YAM値が70%を下回っても、Tスコアが−2.5を超えていれば骨粗鬆症と診断されないケースがあります。
YAM値とは「Young Adult Mean」の頭文字を取った略語で、20〜44歳の健康な若年成人の骨密度平均値を100%としたときの比率です 。式で表すと「%YAM=100×個人の骨密度÷YAM」となり、値が高いほど骨が丈夫な状態を示します 。 creage.or(https://www.creage.or.jp/column/kotsumitsudo-kensa)
たとえばYAM値が80%であれば、同性の若年成人平均と比べて骨密度が20%低いことを意味します 。65歳の女性でYAM 85%なら年相応・正常範囲、YAM 68%なら減少スピードが速く治療を検討するタイミングと判断されます 。 city-kofu-hp(https://www.city-kofu-hp.jp/topic/2025-BoneDensity.html)
YAM値はパーセンテージで表すため、患者さんに対して直感的に伝わりやすいという特徴があります 。「若い頃の骨の強さを100点として今は何点か」という説明が通じるのはこの指標の大きな利点です。これは使えそうです。 city-kofu-hp(https://www.city-kofu-hp.jp/topic/2025-BoneDensity.html)
骨粗鬆症の診断基準では、YAM値が80%以上で正常、70〜80%未満で骨量減少、70%未満で骨粗鬆症と判定されます 。日本の診療現場ではこの%YAM表示が標準的に用いられており、検査レポートにも印字されることがほとんどです 。 gehealthcare.co(https://www.gehealthcare.co.jp/products/bone-and-metabolic-health/kotsumitsu/technicaltips00r)
| YAM値の範囲 | 判定 | 対応のめやす |
|---|---|---|
| 80%以上 | 正常 | 現状維持・生活指導 |
| 70〜80%未満 | 骨量減少(要注意) | 生活改善・定期フォロー |
| 70%未満 | 骨粗鬆症 | 薬物療法を含む治療検討 |
YAM値とTスコアのおおよその対応関係は以下の通りです 。 city-kofu-hp(https://www.city-kofu-hp.jp/topic/2025-BoneDensity.html)
ただし、この換算は腰椎DXA測定を前提とした近似値です。つまり測定部位が大腿骨頸部に変わると係数がずれます。YAM値だけを見てTスコアを「ちょうど−2.5」と決め打ちするのは原則として避けるべきです。
骨粗鬆症財団が公表している測定結果プリントアウト例でも、%YAMとTスコアは別々に記載されており、常にセットで確認することが推奨されています 。両者が独立した情報を持つことの証拠と言えます。 jpof.or(https://www.jpof.or.jp/Portals/0/images/publication/sokutei.pdf)
日本骨代謝学会の原発性骨粗鬆症診断基準では、YAM値70%以下またはTスコア−2.5 SD以下が骨粗鬆症の骨密度条件を満たす、と規定されています 。「またはOR」という点が重要です。 jsbmr.umin(https://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/g-guideline.pdf)
つまり一方の基準だけを満たした場合でも、脆弱性骨折など他の条件と組み合わせれば骨粗鬆症と診断されます。これが冒頭の驚きの一文の背景にある仕組みです。
治療開始の目安についても、YAM値を軸にした段階的判断が用いられています 。 med.niigata-u.ac(https://www.med.niigata-u.ac.jp/ort/site/wp-content/uploads/13-2.-%E9%AA%A8%E7%B2%97%E3%81%AE%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%83%BB%E6%A4%9C%E6%9F%BB.pdf)
一方、国際骨粗鬆症財団(IOF)やWHOが骨粗鬆症診断に推奨しているのはTスコアです 。海外の診断基準はTスコア−2.5以下を骨粗鬆症と定義しており、YAM値はほぼ日本独自の表現形式です。 marunouchi-c(https://www.marunouchi-c.org/img/dock/column2/credential-31.pdf)
Tスコアで判断する場合、−2.5以下で骨折リスクが約2〜3倍、−3.0以下で約4〜5倍に跳ね上がるとされています 。骨折リスクの定量評価にはTスコアの方が国際論文でのエビデンスが豊富です。結論はTスコアが診断・研究に、YAM値が患者説明に、という使い分けが基本です。 city-kofu-hp(https://www.city-kofu-hp.jp/topic/2025-BoneDensity.html)
参考:骨密度検査の結果の見方(YAM値とTスコアの対応表付き)
市立甲府病院:骨密度検査の結果の見方(YAM値・Tスコア対応表)
実臨床では「診断はTスコア、説明はYAM値」という使い分けが定着しています 。医師や看護師が患者に結果を説明する際、「−2.5 SD」と言うより「若い頃の70%まで下がっています」と伝える方が格段に理解されやすいからです。 city-kofu-hp(https://www.city-kofu-hp.jp/topic/2025-BoneDensity.html)
これは患者教育の場面でとくに重要です。Tスコアだけを読み上げても、多くの患者は数字の深刻さを実感しにくい傾向があります。厳しいところですね。
一方、カルテへの記載や紹介状・診断書では、Tスコアで統一する施設が多いです。国際基準との整合性を保つためです。検診結果の報告書には%YAMとTスコアの両方を表記できる機器が多く、どちらも印字しておくと患者とのコミュニケーションと診療記録の両方に対応できます 。 gehealthcare.co(https://www.gehealthcare.co.jp/products/bone-and-metabolic-health/kotsumitsu/technicaltips00r)
薬物治療の効果判定においても、定期的な骨密度測定が必要です。治療開始から1〜2年後に再測定し、Tスコアまたは%YAMの改善度を確認するのが標準的な流れです。骨密度測定の間隔についての詳細なエビデンスは以下の文献が参考になります。
参考:骨密度検査の推奨間隔に関するエビデンスと%YAM・Tスコアの換算方法
YAM値とTスコアに加え、「Zスコア」という指標も骨密度検査では報告されることがあります 。ZスコアはTスコアと異なり、同年齢・同性の平均値と比較した標準偏差です。 med.niigata-u.ac(https://www.med.niigata-u.ac.jp/ort/site/wp-content/uploads/13-2.-%E9%AA%A8%E7%B2%97%E3%81%AE%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%83%BB%E6%A4%9C%E6%9F%BB.pdf)
たとえば70歳女性のTスコアが−2.5であっても、Zスコアが0に近ければ「同年代と比較すると平均的な骨密度」ということになります。YAM値やTスコアだけでは「年齢相応かどうか」の判断ができません。
Zスコアが−2.0以下の場合、薬剤性・内分泌疾患などの二次性骨粗鬆症を鑑別する必要があります 。年齢より著しく骨密度が低いケースでは、Tスコアだけを見ていると見逃しが生じるリスクがあります。Zスコアは必須の確認項目です。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/medical-device/bone-densitometry-bmd/)
医療従事者が骨密度レポートを読む際には、%YAM・Tスコア・Zスコアの3指標を並べて確認する習慣が、見落とし防止において非常に有効です。意外ですね。
参考:骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会)
日本骨代謝学会:原発性骨粗鬆症の診断基準(PDF)