赤チンとヨードチンキ違いと消毒

赤チンとヨードチンキの違いを、成分・刺激・使い分け・併用注意まで医療従事者向けに整理し、現場で迷いやすいポイントと意外な落とし穴も解説しますが、あなたの説明は患者さんに伝わりやすいですか?

赤チンとヨードチンキ違い

赤チンとヨードチンキ違いの要点
🧪
成分が別物

赤チンはマーキュロクロム(メルブロミン)系、ヨードチンキはヨウ素+エタノール系で、名前が似ていても薬理と注意点が違います。

⚠️
併用は避ける

マーキュロクロム液はヨードチンキ等のヨウ素製剤と混ぜると沈殿が生じ、配合変化の原因になります(現場の「重ね塗り」も要注意)。

🩹
創傷面・粘膜の扱いが分かれる

ヨードチンキは粘膜・創傷面・炎症部位に長期/広範囲使用を避ける注意があり、マーキュロクロム液は粘膜面が禁忌など「使ってよい部位」の線引きが異なります。

赤チン 違い:成分と名称の混同


医療者の間では常識でも、患者さん側では「赤チン=ヨードチンキの赤い版」と誤解が根強いのが現実です。
「赤チン」は本来、マーキュロクロム液(メルブロミン液)を指し、ヨードチンキとは化学的にも別系統です。
一方のヨードチンキは「日本薬局方 ヨードチンキ」として、ヨウ素を含み、添加剤としてヨウ化カリウムとエタノールを用いる外用殺菌消毒剤です。
現場で起きやすいのは、家族歴の聞き取りで「赤チンでかぶれた」が出たときに、ヨード(ヨウ素)過敏と短絡してしまうケースです。


赤チンの過敏歴は水銀製剤(マーキュロクロム等)への過敏歴である可能性があり、ヨードチンキの禁忌である「ヨード過敏症」とは、必ずしも同義ではありません。


参考)覚えていますか?ケガには「赤チン」~保健室に家庭に常備されて…


このズレがあるため、問診では「何を塗って赤くなったのか(赤い液体?茶色い液体?)」「しみたか」「どこに塗ったか(粘膜か皮膚か)」まで具体化すると、再現性のある情報になります。


赤チン 違い:効能・効果と用法の違い

ヨードチンキは効能として「皮膚表面の一般消毒」「創傷・潰瘍の殺菌・消毒」に加え、「歯肉及び口腔粘膜の消毒、根管の消毒」まで適応範囲が明記されています。
用法・用量は「5〜10倍に希釈し、1日2〜3回、患部及び皮膚に適量塗布」とされ、原液ベタ塗り前提ではない点が重要です。
マーキュロクロム液は効能として「皮膚表面の一般消毒、創傷・潰瘍の殺菌・消毒」に整理され、口腔粘膜などの記載はありません。

用法・用量は、皮膚の一般消毒では2%液(原液)を、創傷・潰瘍では0.2〜2%(原液〜10倍)を用い、症状に応じて1日1〜数回適用とされています。

同じ「消毒薬」でも、ヨードチンキが「希釈して使う」ことを強調しているのに対し、マーキュロクロム液は用途により原液・希釈を使い分ける建付けで、説明の仕方が変わります。


臨床現場の教育でありがちな落とし穴は、「擦過傷にはこれ」「切創にはこれ」と“傷の形”だけで教えてしまい、希釈、部位、回数、炎症部位の扱いなどの条件分岐が抜け落ちる点です。


医療従事者向けに伝えるなら、薬剤ごとに「原液でよい場面」「希釈が必須の場面」「禁忌部位」をセットで覚える方が事故が減ります。


参考)北多摩薬剤師会 おくすり博物館 赤チン


赤チン 違い:刺激性・副作用と禁忌

ヨードチンキは禁忌として「ヨード過敏症の患者」が明記され、皮膚の刺激症状やヨード疹などの過敏症が副作用として挙げられています。
さらに適用上の注意として、粘膜・創傷面・炎症部位への長期または広範囲使用を避ける、同一部位への反復使用で表皮剝離を伴う急性皮膚炎が起こり得る、など具体的です。
そして「引火性があり爆発の危険性もあるため火気注意」と明記されており、在宅指導では保管環境(暖房器具・喫煙・アルコールランプ等)に触れる価値があります。
マーキュロクロム液は禁忌がより“部位・患者属性”に踏み込みます。


