医療略語は「短く書ける」一方で、相手の解釈に依存すると事故の入口になります。特に新人~異動直後は、略語を“知っているか”より“安全に扱えるか”が重要です。
まず押さえたい実務ルールは次の通りです。
意外と盲点なのが「院内で使用禁止」の略語が存在することです。たとえば院内略語集では、重複欄が「×」の略語は使用禁止として管理されている例があり、現場の安全設計として重要です。
院内ルールは、個人の暗記より優先順位が上です(“正しい略語”ではなく“その施設で安全な略語”が正解になります)。
参考リンク(院内略語の重複・使用禁止の考え方、A~の具体例が載っています)
福岡大学病院「院内略語集」(重複欄が×の略語は使用禁止、A/AA/ABP/AF/ALP等の定義例)
看護の現場で頻出する略語は、大きく「疾患・診断」と「処置・ケア」に分かれます。ここでは、病棟・外来で遭遇しやすい代表例をアルファベット略語としてまとめ、意味と“誤解が起きやすい点”まで添えます。
■ 疾患・診断でよく見る例
■ 処置・ケアでよく見る例
これらは一般的な医療略語一覧でも整理されており、特に「ジャンル別に一覧化」されている資料は新人教育や異動時の立ち上がりに向きます。
参考リンク(疾患・処置・検査・物品などをジャンル別に一覧化。DM/COPD/UTI/AMI、CV/NPO/RR/SpO2等の例)
CLIUS看護「よく使う医療略語・専門用語一覧」(ジャンル別テーブル)
検査略語は「読み方を知っている」だけだと不十分で、臨床の文脈(どこが傷んでいそうか、何を追加確認するか)までセットで使えると強い領域です。特に肝・腎・炎症は、申し送りの密度が上がるほど略語が連打されがちです。
■ 肝機能・胆道系で頻出
■ 腎機能・脱水評価で頻出
■ 炎症・感染で頻出
現場の「意外な落とし穴」は、同じ検査でも“施設の表記ゆれ”があることです。AST/ALTがGOT/GPTで書かれていたり、CrがCREと表記されることがあったり、電子カルテの表示仕様で略語が変形する場合があります。
したがって、部署でよく出る検査の略語は「並び(肝・腎・炎症)」と「別名(旧名)」をセット暗記すると、読み違いが減ります。
参考リンク(AST/ALT/ALPなど血液生化学検査の略記号を列挙し、略語の扱いに触れている資料)
UMIN(学会関連)「略記号の一覧」(AST/ALT/ALP/BUN/CK/CRP/Cr/T-Bil等の例)
参考リンク(ASTとALTの違い、AST=GOT/ALT=GPT表記、ASTが肝以外にもある点、ALPの説明)
志木クリニック「肝機能障害とは?(AST・ALT、γ-GTP、ALP…)」
急変時は、略語が“情報圧縮”として極めて有効ですが、同時に「伝えたつもり」のリスクも最大化します。だからこそ、標準化された枠組み(アルファベット)を使う価値が高いです。
■ ABCDE(一次評価の型)
ABCDEは、観察や処置の優先順位を「議論せずに揃える」ための共通言語です。新人が急変に遭遇したときも、「Aから確認します」と言えるだけで、チームが同じ順で動けます。
■ SBAR(報告の型)
SBARは、報告の質を個人スキルから“型”へ移す方法で、略語が多い現場ほど効果が出ます。特に夜勤帯や医師コール時は「略語の羅列」ではなく、SBARで要点を束ねる方が誤解が起きにくいです。
参考リンク(ABCDEの各要素:A気道、B呼吸、C循環、D中枢神経、E脱衣と外表・体温)
ナース専科「迅速評価→1次評価(ABCDE)…」(ABCDEの説明)
検索上位の記事は「略語の意味一覧」が中心になりがちですが、実務では“運用設計”が事故予防に直結します。ここでは、現場であまり言語化されない「略語管理」のコツをまとめます。
実践アイデアとして、申し送りやカンファで出た略語を“その場で1行メモ”し、週1で部署共有の略語メモを更新すると、暗記の負荷が分散されます。特に「重複しやすい略語(AD/AC/BPなど)」だけを集めた“危険略語リスト”は、教育効果が高いです。
参考リンク(重複・使用禁止の仕組み、更新日を含む院内略語の運用例)
福岡大学病院「院内略語集」(全略語件数、重複欄×は使用禁止、Ver表記)