薬包紙で粉薬をこぼれないように包むとき、いちばん効くのは「折り方の型」を固定することです。毎回“なんとなく”折ると、封の強さが日替わりになり、患者さんのバッグの中で開きやすい包みが混ざります。
ここでは、正方形の薬包紙を想定し、再現性の高い折り方を文章で手順化します。ポイントは、左右の「袖」を作る工程で、先端が“中央かやや下”に来るように狙うことです(高い位置にすると重なりが増えて厚くなり、差し込みが甘くなりやすい)。この考え方は、固体試料の薬包紙折りの手順でも、先端位置が上過ぎると厚みで折りにくくなる・移し替えがスムーズでなくなると説明されています。
【手順(こぼれない型)】
✅ 1) 対角線で二つ折りにして三角形を作る(折り目をしっかり付ける)。
✅ 2) 左の袖を右前へ折り返す(袖の先端は“中央かやや下”を目安にする)。
✅ 3) 右の袖も同様に折り返す(左右の袖で中央に細い「谷」を作る意識)。
✅ 4) 粉薬は中央付近に載せ、袖部分に粉が残らないよう中央へ寄せる。
✅ 5) 片方の肩(上側の角)を手前に折り返し、反対側も同様に折る。
✅ 6) 最後に、先端を「ポケット」に差し込む(差し込みが浅いと漏れの原因)。
現場では「差し込めたか」だけで合否判定しがちですが、実際は差し込み“前”の厚み(袖の先端位置)で成否が決まります。先端が上寄り=厚い=差し込みが浮く、という失敗パターンをまず潰してください。
折り方が合っていても漏れる包みには共通点があります。それは、粉薬が「袖」や「折り返しライン」に乗ったまま折ってしまい、紙と紙が密着しないことです。見た目は閉じていても、微粉が“スペーサー”になり、持ち歩きの振動で隙間が育ちます。
粉薬を置くときは、次の2点だけ徹底すると漏れが減ります。
【意外に効く小技】
🧪 粉がサラサラで逃げるときは、薬包紙の中央を指で軽く押して「浅いくぼみ」を作ってから載せます。こうすると粉が静止し、袖に流れにくくなります(紙を折る前の形づくりが、後工程の密閉性を上げる)。
また、量が多い場合に無理に薄い包みに押し込むと、折り目が戻って隙間ができます。そういうときは、薬包紙を「箱形」に折る別法(四つ折り→袖を広げてつぶす、など)も提示されており、量に合わせて形を変える判断が必要です。
「こぼれない折り方」を阻む失敗は、だいたい次の3つに集約されます。再発防止のために、原因→対策をセットで覚えるのが最短です。
【失敗1】袖の先端が上過ぎて厚みが重なる
【失敗2】粉が袖・折り返し部分に残って密着しない
【失敗3】差し込み先の「ポケット」が浅い/向きがズレる
【チェック用ミニ表】
| チェック項目 | OKの目安 | NGのサイン |
|---|---|---|
| 袖の先端位置 | 中央〜やや下 | 上寄りで厚い |
| 粉の位置 | 中央付近 | 袖や端に粉が残る |
| 差し込み | 抜けにくい | 軽く触ると戻る |
「折れた」ではなく「持ち歩きに耐える封になった」かで評価すると、事故は減ります。
医療従事者向けに見落とせないのが、患者さん側の「開封・服用時のこぼれ」です。包みが完璧でも、開け方が悪いと粉が飛散し、服薬アドヒアランス低下やクレームに直結します。
薬包紙の説明として、包みを解いたあと「元々折り目のある角」から傾けると粉が滑ってうまく服用できないことがある、とされています。対策として、折り目の無い「辺」の方へ軽く折り目を付けて粉薬を中央へトントンとまとめ、作った折り目から注ぐとよい、という具体的な動作が示されています。
患者指導に使える伝え方(短文)を用意しておくと便利です。
この“注ぎ口を作る”指導は地味ですが、粉薬が苦手な患者さんほど効果が出ます。薬包紙の折り方だけでなく、渡した後まで含めた「こぼれない設計」が医療品質です。
検索上位の多くは「折り方の手順」中心ですが、現場での事故予防として意外に効くのが、薬包紙の“運用ルール”です。薬包紙には用途で色を使い分ける考え方があり、内服用散剤に白色、外用剤に赤色、頓服に青色を用いる、といった整理がされています。さらに、遮光が求められる場合は赤色を内側にして、外側を白色で二重に包む、といった運用も示されています。
ここを「こぼれない」に結び付けると、独自に改善できる点が出ます。
折り方の技術だけでなく、色や二重包みの選択、患者さんの持ち歩き状況まで見て“漏れやすい処方”を先読みできると、ミスはさらに減らせます。
日本病院薬剤師会雑誌(1999)由来の「薬包紙の折り方」資料(折り方バリエーション言及の参考)。
https://www.ayuzawa.jp/drugstore/updata/yakuhousi-orikata.pdf
薬包紙の概要、色分け、二重包み、服用時のこぼれ対策(辺側で注ぎ口を作る)の参考。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%8C%85%E7%B4%99
固体試料向けだが「袖の先端位置」「中央寄せ」「ポケットへ折り込む」など、こぼれない折りの理屈が具体的な参考。
http://www9.gunma-ct.ac.jp/staff/nakajima/Lecture/PowderPaper.pdf