実は「痛がる患者さんにその場でほぐす」対応を続けると、半年後のADLスコアが20点以上悪化するケースがあります。

医療従事者の多くは、五十肩の患者さんが痛みを訴えると、とりあえず肩周囲を軽くマッサージして筋緊張を落とそうとします。 しかしガイドラインでは、炎症期の肩関節周囲炎に対しては、過度な徒手的刺激ではなく、運動療法と物理療法を慎重に併用することが推奨されています。 痛みがNRS7以上で夜間痛が残るような症例に、毎回10分以上の局所マッサージを行うと、一時的な安心感と引き換えに炎症が長期化し、結果的に可動域制限とADL低下が長引くリスクがあります。 つまり炎症期は「どれだけ触るか」ではなく「どれだけ守るか」を考える時期ということですね。 tokyo-jointclinic(https://tokyo-jointclinic.jp/tsunashima/blog/42-66/)
具体的には、炎症期では肩関節を心臓よりやや高く保ちつつ、痛みの少ない範囲での振り子運動(ペンデュラム)や肘関節・手関節の自動運動を優先し、肩そのものへの揉みほぐしは必要最小限に抑えます。 ペンデュラム運動は、前かがみで体幹を支えながら腕をぶら下げ、直径10〜20cmほど(はがき1〜2枚分の幅)の小さな円を描くように動かすだけですが、関節内圧を上げずに関節包をゆっくり動かせます。 このときの指導は「痛みの増悪が24時間以上残るなら、その強度は強すぎる」が原則です。 leaf-futamatagawa(https://leaf-futamatagawa.com/blog/1274/)
炎症期にどうしてもタッチが必要な場合は、肩そのものではなく、肩甲骨内側や上腕二頭筋長頭の筋腹など、患部から少し離れた部位への軽いマッサージや皮膚のローリングにとどめ、1部位あたり1〜2分で切り上げる方が安全です。 これにより、患者さんの不安と筋緊張をほどきつつ、炎症そのものを刺激しないバランスが取れます。結論は「痛い肩をその場で揉むほど、長期のリハビリ期間が伸びやすい」です。 aobadai-seikotsu(https://aobadai-seikotsu.net/symptoms/post-2388/)
このフェーズでは、施術中の短期的な痛みよりも、施術後24時間の痛みと可動域変化を評価指標にすることが重要です。つまり「ストレッチ直後に少し痛いが、翌日には可動域が5〜10度改善している」状態が目標になります。 ここで痛みを恐れて刺激を弱くしすぎると、患者さんは「楽だけどいつまでも上がらない肩」を抱え続けることになります。つまり「拘縮期に穏やかすぎる介入は、患者さんの時間を奪う」です。 jspt.or(https://www.jspt.or.jp/guideline/2nd/shoulder/)
肩関節周囲炎の患者では、医療機関でリハビリやマッサージを受ける時間より、自宅で過ごす時間の方が圧倒的に長く、その「在宅時間」をどう使うかで予後が変わります。 みどり病院などの資料では、自分でできる肩関節周囲炎のリハビリとして、肩甲骨を内側に寄せるストレッチや、壁を使った登り運動、タオルを使った内外旋運動などが紹介されています。 これらを1日2〜3セット、1セット10〜15回程度行うことで、拘縮期の可動域改善をサポートでき、全くリハビリを行わない場合と比べて、数カ月後の肩挙上角度が30度以上違ってくるケースもあります。 セルフエクササイズは「週に1回のリハビリを毎日に変換する装置」ということですね。 midori-hp.or(https://midori-hp.or.jp/rehabilitation-blog/web18_12_14/)
マッサージとの組み合わせ方としては、通院日の前半にセラピストによるマッサージと関節モビライゼーションを行い、後半で患者自身が行うエクササイズをその場で反復練習させる方法が現実的です。 例えば、肩甲骨内転のエクササイズでは、胸を張りながら肩甲骨を背骨側に寄せる動きを10回行い、その後に壁を使った前方挙上を10回行うなど、2〜3種類に絞って指導します。 自宅では、1回あたり5〜10分程度で終わるルーティンとして、ペンデュラム運動、肩甲骨内転運動、タオル内旋運動を組み合わせると、無理のない範囲で継続しやすくなります。 leaf-futamatagawa(https://leaf-futamatagawa.com/blog/1274/)
