「注す」は多くの人が「ちゅうす」と読んでしまいがちですが、日常語としての代表的な読み方は「さす」です。意味の核は「少量の液体を、ある場所へそそぎ入れる」「液体を少し(少しずつ)加え入れる」で、例として「目薬を注す」「ギヤに油を注す」「花瓶に水を注す」などが辞書に載っています。
医療従事者の文脈で一番わかりやすい対応先は、点眼の「目薬をさす」です。つまり、患者さんが言う「目薬をさす」を、漢字にするなら「目薬を注す(または点す)」という関係になります。
ただし、現場で「注す」を常用する場面は正直多くありません。患者説明やスタッフ間の会話では、読み間違い・変換ミス・誤解のコストが大きいからです。たとえば口頭で「さしておいてください」と言った場合、点眼なのか注射なのか、状況によっては一瞬迷いが生じます(特に「さす」が多義だからです)。辞書でも「さす」には「注す」以外に「指す」「差す」「射す」など多様な表記があるとされ、元は同一の語で漢字が分かれた、という補説まで載っています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/4ba1d64f5e5ee7dff9b898b7cd13b86ce9cd06e6
医療の文書(院内掲示、配布資料、説明書)での実務的な結論としては、次の2つが安全です。
この整理をしておくと、教育・申し送り・多職種連携の場で、「言葉の揺れ」による小さな事故(伝達ミス)を減らせます。
点眼は医学用語としては「点眼」が標準ですが、日常語では「目薬をさす」が圧倒的に通じます。辞書上、「注す」には「ごく少量の液体をある部分にそそぎ入れる」用例として「目薬を—・す」が明示されており、まさに点眼の動作を表す語になっています。
ここで、意外と見落とされるのが「量感」です。辞書は「ごく少量」「少し、または少しずつ加え入れる」という表現を使い、「注す」は“ドバッと注ぐ”ではなく、“必要量だけを加える”ニュアンスを含んでいます。
これが医療の点眼指導に合う理由で、患者さんに「1滴で十分」「あふれた分は効き目が増えるわけではない」と説明するとき、言外に「少量を適切に」という感覚を支える言葉でもあります。
一方で、眼科領域では、患者さんが自己流で回数を増やしたり、1回に何滴も入れたりしてしまうことがあるため、言葉選びが行動に影響します。ここで「注す」の本来のニュアンス(少量を目的部位へ)が頭に入っていると、「点眼=少量を必要部位へ」という教え方に一貫性が出ます。辞書的には「点す」も「さす」の表記として併記されますが、一般には「目薬を点す」を目にする機会が減っているため、院内文書では読みやすさ重視でひらがな・専門語を使い分けるのが現実的です。
参考)https://www.irinakaganka.jp/blog/9729.html
また、患者さんの質問で地味に多いのが「目薬を“刺す”の?」という誤解です。ここで「注す(注ぐ)」の意味を知っていると、「針で刺すのではなく、液体を入れる動作だから“さす”と言う」と落ち着いて説明できます。辞書でも「注す」は「注ぐ(そそぐ)」と同義語の位置づけで紹介されることがあります。
参考)「ちゅうす」?…いえいえ、「注す」って正しく読める?
医療従事者が特に注意したいのは、「注射(ちゅうしゃ)」という強力な医療用語があるために、「注す=注射の注=針で刺す」のような連想が起きやすい点です。実際には、「注す(さす)」の中心は液体を少量入れることで、辞書の代表例は目薬や油であり、針を刺す行為そのものを直接指す説明ではありません。
つまり、同じ「注」という字が含まれていても、医療行為名としての「注射」と、動作語としての「注す」は一致しません。
さらにややこしいのが、「注射」という語が「刺す」感覚と結びつきやすい一方で、「さす」自体が「刺す」「射す」「差す」「指す」など複数の漢字に分かれることです。辞書の補説でも、これらは本来同一の語にさまざまな漢字を当てた、とされています。
この「多義性」は、医療現場では伝達ミスの温床になり得ます。たとえば、
そこで、チーム内の言語運用としては、動作レベルの「さす」を避け、行為名に置き換えるのが安全です。
この言い換えは堅すぎるようで、実は「誤解コスト」を減らします。特に新人教育や、繁忙時のショートハンド(短い指示)が増える病棟では、言葉の曖昧さがそのままリスクになります。
医療従事者の文書業務で現実に起きるのが、IME変換や音声入力での取り違えです。「ちゅうする」と入力したつもりが、「注する(注釈する、記す)」の意味で確定してしまう、あるいは逆に「注す(さす)」が出てきてしまう、といったケースです。辞書では「注する」は「本文中の語句を取り出して注釈をほどこす」「説明を書きつける、記す」と明確に定義されています。
この「注する」は、カルテの注記・報告書の注釈・資料の脚注など、“文章に説明を付ける”行為に近い言葉です。
一方で「注す(さす)」は、先ほどの通り液体を少量入れるなどの動作語です。
両者は、同じ「注」を使いながら読みも意味も違うため、特に以下の場面で混乱が起きやすいです。
対策として、文章で“注釈”の意味を出したいときは、無理に「注する」を使わず「注記する」「補足する」「脚注を付す」など、読み誤りが少ない表現に寄せるのも実務的です(院内の表記ルールに合わせるのが前提)。
参考:辞書の「注する」の定義(注釈、記すの意味)
コトバンク:注する(ちゅうする)の意味
検索上位の解説は「読み方・意味・漢字の使い分け」が中心になりやすい一方、医療従事者が本当に困るのは「患者説明で誤解が起きない言い方」です。ここを独自視点として、現場のコミュニケーション設計に落とし込みます。
ポイントは、「さす」を“動作の擬音語”のように便利に使いすぎないことです。辞書が示す通り「さす」は多義で、「注す」以外にも多くの漢字があり得ます。
そこで、患者さんとスタッフ双方にとって誤解が少ない言い換えを、あらかじめ定型化しておくと強いです。
例えば点眼指導なら、次のように“行動”が想像できる言葉に変えます。
注射・採血・穿刺の場面なら、動詞を明確化します。
この工夫は、患者さんの不安にも効きます。「さす」という語は、人によって“刺す”の痛みを連想しやすく、点眼の説明にも痛みのイメージが混ざることがあります。ここで「注す=少量の液体を入れる」という背景を踏まえつつ、説明文は具体動作にしておくと、余計な恐怖や誤解が起きにくくなります。
最後に、院内での表記ルールとしておすすめなのは、
という二層構造です。辞書が示す「注す」の定義と用例(目薬を注す)を知っていると、この二層設計に納得感が出て、ルールが形骸化しにくくなります。
参考:辞書の「注す」定義(目薬を—・す等の用例、少量の液体をそそぎ入れる)
Weblio辞書:注す(さす)の意味

12V防水車のルーフトップデリバリーLEDライトキャブタクシーのトップライト の磁気ベース 防水タクシードームライト3 Mタバコを点す器プラグ線 (White)