起立性低血圧は、起立後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下、または拡張期血圧が10mmHg以上低下する状態として定義されています 。この疾患は立ち上がった際に急激な血圧低下により、めまい、立ちくらみ、失神などの症状を引き起こします 。
参考)https://oishi-shunkei.com/disease/8943/
症状の特徴として以下が挙げられます。
起立性低血圧の発症頻度は、中年期で5~11%、65歳以上の高齢者では15~25%と年齢とともに増加します 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12064936/
起立性低血圧の原因は多岐にわたり、主に以下のカテゴリーに分類されます :
参考)https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-4905/
循環血液量の減少
自律神経の障害
薬物による副作用
その他の要因
通常、立ち上がる際は下肢の筋肉のポンプ作用と交感神経による血管収縮により血液循環が維持されますが、これらの調節機能が障害されると起立性低血圧が発生します 。
参考)https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-8208/
治療は薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行われます。薬物療法においては、症状の改善を主目標とし、完全な血圧正常化よりも機能的改善を重視します 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2888469/
薬物療法
メチル硫酸アメジニウム(リズミック)が代表的な治療薬で、血管収縮作用により血圧低下を防ぎます。ただし、動悸・頭痛・吐き気・ほてり感などの副作用が報告されています 。
参考)https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-612/
注意すべき副作用と禁忌
これらの条件に該当する場合は使用禁止となります。
漢方薬の活用
漢方薬も選択肢の一つですが、副作用がゼロではなく、体質や併用薬との相互作用に注意が必要です 。
非薬物療法は起立性低血圧の治療において中核的な役割を果たします。特に水分摂取は症状改善に重要です。
水分摂取の効果
最新の研究によると、運動後の起立性低血圧に対して水分摂取は急性の予防効果があることが確認されています 。水分摂取により心拍数の低下と収縮期血圧の上昇が観察され、心臓自律神経活動の正常化が示されました 。
参考)https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/health/blog/2658/
日常生活での対策
参考)https://mediage.lotte.co.jp/post/582
運動療法の効果
ふくらはぎの筋力強化が特に重要で、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉は血液循環に大きな役割を果たします 。筋力低下は血液循環を悪化させ、起立性低血圧を助長する可能性があります 。
高齢者における特徴
高齢者の起立性低血圧は、薬物の副作用が原因となることが多く、利尿剤や降圧剤の服用者は特に注意が必要です 。加齢に伴う自律神経機能の低下と循環血液量の減少が主な要因となります 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8140709/
小児における特徴
小児では急激な肉体の成長に対して自律神経の成長が追いつかないことが原因となります 。特に小学校高学年から中学生にかけて多く見られ、以下の症状が特徴的です:
参考)https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-8191/
自律神経は血圧調節以外にも体温・睡眠・消化管運動などを調節するため、これらの症状が併発しやすいです 。
思春期における対応
思春期は自律神経系の完成期であるため起立性低血圧が多く発症しますが、年齢とともに改善することが多いです 。遺伝的要因も関与し、両親のいずれかに同様の症状があることも多く見られます 。
参考)https://fukuoka-jibi.com/instructions/ksetc03/