リスクとしては、痛みが強い日に同じ強度で続けてしまうと、炎症をぶり返してしまうことです。ここで役立つのが「痛み日記」や簡単なチェックシートで、患者さんに1日10秒で痛みの強さとエクササイズ内容を記録してもらう方法です。つまり「セルフエクササイズは、量よりも調整力が大事」です。
日本理学療法士協会が公開している「肩関節機能障害−肩関節周囲炎」のガイドラインでは、炎症期・拘縮期・回復期といった病期ごとに、推奨される運動療法や徒手療法が整理されています。 ここで医療従事者が見落としがちなのは、「運動療法と物理療法」「運動療法と徒手療法」の併用が推奨されている一方で、どのフェーズでも「痛みの過敏性を評価したうえで強度を調整する」ことが前提になっている点です。 つまり、同じマッサージ手技でも、炎症期と拘縮期で許容される強度や頻度がまったく違うということです。ガイドラインを読まずに「昔からのやり方」で一律に揉んでしまうと、結果的にエビデンスから外れた介入になりかねません。 jspt.or(https://www.jspt.or.jp/guideline/2nd/shoulder/)
一方、日本理学療法士協会の患者向けハンドブックでは、医療機関での理学療法士によるリハビリと、自宅での適切な運動の併用が推奨され、無理をした運動や我流のマッサージは、むしろ悪化のリスクがあると明記されています。 このような公式資料を、患者説明用のパンフレットや院内掲示に活用することで、「とりあえず揉んでほしい」というニーズに対して、科学的な根拠を示しながら代替案を提示しやすくなります。エビデンスを患者教育のツールに変えることがポイントです。 japanpt.or(https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook13.pdf)
肩関節機能障害理学療法ガイドライン(肩関節周囲炎の病期別推奨介入の確認に有用)
現場で見落とされがちな視点として、「マッサージの技術」より前に、患者の行動習慣をどう変えるかというコミュニケーションの問題があります。 例えば、デスクワーク中心の患者が、1日8時間以上、肩を前方に丸めた姿勢で過ごしている場合、どれだけ週1回のリハビリで肩甲骨周囲をほぐしても、日常の姿勢習慣がその効果を上書きしてしまいます。 肩甲骨を内側に寄せるエクササイズを10回行っても、残りの数千回の「猫背動作」が続けば、筋のバランスは元に戻ってしまうからです。厳しいところですね。 midori-hp.or(https://midori-hp.or.jp/rehabilitation-blog/web18_12_14/)
このギャップを埋めるためには、「1日に3回だけ、仕事の合間に肩甲骨を寄せる」「夜の歯磨きの前後だけ壁歩き運動をする」といった、具体的で小さな習慣を提案することが有効です。 人は一度に大きな行動変容を求められるより、1回30秒程度の小さな行動を日常のルーティンに紐づけられた方が、遵守しやすいとされています。ここで役立つのが、スマートフォンのリマインダーや、カレンダーアプリへの「肩エクササイズ」の登録といったデジタルツールです。つまり「生活リズムにリハビリを埋め込む」のがコツです。 japanpt.or(https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook13.pdf)
さらに、患者が「触られたら楽になる」という受け身の認知から、「自分で動かすと良くなる」という主体的な認知に変わるような説明が重要です。 例えば「このマッサージは、次のエクササイズの効果を2〜3割上げるための下準備です」と伝えるだけで、患者の意識は受け身から能動的に変わりやすくなります。 その結果、通院日以外のセルフエクササイズの実施率が上がり、3カ月後の可動域や痛みスコアの改善が目に見えて変わってくることがあります。 結論は「技術だけでなく、説明の一言が予後を変える」です。 aobadai-seikotsu(https://aobadai-seikotsu.net/symptoms/post-2388/)