あなたは「因果関係が不明なら報告しなくていい」と思っていませんか?それが法的ペナルティへの入り口です。
医療従事者の有害事象報告義務は、薬機法(医薬品医療機器等法)第68条の10第2項に明確に規定されています。 日常の医療現場で医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用によって発生した副作用、感染症、不具合の情報を、医薬関係者が厚生労働大臣に報告する制度です。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/pmd-act/0003.html)
重要なのは、この条文の「疑われる」という表現です。 副作用・感染症・不具合が「当該品目の使用によるものと疑われる」場合に、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要があると認めるときは報告しなければならないとされています。 つまり因果関係が確定していなくても義務が生じる場合があります。これが基本です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/qa/iyaku/yakujihou/point2.html)
報告の目的は、個々の有害事象を記録することだけではありません。報告された情報はPMDAが専門的観点から分析・評価し、必要な安全対策が講じられ、広く医薬関係者に情報提供される仕組みになっています。 自分一人の報告が、将来の重大な被害を防ぐ可能性があります。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/pmd-act/0003.html)
報告対象となる医薬関係者は、病院・診療所の開設者または医師・歯科医師・薬剤師、その他医療に携わる者のうち業務上医薬品または医療機器を取り扱う者とされています。 施設全体ではなく、現場の個人が報告義務の主体である点は、見落とされがちです。これは重要な点ですね。 hosp.mie-u.ac(https://www.hosp.mie-u.ac.jp/pharmacy/upload/20170302-134616.pdf)
報告期限は重篤度によって明確に区別されています。死亡・死亡につながるおそれのある症例については、把握から7日以内に報告しなければなりません。 その他の重篤な症例については15日以内が期限です。 answers.and-pro(https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/)
治験中の薬剤については、さらに厳しい基準が適用されます。 治験依頼者は、未知かつ死亡・死亡につながるおそれのある症例を7日以内、未知かつその他の重篤な症例を15日以内に規制当局へ報告する義務があります。 既知の症例でも死亡・死亡につながるおそれがある場合は15日以内が求められます。 cmic-hci(https://www.cmic-hci.com/blog/GCP25)
7日というのは、医療現場の感覚ではとても短い期間です。 たとえば、月曜日に把握した症例なら、翌週の月曜日より前に報告を完了させなければなりません。 休日をまたいでも期限は延長されません。この期限は厳守が原則です。
報告先は、薬機法第68条の13第3項の規定によりPMDAとされています。 PMDAの「報告受付サイト」(PMDAメディナビとは別のWEBサービス)を使って電子的に報告することが推奨されており、書面提出から電子化が進んでいます。 hosp.jihs.go(https://www.hosp.jihs.go.jp/isc/080/FY2025/2025_2024_03_jisyouhoukoku.pdf)
副作用報告義務の強化には歴史的な背景があります。製薬企業による副作用報告漏れが繰り返し問題となってきたためです。 薬機法では製造販売業者について、副作用その他の事由によるものと疑われる疾病・障害・死亡の発生を知ったときは、15日以内に報告しなければならないと規定されています。 answers.and-pro(https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/)
ところが行政処分が後を絶たないのが現実です。 報告漏れが生じる原因として、現場レベルでの情報収集体制の不備、因果関係判断の誤り、複数部門間の連携不足などが挙げられています。製薬企業だけでなく、医療機関側でも同様の問題が潜在的に存在します。 answers.and-pro(https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/)
過去の報告漏れ事例を学ぶことで、自施設の体制を点検するきっかけになります。 日本薬剤師会が公表している「医薬関係者の副作用報告ガイダンス骨子」は、現場での判断フローを確認する際に役立つ資料です。 nichiyaku.or(https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/180620_02.pdf)
参考:薬機法に基づく副作用報告制度の概要(PMDA公式)
医薬品医療機器等法に関する報告の制度について - PMDA
現場でよく起きる誤解がこれです。 「因果関係が不明なら報告しなくていい」という判断です。 しかし、PMDAのガイダンスでは「因果関係不明」は「因果関係が否定できない」ととるべきとされています。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/files/000156127.pdf)
具体的には、重篤で予測できない有害事象であれば、因果関係が「不明」の状態でも緊急報告の対象となります。 これは臨床現場での判断を大きく変える事実です。因果関係の証明ができないからといって報告を先送りにすることは、義務違反になるリスクがあります。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/files/000156127.pdf)
たとえば、新薬を投与した翌日に患者が体調不良を訴えた場合。 明らかな投薬ミスではなく、薬との関係もはっきりしない状態であっても、重篤であれば報告の対象として検討が必要です。 「まず様子を見る」という慣習が、報告期限(7日・15日)を知らぬ間に超過させることにつながります。
この判断基準については、PMDAが治験中の安全性情報の取り扱いについて詳細なQ&Aを公開しています。 治験担当者だけでなく、市販後の現場でも参考になる考え方が示されています。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/files/000156127.pdf)
参考:因果関係の評価と報告義務の判断に関するPMDA資料
治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて - PMDA(PDF)
義務を理解した上で、次は実務への落とし込みです。 有害事象の報告体制を施設単位で整備しておくことが、個人の義務履行と施設リスク管理の両方につながります。
まず確認すべきポイントを整理します。
hosp.jihs.go(https://www.hosp.jihs.go.jp/isc/080/FY2025/2025_2024_03_jisyouhoukoku.pdf)
治験における有害事象発生時の対応については、GCPレターなどの実務資料が詳しく解説しています。 重篤な有害事象(SAE:Serious Adverse Event)の定義、報告フロー、IRB・治験責任医師の役割分担などが体系的にまとめられており、市販後の現場でも参考になる考え方が含まれています。 cmic-hci(https://www.cmic-hci.com/blog/GCP25)
副作用報告をPMDAの個人申請サイトから行う際は、PMDAメディナビへの登録とは別のアカウントが必要です。 初めて報告する医療従事者が混乱しやすいポイントなので、事前にサイト構成を確認しておくことが重要です。これだけは必ず確認しておきましょう。 hosp.jihs.go(https://www.hosp.jihs.go.jp/isc/080/FY2025/2025_2024_03_jisyouhoukoku.pdf)
個人として「自分が報告主体である」という意識を持つことが、体制整備の出発点です。 施設の管理者任せにせず、有害事象を把握した医療従事者が自ら動くことが法律の求めるところです。 jrc.or(https://www.jrc.or.jp/mr/reaction/report/)
参考:治験での有害事象報告フローの実務資料
治験における有害事象発生時の対応|GCPレター第25号 - シミックHCI
参考:薬剤師向けの副作用報告義務の解説
法律から解釈する薬剤師の「副作用報告」 - m3.com
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【中古】有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン 患者安全のための世界同盟 /へるす出版/日本救急医学会(単行本)