酸化酵素は国際生化学分子生物学連合(IUBMB)により、EC番号1で示される酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)に分類されます。この酵素群は現在約560種類が知られており、さらに22のサブクラスに細分化されています。酸化還元酵素は基質から水素や酸素を転移させる反応を触媒し、生体内のエネルギー代謝において中心的な役割を果たします。EC番号の第2区分の数字は基質特異性により副分類され、酵素が作用する結合の種類などの反応様式を示しています。これらの酵素は補欠分子族として、ヘム、フラビン、NAD/NADPなど多様な補酵素を利用することが特徴です。wikipedia+6
オキシダーゼは分子状酸素(O₂)を電子受容体として利用する酸化酵素の一群です。この分類には、グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)、モノアミンオキシダーゼ(EC 1.4.3.4)、キサンチンオキシダーゼ(EC 1.17.3.2)などが含まれます。グルコースオキシダーゼはGMC(glucose-methanol-choline)オキシドレダクターゼ超ファミリーに属し、FAD依存性の酸化還元酵素として機能します。この酵素はkcat/KM値が10⁶ M⁻¹·s⁻¹程度と非常に高い触媒効率を示し、「オキシダーゼのフェラーリ」と称されることもあります。アミノ酸、アミン、アルコールが主要な基質クラスとなっており、各オキシダーゼは高い基質特異性を持ちます。pmc.ncbi.nlm.nih+3
ペルオキシダーゼは過酸化水素(H₂O₂)を利用して基質を酸化する酵素群であり、カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する特殊なペルオキシダーゼです。カタラーゼは4つのサブユニットから構成され、各サブユニットがヘム基を含む構造を持ちます。この酵素のkcat/KM値は10⁸ M⁻¹·s⁻¹に近く、極めて高い触媒効率を示します。一方、グルタチオンペルオキシダーゼはヒトで8種類が存在し、セレノシステイン残基を補欠分子族として利用します。カタラーゼ-ペルオキシダーゼと呼ばれる酵素群は、シアノバクテリアや一部の細菌に存在し、通常のカタラーゼよりもH₂O₂に対する親和性が10倍以上高いという特徴があります。これらの酵素は生体の抗酸化防御システムにおいて中核的な役割を担っています。toho-u+8
シトクロムcオキシダーゼ(EC 1.9.3.1)は呼吸鎖の末端に位置する重要な酸化酵素で、複合体IVまたはシトクロムa₃とも呼ばれます。この酵素は還元型シトクロムcから電子を受け取り、分子状酸素を水にまで還元する反応を触媒します。ウシ心筋由来の酵素は分子量約24万で、シトクロムaとシトクロムa₃から構成され、各サブユニットがヘムと銅を補欠分子族として含んでいます。この酵素は4分子のシトクロムcから電子を受け取り、酸素1分子を2分子の水に変換すると同時に、マトリックスから膜間スペースへ4個のプロトンを能動輸送します。この過程で形成される電気化学ポテンシャルの差がATP合成酵素によるATP産生に利用されるため、エネルギー代謝において極めて重要な機能を果たします。kotobank+4
酸化酵素は医療診断や治療において多様な応用が展開されています。グルコースオキシダーゼを用いたバイオセンサーは血糖値測定の標準的手法として確立されており、この酵素の高い特異性と触媒効率が臨床検査の正確性を支えています。コレステロール測定においても、コレステロールオキシダーゼとペルオキシダーゼを組み合わせた酵素反応系が広く利用されています。乳酸オキシダーゼは乳酸濃度測定に応用され、スポーツ医学や救急医療の現場で活用されています。さらに、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)の画像化技術は、神経変性疾患の早期診断や治療効果判定への応用が期待されています。近年では、ナノザイムと呼ばれる酵素様機能を持つナノ材料が開発され、天然酵素の限界を克服する新世代のバイオセンサーとして注目されています。これらの技術は連続モニタリングが可能なウェアラブルデバイスへの展開も進んでおり、個別化医療の実現に貢献すると考えられます。katosei.jsbba+10
脂質過酸化は活性酸素種による脂質の酸化反応であり、多様な疾患の病態に関与しています。活性酸素がコレステロール中の不飽和脂肪酸と結合して生成される過酸化脂質は、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などの血管疾患の原因となります。近年注目されているフェロトーシスは、鉄依存的な脂質過酸化を伴う新しい細胞死のメカニズムです。この過程では、二価鉄(Fe²⁺)がフェントン反応や連鎖的な脂質酸化反応を惹起し、アラキドン酸やアドレン酸を含むホスファチジルエタノールアミン(PE)が重要な役割を果たします。生体にはグルタチオンペルオキシダーゼやカタラーゼなどの抗酸化酵素が存在し、過酸化脂質の生成を抑制していますが、加齢や疾患により抗酸化機能が低下すると酸化ストレスが増大します。臨床検査では、尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)測定による遺伝子酸化損傷度の評価や、血液中のヒドロペルオキシド測定による酸化ストレス度の評価が行われています。これらの検査は、がんや心筋梗塞などのリスク評価に有用な情報を提供します。tellmegen+9
<参考文献>
酵素の分類 - 酸化還元酵素の詳細な分類と代表的酵素の解説
酵素の分類と立体構造・反応機構 - EC番号による酵素分類の体系的解説
Glucose Oxidase, an Enzyme "Ferrari" - グルコースオキシダーゼの構造と機能に関する詳細な学術論文
シトクロムcオキシダーゼ - 電子伝達系における役割と構造の詳細
Therapeutic potentials of catalase - カタラーゼの治療応用に関する最新レビュー
鉄依存的な脂質酸化を伴う細胞死フェロトーシス - 脂質過酸化と疾患の関連に関する日本語総説
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