テリルジーは3つの成分を含む吸入薬で、吸入ステロイド(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)、長時間作用型β2刺激薬(ビランテロール)、長時間作用型抗コリン薬(ウメクリジニウム)が配合されています。
主要な副作用発現頻度
テリルジーの副作用は、含まれる3つの成分それぞれの特性に起因するため、各成分の作用機序を理解することが重要です。吸入ステロイドによる局所的な副作用と、全身に作用するβ2刺激薬や抗コリン薬による全身性の副作用に大別されます。
吸入ステロイド成分による主な呼吸器系副作用
最も頻度の高い副作用は口腔・咽頭領域に現れます。
予防と対処法
吸入後のうがいの徹底が最も重要な予防策です。うがいにより口腔・咽頭に残存する薬剤を除去し、カンジダ症や発声障害のリスクを大幅に軽減できます。症状が持続する場合は、抗真菌薬の処方や吸入手技の見直しが必要です。
β2刺激薬成分による循環器系副作用
長時間作用型β2刺激薬(LABA)のビランテロールにより以下の症状が現れる可能性があります。
モニタリングのポイント
心疾患の既往がある患者では特に注意深い観察が必要です。定期的な心電図検査や心拍数のモニタリングを行い、症状の悪化が認められた場合は速やかに医師への相談を促します。β遮断薬との相互作用にも注意が必要です。
抗コリン薬成分による特有の副作用
ウメクリジニウムの抗コリン作用により以下の症状が生じます。
高リスク患者の管理
前立腺肥大症の患者では排尿困難が悪化するリスクがあるため、症状の変化を慎重にモニタリングする必要があります。緑内障患者では定期的な眼圧測定が推奨されます。これらの症状が現れた場合は、速やかに専門医への紹介を検討します。
アナフィラキシー反応(頻度0.1%未満)
テリルジーの最も重篤な副作用として、アナフィラキシー反応があります:
肺炎のリスク(頻度0.9%)
吸入ステロイドの長期使用により肺炎のリスクが増加します:
緊急時の対応プロトコル
アナフィラキシー症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、エピネフリンの投与を検討します。呼吸困難や血圧低下などの重篤な症状では救急医療機関への搬送が必要です。
患者教育のポイント
テリルジーは3成分配合により高い治療効果を示す一方で、各成分に由来する多様な副作用プロファイルを有します。適切なモニタリングと患者教育により、安全で効果的な治療が可能となります。