システマティックレビューは、特定の臨床的疑問に答えるため、事前に明確に定義された手法に従って文献を網羅的に収集・評価・統合する研究方法です。「システマティック」という名の通り、体系的かつ再現可能な方法で実施されることが重要な特徴となっています。
従来のナラティブレビューとは異なり、システマティックレビューは以下の厳格な手順に従います。
システマティックレビューの最大の特徴は、研究プロトコルの事前登録と透明性です。この手法により、研究者の主観的判断によるバイアスを最小限に抑え、客観的で信頼性の高い結果を提供することが可能になります。
日本理学療法学会連合によるシステマティックレビューの詳細な定義と手法
メタアナリシスは、複数の独立した研究の定量的データを統計学的手法により統合し、単一の効果指標を算出する分析手法です。システマティックレビューが「質的統合」であるのに対し、メタアナリシスは「量的統合」として位置づけられます。
メタアナリシスの統計学的原理は、以下のように説明されます。
中心極限定理に基づき、分散の逆数で各研究の効果指標を重み付けすることで、全体の統合効果量を算出します。この手法により、個々の研究では検出困難な小さな効果も統計的に有意に検出することが可能になります。
統計的異質性(I²統計量)の評価により、研究間のばらつきを定量化し、固定効果モデルまたはランダム効果モデルの選択を行います。I²が50%以上の場合、実質的な異質性があると判断され、メタアナリシスの実施には慎重な検討が必要です。
システマティックレビューとメタアナリシスの関係は、しばしば混同されがちですが、明確な違いが存在します。メタアナリシスはシステマティックレビューの一部分として位置づけられ、「システマティックレビューとメタアナリシス」という副題で公表されることが多いのです。
包含関係の理解 📊。
実際の研究では、データの異質性や研究デザインの違いにより、定量的統合(メタアナリシス)が適切でない場合があります。このような場合、システマティックレビューは定性的統合にとどまり、ナラティブサマリーとして結果が報告されます。
コクラン共同計画では、全ての論文がシステマティックレビューと呼ばれており、国際的な標準として広く認識されています。これは、メタアナリシスを実施する場合でも、その基盤となるシステマティックレビューの質が最も重要であることを示しています。
Mindsガイドラインによるシステマティックレビューとメタアナリシスの関係性解説
医療従事者がエビデンス評価を行う際、適切な手法選択が臨床判断に大きく影響します。以下の基準に基づいて、システマティックレビューとメタアナリシスの使い分けを行うことが重要です。
システマティックレビュー単独が適している場合 🎯。
メタアナリシス実施が可能な場合 📈。
興味深いことに、近年の研究では「システマティックレビューのメタアナリシス」という新たなアプローチも注目されています。これは、既存のメタアナリシスを対象として、さらに上位の統合を行う手法であり、エビデンスの質評価や出版バイアスの検討に有用とされています。
PRISMA 2020ガイドラインでは、システマティックレビューとメタアナリシスの報告基準が更新され、より透明性の高い研究実施が求められています。
臨床現場において、システマティックレビューとメタアナリシスを効果的に活用するためには、それぞれの限界と適用範囲を理解することが不可欠です。
活用における注意点 ⚠️。
システマティックレビューの大きな利点は、個々の臨床医が膨大な文献を個別に評価する負担を軽減し、特定の臨床疑問に対する包括的な答えを提供することです。「〇〇という治療法は本当に効果があるのか?」という疑問に対して、一本のシステマティックレビュー論文で現在のエビデンスの全体像を把握できます。
一方で、メタアナリシスでは「平均的患者」の結果が示されるため、個別患者の特性や併存疾患、治療反応性の違いが十分に考慮されない場合があります。臨床判断では、統計的結果と個別患者の状況を総合的に評価することが重要です。
最近の研究では、ネットワークメタアナリシスや個別患者データメタアナリシスなど、より精緻な分析手法も開発されており、従来の限界を克服する新たなアプローチとして注目されています。
実践的チェックポイント ✅。