セルトラリンの副作用として最も頻度が高いのは消化器症状です。国内臨床試験では悪心が20.4%、下痢が15.0%の患者に発現し、投与初期により多く見られる傾向があります。
主な消化器副作用の特徴
対処法として、食後服薬により胃腸症状を軽減できることが多く、症状が持続する場合は制酸剤や整腸剤の併用を検討します。重篤な消化器症状が続く場合は、用量調整や他剤への変更が必要となることもあります。
中枢神経系の副作用は患者のQOLに大きく影響する重要な問題です。傾眠は15.2%と高頻度で発現し、日常生活への影響を慎重に評価する必要があります。
神経系副作用の詳細
運転や機械操作に従事する患者では特に注意が必要で、症状の程度により就労への影響を評価します。症状が持続する場合は、服薬タイミングの調整(夕食後服薬など)や用量の見直しを行います。
セロトニン症候群は稀ながら致命的となりうる重篤な副作用です。MAO阻害薬や他のセロトニン系薬剤との併用により発症リスクが高まります。
セロトニン症候群の症状
早期発見のポイントは、複数の症状が同時に出現することです。特に他のセロトニン系薬剤(トラマドール、トリプタン系薬剤など)との併用患者では定期的なモニタリングが不可欠です。
医薬品医療機器総合機構の副作用報告システム - セロトニン症候群の詳細な症例報告
性機能障害はSSRIに特徴的な副作用で、セルトラリンでも比較的高頻度に認められます。患者が相談しにくい副作用のため、医療従事者から積極的に確認することが重要です。
性機能障害の種類と頻度
対策として、用量調整、服薬タイミングの変更(週末休薬など)、薬剤変更(ミルタザピンなど性機能への影響が少ない薬剤)を検討します。シルデナフィルなどのPDE5阻害薬併用も有効な場合があります。
近年の症例報告では、セルトラリンによる稀な副作用として尿崩症の発症が報告されています。17歳女性が20錠(1000mg)を一度に服薬後、中枢性尿崩症を発症した興味深い症例です。
特殊副作用の機序と特徴
また、セルトラリンによる洞停止の症例も報告されており、心疾患のリスクファクターを有する患者では心電図モニタリングが推奨されます。特に高齢者や心疾患既往患者では、投与前の心電図検査と定期的な追跡が重要です。
これらの特殊な副作用は稀ではあるものの、重篤化する可能性があるため、医療従事者は常に念頭に置いて患者管理を行う必要があります。