ブルーレターは「安全性速報」と呼ばれ、緊急安全性情報(イエローレター)に準じる位置づけです。PMDAの説明では、一般的な「使用上の注意」の改訂情報よりも迅速に安全対策措置を取る必要があると判断された場合に、厚生労働省の配布指示に基づき製造販売業者が作成する情報、と整理されています。
医療現場の感覚としては「ただちに使用中止一択」とは限らない一方で、見落とすと患者安全に直結する“時間差リスク”が大きいタイプの注意喚起です(例:特定患者群での重篤化、特定併用での危険性増大、早期検査の推奨など)。
ここで実務上大事なのは、「添付文書改訂=いつか読む」では遅い、という点です。ブルーレターは“通常ルートよりも速く周知すべき”として作られているため、院内の情報伝達はDI室・薬剤部からの一斉配信、当日中のカンファレンス共有、電子カルテの注意喚起(処方時アラート)など、即時性の高い仕組みに乗せるべきです。
またPMDAページでは、背景色が青の様式が安全性速報(ブルーレター)であることが明示されており、視覚的な識別も運用の一部になっています(「青=安全性速報」)ので、紙・PDFの保管や院内掲示でも誤認を減らせます。
イエローレターは「緊急安全性情報」とされ、PMDAでは「緊急に安全対策上の措置をとる必要があると判断された場合」に厚生労働省の配布指示に基づき製造販売業者が作成する、と記載されています。つまり、ブルーレターが「通常改訂より速い対策」なのに対し、イエローレターは「緊急に措置が必要」という、より切迫した状況を想定しています。
さらに、2011年7月以降の扱いとして、国民(患者)向け資材はイエローレターでは原則作成、ブルーレターでは必要に応じて作成、と区別されています。これは医療従事者の説明実務に直結し、イエローレター発出時は患者説明の標準資料が出る前提で、外来・病棟・薬局での説明導線(配布、掲示、同意や指導の記録)を組み立てやすい一方、ブルーレターでは患者向け資材が必ずしも出ないため、院内で説明文書を暫定作成する場面も起こり得ます。
日本薬学会の薬学用語解説でも、イエローレターは「予期せぬ重大な副作用など」の緊急かつ重篤な情報伝達が必要な場合に厚生労働省の指示で配布される文書で、黄色の様式に規定されるためイエローレターと呼ばれる、とされています。加えて「イエローレターに準じるもの」として、イエローレターほど緊急性はないが迅速な安全対策措置をとる場合に発出される「安全性速報(ブルーレター)」がある、という上下関係も明確です。
この“上下関係”を現場の言葉に翻訳すると、イエローレターは「直ちに手順を変える・場合によっては使用制限や中止判断を伴う」、ブルーレターは「直ちに注意喚起し、適正使用の条件をアップデートする(検査追加・対象患者の見直し・併用回避など)」という理解が、運用設計に役立ちます。
PMDAは、各品目の最新の添付文書情報は「添付文書等検索」で確認するよう案内し、掲載されている製造販売業者名や問い合わせ先等は発出当時の情報である点にも注意を促しています。これは、ブルーレター/イエローレターを読んだだけで満足せず、「最終的に現場が従うべき最新版は何か」を必ず突き合わせる必要がある、という運用メッセージです。
特に処方提案や疑義照会では、「レターの記載」と「添付文書の改訂後の文言」が一致しているとは限りません(レターは迅速周知のための要点提示で、添付文書は法的にも運用的にも参照される“正本”になりやすい)。そのため、DI担当者はレター受領当日に、該当箇所(禁忌、慎重投与、重要な基本的注意、相互作用、重大な副作用、検査、用法・用量など)を最新版で確認し、院内通知は“添付文書の該当項目に紐付けた形”で整理すると、現場の誤解が減ります。
