亜鉛華軟膏は、一般に「1g中に酸化亜鉛200mg(20%)」を含有する製剤として扱われ、実際に製品情報でも100g中に酸化亜鉛20gと記載されています。
一方、亜鉛華単軟膏(例:亜鉛華(10%)単軟膏)は「100g中に酸化亜鉛10g(10%)」という設計が代表的で、製品情報にも明確に示されています。
濃度差は見た目や名称では直感しにくく、現場では「単=薄い」「単=10%」と短絡しがちですが、実務では“製品名の後ろの%表示”と“組成”で確認するのが安全です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/db67d93415488750f0cb94d402f524b0f64aa382
また、同じ「単軟膏」でも例外として20%濃度の製品が存在する旨が指摘されており、オーダー・採用品目の規格を施設内で統一しておくことが事故予防に直結します。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/00d640330bdcf3f55155415d8d738ba3a93a9f96
酸化亜鉛は収れん・保護に寄与しますが、濃度が高いほど乾燥方向に振れやすく、長期使用時の乾燥・発赤・掻痒感に配慮して10%程度を推す見解も示されています。
つまり「濃いほど万能」ではなく、患部の湿潤度・治療ステージ・患者背景(高齢者の乾燥肌、乳児の皮膚バリアなど)で“最適濃度”を探る、という考え方が重要です。
亜鉛華軟膏の基剤は白色ワセリン系で、乳化剤(界面活性剤)を含む点が特徴として説明されています。
実際に製品情報でも、亜鉛華軟膏側には乳化剤(ソルビタンセスキオレイン酸エステル)が含まれることが示され、基剤設計として“水分を取り込みやすい方向”が意識されています。
対して亜鉛華単軟膏は「単軟膏」を基剤とし、乳化剤を含まないことが明確に述べられています。
具体例として、亜鉛華(10%)単軟膏の添加剤にはミツロウ・ダイズ油・酸化防止剤などが記載されており、同じ亜鉛華系でも触感やにおい、塗り広げやすさの印象が変わり得ます。
意外に見落とされるのは「患者が感じる剤形差」です。
例えば、天産物由来の添加剤を含む単軟膏ではロット差で色調が変わることがあると説明されており、患者から“変色した”と相談されたときに、品質問題と切り分けて説明できると無用な中断を減らせます。
また、基剤が異なると“洗い流しやすさ”“衣類への付着”“皮膚への密着感”などのケア面の実感が変わり、結果としてアドヒアランスに差が出ます。
同じ「亜鉛華」という単語に引っ張られず、処方意図(乾燥させたいのか、保護膜を作りたいのか、滲出を受けたいのか)を、基剤から逆算するのが現場向きです。
両者の最大の使い分けポイントとして「吸水性」が挙げられ、亜鉛華軟膏は乳化剤を含むため水分を吸う特徴がある、と整理されています。
一方で亜鉛華単軟膏は乳化剤を含有しないため“水分を吸収しない”と説明され、ジュクジュクが多い局面での第一選択になりにくい理由がここにあります。
臨床的には「湿潤面」「滲出液が多い創」「びらん局面」では、吸水性のある亜鉛華軟膏が適するという説明がなされています。
逆に、滲出が落ち着いた段階で同じ処方を漫然と続けると“過乾燥→痒み”につながる可能性がある、と注意喚起されています。
この“切り替えタイミング”は、医師の処方変更を待つだけでなく、薬剤師・看護師が皮膚状態を共有して提案できる余地があります。
具体的には、ガーゼ汚染(滲出の量)、皮膚の白色化(マセレーション)、掻破痕の増加(過乾燥サイン)など、観察項目を言語化して記録すると、次回診察での処方最適化が早まります。
吸水性の議論は“創傷ケアの基本”とも接続します。
亜鉛華軟膏=吸水性がある、亜鉛華単軟膏=吸水性がない、という二分法を押さえるだけで、少なくとも「ジクジクに単を厚塗りして密閉して悪化」のような典型的な落とし穴を避けやすくなります。
実務で頻出なのは、湿疹・皮膚炎やおむつ皮膚炎などで「ステロイド外用+亜鉛華系」を併用する場面です。
製品側のQ&Aでは、亜鉛華(10%)単軟膏が「ステロイド軟膏と重層法で使用する場合に適す」と明記されており、単軟膏の位置づけが“使い分けの設計”として示されています。
一方で、分泌物が多い場合には乳化剤を含む亜鉛華軟膏が好んで使用される、と同じく説明されています。
この2点を合わせると、現場の手順は次のように言語化できます。
ここで重要なのは「単に薬効を暗記する」のではなく、“何を解決したいか”を先に置くことです。
収れん・保護という共通点があるため、オーダー意図を取り違えると、同じ亜鉛華でもケア目標と逆方向の結果(乾燥しすぎ、密閉しすぎ、滲出が滞る)になり得ます。
なお、患者説明では「白いから効きそう」「乾くから治る」という短絡が生まれやすいので、説明文言は“いまは水分が多いから吸うタイプ”“落ち着いてきたから守るタイプ”のように、状態と目的を結びつけると理解されやすいです。
検索上位でも触れられがちですが、名称が似ているため「取り違い」が起きやすい領域です。
ここでは“現場で事故を減らす運用”として、成分量・基剤・患者説明の3点をセットで標準化するのが有効です。
具体策は、薬剤棚・カート・オーダリング表示を、次のように「含有量+基剤」で固定することです。
次に、外来・病棟の説明テンプレを“症状の変化で切り替える前提”にしておくと、患者側の自己判断での塗り続けによる過乾燥トラブルを減らせます。
最後に、意外と効くのが「ロット差・色の違いの先回り説明」です。
単軟膏系では色調の違いが起こり得るとメーカーが説明しているため、見た目の違いで自己中断が起きそうな患者には“品質に問題ないケースがある”と伝え、気になるときは相談してもらう導線を作ると、治療継続につながります。
参考:亜鉛華(10%)単軟膏の組成、亜鉛華軟膏との違い(含有量・重層法・分泌物が多い場合の考え方)
https://www.kenei-pharm.com/medical/products/1269/
参考:亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い(乳化剤の有無、吸水性、ジクジク→切り替えの発想)
https://oshiete-yakuzaishi.muscat-pharmacy.jp/other/885.html

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