寝る前の点眼は「完全にダメ」ではありませんが、「目を閉じる直前」は避けるのが安全です。睡眠中は涙液がほぼ分泌されず、点眼してすぐに就寝すると薬液が目の表面に長時間滞留し、角膜や結膜に悪影響が出る可能性があるためです。
市販薬のQ&Aでも、点眼後は少なくとも5分以上経ってから寝るように推奨されています。 企業FAQでも、就寝時は涙の流出が低下し成分が通常より長く留まりうるため、就寝の5~10分(最低5分以上)前に点眼するよう注意喚起があります。
医療従事者として患者説明に落とすなら、次の一言が実務的です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/8ff163dcb51b0355e2b4d5e023a1761ef975a508
また、夜はまばたき回数が減る環境(暗所でスマホ、動画視聴)からそのまま就寝に入りやすく、乾燥感の自覚が強くなるタイミングです。そこで「寝る前に足す」発想自体は自然ですが、守るべきは“時間の余白”です。
ドライアイの「寝る前の1回」でまず使いやすいのは、人工涙液などの潤いを補うタイプです。就寝前は涙の動きが鈍り、薬液が長く留まりやすいので、刺激や薬理作用が強いものほど扱いは慎重になります。
患者が市販で選ぶ場面では、症状だけで“強そうな目薬”へ流れがちです。医療者側は、次の観点で誤選択を減らせます。
ここでの意外な落とし穴は、「夜の1回だけで完結させよう」としてしまう点です。夜に点眼しても、睡眠中に涙がほぼ出ない条件そのものは変わらないため、乾燥が強い患者ほど“朝の立ち上がり”で症状が再燃しやすいです。 そのため、夜+朝の2点で生活導線に組み込む提案が現実的です。
複数の点眼薬がある患者(ドライアイ+アレルギー、術後点眼、緑内障など)では、就寝前の「まとめ差し」が起きがちです。ところが連続点眼は、後から入れた液で先の薬が押し流され、滞留時間と実効濃度が下がります。そこで「5分以上の間隔」が基本になります。
就寝前は特に、患者が“早く寝たい”心理で間隔を詰めやすいので、説明は具体的にすると守られます。
また「何滴も入れれば効く」という誤解も多いですが、1回量を超えた分は溢れてロスになりやすく、むしろ汚染や刺激のリスクを増やします。就寝前は暗所で手元が狂いがちなので、「1回1滴を確実に」の方が安全運用です。
検索上位の説明では「寝る前は5分あける」「間隔をあける」が中心ですが、臨床ではもう一段、患者安全につながる視点があります。それが“鼻涙管からの流出=全身移行”です。点眼後に苦味や甘味を感じるのは、薬液が涙点から鼻涙管を通って鼻腔へ排出され、喉へ流れるためで、これは多くの患者が体感しやすい現象です。
つまり就寝前に点眼してすぐ目を閉じて寝る行為は、眼表面での滞留だけでなく、鼻腔側への流れ方も含めて「患者が気づきにくい薬理学的イベント」を増やします。そこで医療従事者向けには、次の“ワンフレーズ指導”が役立ちます。
この“目頭押さえ”は、緑内障点眼など全身副作用が問題になる薬剤でよく強調されますが、ドライアイ領域でも「味がして嫌→勝手に中止」というアドヒアランス低下を防ぐ実務的テクニックになります。
参考:就寝前に点眼する場合の「少なくとも5分以上あける」理由(涙分泌低下、滞留による悪影響の可能性)
https://www.jsmi.jp/selfmedication/qa/megusuri.html
参考:就寝前は5~10分(最低5分以上)前に点眼する、睡眠中は涙の流出が低下し成分が長く留まりうる
https://faq.rohto.com/faq_detail.html?id=6&category=3&page=1