患者対応の観点では、PMDAが示す通りイエローレターは患者向け資材が原則作成されるため、説明の標準化が進みやすい一方、ブルーレターは必要に応じて作成です。結果としてブルーレターでは、患者へどこまで説明するかが施設の裁量になりやすく、「説明しなかったこと」よりも「説明した内容が不正確だったこと」が問題化しやすい、という“意外な落とし穴”があります。
具体的には、患者へ伝えるときは、(1)何が新しく分かったのか、(2)あなた(患者)に当てはまる可能性があるのか、(3)いつ受診・相談すべきか、(4)自己中断は避けるべきか、を短く整理し、施設としての統一表現に寄せると安全です(薬剤部・看護部・医師で言い回しがズレると不信感につながります)。
参考:PMDAの公式ページ(黄色=緊急安全性情報、青色=安全性速報、患者向け資材の原則/必要に応じの違い、最新の添付文書確認の導線)
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0001.html
違いを一言でまとめるなら、PMDAの定義に沿って「緊急に措置が必要=イエローレター」「通常改訂より迅速に対策が必要=ブルーレター」です。ここを曖昧にすると、院内の優先順位付け(緊急会議を開くか、処方制限を即日かけるか、患者への一斉連絡をするか)がブレます。
PMDAの該当ページは、単なる定義集ではなく、(1)厚労省発表資料と併せて掲載されること、(2)メディナビ(電子メール配信)でタイムリーに把握できること、(3)背景色で分類されていること、(4)患者向け資材の扱いが異なること、まで運用に必要な情報がまとまっています。
医療機関での“受け取り方”を改善するなら、PMDAメディナビを個人任せにせず、施設として登録・共有することが現実的です。受信担当(薬剤部DIなど)を決め、該当診療科・看護部・医療安全・事務(場合によっては広報)へ同報する流れをテンプレ化しておくと、ブルーレター/イエローレターの初動が速くなります。
また、PMDAも「最新の添付文書情報をご確認ください」と明記しているため、院内通知は“レターの要点+添付文書の該当箇所URL/保存版PDFの所在”をセットにし、受け手が一次資料にすぐ到達できる形が望ましいです。
検索上位の解説は「定義」「緊急度」「患者向け資材の有無」に寄りがちですが、医療従事者向けに価値が出るのは「誤読パターン」と「院内システムへの落とし込み」です。たとえば、背景色でブルー/イエローを瞬時に識別できる一方で、PDFビューアや印刷設定によって色が分かりづらい、モノクロ印刷で判別不能、という現場あるあるがあります。そこで、色だけに依存せず、文書タイトルに「緊急安全性情報」「安全性速報」を必ず含めて保管する、院内掲示は色+文言の二重化にする、といった運用が“地味に効きます”。
もう一つの盲点は「レターを読んだ人が、誰に何を依頼するか」です。ブルーレターなら、医師には処方条件の確認(対象患者・併用薬・用量・検査)を、看護師には観察項目・患者指導の更新を、薬剤師には処方監査のチェックポイントと疑義照会基準の更新を、医療安全には院内リスク評価(影響患者数、周知範囲、緊急会議の要否)を、というように“職種別タスク”に翻訳して配布すると、周知が行動に変わります。
この翻訳がないと、せっかくのブルーレターが「周知メールが流れたが、現場の処方監査や看護計画は変わらない」という形骸化に陥り、同じ薬剤で繰り返しヒヤリ・ハットが起きやすくなります。
最後に、教育の観点では新人・異動者向けに「ブルーレター/イエローレターを見たら、まずPMDAで原文と添付文書を確認する」という行動規範を定着させると強いです。日本薬学会もイエローレターとブルーレターの関係(イエローの方が緊急性が高く、ブルーはそれに準じる)を整理しているため、院内研修の定義パートは公的な説明を引用しやすい利点があります。
参考:日本薬学会の用語解説(イエローレターの性格、黄色A4様式、ブルーレターがそれに準じる安全性速報であること)
https://www.pharm.or.jp/words/word00162.html