医療現場で「お薬手帳 自作ダメ」と言われるとき、実際には“自作そのもの”よりも、運用が雑になった結果として起きる事故リスクを指していることが多いです。
典型例が「家族で1冊にまとめる」運用で、これは取り違いの温床になります。
処方薬の重複や相互作用は、患者本人の薬歴を“同一人物として”時系列で追えることが前提であり、家族の記録が混在すると、チェックの精度が落ちます。
医療従事者向けの指導フレーズとしては、次が誤解を減らします。
・「自作は形式より“中身と運用”が大事。まず一人一冊にして、薬の情報が必ず集約される形にしましょう」
参考)https://allabout.co.jp/gm/gc/508915/
・「同じ手帳に複数人が書かれていると、薬の取り違いが起きやすいので避けてください」
また、意外と盲点なのが「自作だと貼付スペースが足りず、シールが折れたり重なったりして読めない」ケースです。
記事やガイドで強調されがちな“フォーマット”よりも、現場では「見える・読める・追える」状態が担保されないことが問題化しやすい、と押さえると指導に説得力が出ます。
自作を許容しても安全に機能させるには、「最低限の患者基本情報」と「薬剤情報が継続して貼れる構造」が必要です。
少なくとも、氏名・生年月日・アレルギー・既往歴など、診療時に参照される情報は、最初のページ付近に明確に書いておくのが推奨されます。
現場的に“自作で困る”ポイントを、患者さんへそのまま渡せるチェックリストにします(入れ子なし)。
「お薬手帳は薬局でもらうもの」という固定観念を持つ患者さんは多いので、ここは一言添えるとスムーズです。
「手帳はノートでも構いませんが、医療者が必要な情報を確実に読み取れる形にしてください」という言い方にすると、ルールの目的が伝わりやすいです。
参考リンク(自作のポイント:一人一冊、必要な個人情報、OTC/サプリ追記の重要性)
https://allabout.co.jp/gm/gc/508915/
お薬手帳に書かれている内容は、病名推測や治療内容の推定につながり得る情報で、本人にとって十分センシティブです。
電子版の話に見えますが、厚労省資料でも電子版お薬手帳に蓄積される薬剤情報は「要配慮個人情報」を含むとされ、取り扱いに注意が必要だとされています。
この観点は紙の運用にもそのまま応用でき、患者さんには「落とす・見られる・写真を撮られる」リスクを一度は説明した方が安全です。
医療者側の現場でありがちなヒヤリは、受付や投薬カウンターで手帳を開いたままにしてしまう、家族が代理で持参して中身をよく理解していない、などです。
そのため、患者指導としては次の“具体行動”まで落とし込むと効果が上がります。
「自作ダメ」と言うより、「紙でも個人情報なので、管理ルールを決めて運用しましょう」と伝えるほうが、患者の納得感が上がり、結果的に持参率も上がりやすい印象です。
患者さんが自作の紙手帳を使っていても、将来的に電子版へ移行したいと言われることがあります。
厚労省の「電子版お薬手帳ガイドライン」では、電子版は薬剤情報の一元的・継続的な管理を重要視し、一般用医薬品(OTC)も含めた管理が重要と整理されています。
さらに、電子版では当面の運用としてQRコードで調剤情報を収受することが基本とされており、薬局側の出力・患者側の取り込みという“受け渡し”が前提になります。
ここでの落とし穴は、「アプリを入れた=情報が全部自動で集まる」と誤解されやすい点です。
ガイドライン上も、マイナポータルAPI連携で取り込める薬剤情報“だけ”のアプリは電子版お薬手帳として認められない、と明記されています。
つまり、患者にとっての本質は「情報の入口が複数ある(薬局QR、OTC自己登録等)ので、入れ忘れると抜けが生じる」という点で、紙の自作と同じく“運用”が質を決めます。
患者説明の例(外来・薬局どちらでも使える言い回し)
参考リンク(電子版お薬手帳の役割:一元管理、QRコード運用、要配慮個人情報としての留意点)
https://www.mhlw.go.jp/content/001199653.pdf
検索上位は「自作してもいい」「記載項目」といった平時の使い方に寄りがちですが、医療従事者として強調したい独自視点は、災害・救急の場面で“読めない/即答できない”が致命的になり得る点です。
薬剤師会の解説でも、お薬手帳を携帯していれば不慮の事故時などに服用薬が分かり救急対応が円滑になる、と役割が説明されています。
つまり、お薬手帳は「薬局でシールを貼って満足」ではなく、“緊急時に第三者が短時間で理解できる設計”であることが、価値の中核になります。
自作で特に起こりやすいのが、次のような“読めなさ”です。
救急・災害を想定した「自作でも通る作り」の提案(患者に渡せる形)。
この“緊急時の読みやすさ”を患者説明に入れると、「お薬手帳 自作ダメ」という言葉の角が取れます。
最終的に目指すのは、自作か既製品かではなく、「必要な情報が、必要なときに、必要な人へ届く」状態です。

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