本剤または他の水銀製剤に対する過敏症既往、臍帯ヘルニアの小児、粘膜面、さらに「口に触れる可能性のある部位(乳頭等)の消毒」が禁忌とされています。

副作用としては、ショック(アナフィラキシー様症状)に加え、長期・広範囲使用で腎障害や骨髄抑制など水銀中毒リスクが記載され、使用量を必要最小限にする注意も強調されています。

意外と見落とされるのが、乳児・授乳期の家庭で「乳頭周囲のケアに消毒薬を塗る」自己判断です。


マーキュロクロム液では乳頭等が禁忌なので、患者教育では「口に触れる可能性がある場所=禁忌」というルールで伝えると理解されやすいです。

赤チン 違い:ヨードチンキ併用と沈殿

“赤チンとヨードチンキを重ねて塗れば強そう”という発想は、一般の方に起きがちです。
しかしマーキュロクロム液の取扱い上の注意には、ヨードチンキ・希ヨードチンキなどヨウ素製剤とは「沈殿を生ずる(配合変化)」と明記されています。
この沈殿は見た目に「濁り」や「カス」として現れることがあり、患者さんが「腐った?劣化した?」と自己判断して別の薬剤へ切り替える、あるいは逆に“沈殿=効いている証拠”と誤解する、という二次被害につながります。
医療者の実務としては、次の指導が安全です。


  • 別の消毒薬を追加したくなったら、同じ部位に重ね塗りしない(まずは洗い流す・医療者へ確認)。​
  • 処置室では、薬剤棚の近接配置やラベリングで「混ぜない」行動を支える(ヒューマンエラー対策)。​
  • 家庭指導では、使う消毒薬は原則1種類に絞り、途中で切り替える場合は医療者へ相談する。​

「配合変化」は薬剤師領域の話として片付けられがちですが、外用消毒薬でも“同一部位に連続適用される”ことで実質的な混合が起こり得ます。


この点は検索上位の一般向け記事では深掘りされにくいので、医療従事者向け記事として差別化できるポイントです。

赤チン 違い:現場での使い分け(独自視点)

赤チン(マーキュロクロム液)とヨードチンキの違いは、成分や禁忌だけでなく、「患者がどう使ってしまうか」を含めて設計すると実装レベルで役に立ちます。
たとえばヨードチンキは添付文書上「5〜10倍に希釈」が基本なので、在宅で原液運用されると刺激・皮膚炎リスクが跳ね上がりやすい設計です。
逆にマーキュロクロム液は用途により原液〜10倍と幅があり、患者が“濃いほど効く”と誤解した場合に、長期・広範囲使用のリスク(腎障害・骨髄抑制など水銀中毒)が問題化します。
医療従事者向けに、教育・説明のテンプレを用意しておくと迷いが減ります。


  • 「赤チン」=水銀系(マーキュロクロム/メルブロミン)、粘膜と乳頭は禁忌、ヨウ素製剤と混ぜない。​
  • 「ヨードチンキ」=ヨウ素+エタノール系、希釈して使う、同一部位の反復で皮膚炎に注意、火気注意。​
  • 共通:外用のみ、眼に入れない、深い創傷で希釈液を作るなら注射用水または滅菌精製水(家庭の水道水で代用しない)。

さらに“意外な情報”として押さえたいのが、ヨードチンキは臨床検査値に影響し得る点です。


血漿蛋白結合ヨード(PBI)や甲状腺放射性ヨード摂取率の検査値に影響することがあると記載されており、甲状腺関連検査前後の外用歴を確認する価値があります。

参考:ヨードチンキの禁忌・希釈・火気注意・検査値影響まで、添付文書ベースで確認できる
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00011135.pdf
参考:マーキュロクロム液の禁忌(粘膜・乳頭等)と、ヨードチンキ等ヨウ素製剤で沈殿が生じる配合変化を確認できる
https://assets.di.m3.com/pdfs/00011666.pdf




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