメーカーが示す要件(遮光、30℃以下、21日以内)に対応しており、患者の自己判断を“質問に答えるだけ”の形式に落とし込めます。
さらに、医療従事者側の工夫としては、患者のスマホに「冷蔵庫に戻した日」ではなく「常温になった日」を記録させる、という指導が有効です(累計管理の誤解を減らすため)。
最後に、処方前製品の管理と患者の自己管理を混同しないよう、院内で「処方前:貯法順守」「処方後:例外21日ルール」という二つの定型文を用意して、スタッフ間で同じ言葉を使うと説明の品質が揃います。
処方前・処方後の判断、室温21日ルール、遮光(個包装は遮光袋ではない)の根拠。
https://medical.lilly.com/jp/answers/172113
貯法(遮光2~8℃、凍結した製品は使用しない)、室温保存の条件(21日以内、30℃超えない、遮光)、遮光に関する注意(個包装は遮光袋ではない)。
https://medical.lilly.com/jp/answers/171808