力価計算 公式 用量 処方 製剤量 成分量

力価計算の公式を、製剤量と成分量の違いから整理し、散剤・液剤・注射の場面で迷わない換算手順と確認ポイントをまとめます。現場で「mg」と「g」の読み違いを防ぐには、どこを最初に見るべきでしょうか?

力価計算 公式

力価計算 公式で最初に押さえる要点
📌
製剤量と成分量を切り分ける

「秤る量(製剤量)」と「有効成分量(成分量)」の混同が最も危険。まず処方がどちらで書かれているか判定します。

🧮
公式は“比”に戻せば復元できる

丸暗記より、1g中に何mg含むか・1mL中に何単位かの比例式に戻すと、剤形変更や希釈でも崩れません。

🛡️
過量投与リスクを点検する

「製剤の総量」と「有効成分の量」の誤認は実際に再発しているため、疑義照会の設計と監査の手順まで落とし込みます。

力価計算 公式の基本と比例式


力価計算の「公式」は、結局のところ“含有率(濃度)×秤る量=有効成分量”という比例関係の言い換えです。
散剤やドライシロップの例で「A%製剤」と書かれているとき、まず意味を日本語に直します。A%(w/w%想定)の製剤とは、「製剤100g中に有効成分A gが含まれる」と解釈できます。すると、製剤1g中の有効成分はA/100 g=(A×10) mgになります(g→mg換算で×1000)。この“1g中に何mg”が出れば、あとは比例で解けます。


公式としては、よく次の形で整理されます。


  • 製剤量(g)=成分量(mg)÷(%の数字×10)
  • 成分量(mg)=製剤量(g)×(%の数字×10)

    この形は、教育サイトでも頻出で、現場計算を高速化するのに向いています。


ただし、ここで一つ大事な注意があります。注射剤など「%」表記でも w/v%(質量対容量百分率)の世界が混ざることがあります。日局の通則・製剤各条では、有効成分の濃度を%で示す場合、注射剤などで w/v%を意味する旨が明記されています。つまり「%=必ずw/w」と決めつけるのは危険です。散剤の力価計算と、注射の濃度計算を同じノリでやると、単位の次元が崩れます。


参考:日本薬局方の単位や、力価の単位の考え方(通則の単位一覧、力価の単位は医薬品の量とみなす等)
第十七改正日本薬局方 通則(単位一覧、力価単位の扱い)

力価計算 公式で製剤量と成分量を換算

力価計算が難しく感じる最大の原因は、式の難しさではなく「求めたいのが製剤量なのか成分量なのか」を途中で取り違える点です。医療安全の報告でも、散剤の処方で“製剤量として処方すべき量がmgで記載され、薬剤師が成分量と解釈して調剤した”など、製剤量と成分量の誤認が背景になった事例が整理されています。さらに、医療機関ごとに処方の記載方法が異なり、持参薬から院内処方へ切り替える場面や紹介受診の場面で誤認が起きやすいことも示されています。


そこで、計算に入る前に「判定フロー」を固定すると事故リスクが下がります。


  • ①処方の「分量」の単位を確認(mg / g / mL / 単位など)
  • ②薬剤名に%が付くか確認(例:10%、50%、1.5%など)
  • ③その%が何を意味するかを剤形から推定(散剤・DSはw/w%が多い、注射はw/v%が混じる)
  • ④「今回欲しいのは秤る量?有効成分量?」を明文化(ここを声に出すだけでミスが減ります)

そして計算は、次の“安全な手順”で進めるのが確実です。


  1. 製剤1g(または1mL)あたりの成分量を作る(mg/g、mg/mL、単位/mLなど)
  2. 目的の成分量(mg等)に合わせて必要な製剤量を割り算で出す
  3. 最後に桁を見直す(「10倍・100倍になってない?」をチェック)

この手順は公式を使う場合でも同じで、公式は「1)を頭の中でやった結果を、まとめて書いたショートカット」と捉えると応用が効きます。


参考:製剤量と成分量の誤認が再発していること、処方システム・疑義照会の問題点と改善策
医療事故情報収集等事業 第66回報告書(製剤量と成分量の間違い:再発・類似事例)

力価計算 公式と用量のチェック

力価計算は「秤る量」を出して終わりではなく、出した数が用量として妥当かを必ず点検します。医療安全報告では、添付文書の通常用量を大幅に超えているのに「適宜増減」と書かれていたため許容範囲と誤認した、という形の背景も記載されています。つまり、計算が合っていても“入力が間違っている”可能性を前提に監査する必要があります。


ここで役立つのが、ざっくりした「臨床量の肌感」と「システムのアラートの意味」の二段構えです。


  • システム上の「#」や警告が出ている=数学の問題ではなく、処方意図が疑わしいサイン。
  • 単位が変わった(g→mg、mg→g、mL→mgなど)=最優先で“製剤量か成分量か”の再確認。
  • 1回量・1日量が急に10倍に跳ねている=“公式の暗記”ではなく“処方の読み違い”を疑う。

とくに散剤では、同じ「10%」でも、処方を成分量で書く施設と製剤量で書く施設が混在します。持参薬の情報(お薬手帳や連携ノート)が製剤量ベースで書かれ、院内が成分量オーダで運用されている場合、切替時に事故が起きやすいことが報告されています。


この“施設間ギャップ”は、計算式では吸収できません。だからこそ、監査の手順(疑義照会を具体的に、用量が何倍かまで言語化する等)まで含めて「力価計算」として設計する必要があります。


力価計算 公式と単位の落とし穴

力価計算は「mgとg」だけではありません。注射・生物学的製剤・電解質などでは、IU(国際単位)やmEqのように“質量ではない単位”が現れます。さらに日局の通則では、力価を示す単位は医薬品の量とみなす、とされており、単位(U等)は医薬品ごとに標準品との比較で定める、と整理されています。つまり「単位=mg換算できる」と短絡すると危険で、必ず“その製剤の定義”に戻る必要があります。


単位が絡むときの安全策は、次の通りです。


  • 「濃度の単位」を先に固定する(例:IU/mL、単位/mL、mg(力価)/mL など)。
  • 希釈は「濃度×容量=総量(単位)」の保存で処理する。
  • 添付文書やIFで“力価(mg(力価)/mL)”のような書き方がある場合、ラベル・規格・計算式に“力価”が混ざる前提で読む。

意外と盲点になるのが、「%」表記が“いつでも同じ意味”ではない点です。先ほど触れた通り、注射剤では%がw/v%を意味する旨が日局に書かれています。散剤のノリで「A%→A×10 mg/g」と変換すると、注射の世界では次元がズレます(gあたりではなくmLあたりの話に変わるため)。この切替をミスると、計算結果がそれっぽい数字で出てしまい、気づきにくいのが怖いところです。


力価計算 公式の独自視点:疑義照会と監査の型

検索上位の記事は「公式暗記」や「練習問題」が中心になりがちですが、現場で本当に効くのは“疑義照会が必要かどうかを短時間で判定する型”です。医療安全報告では、疑義照会があっても医師が添付文書を確認せず、薬剤師も疑問点を具体化しきれず、結果として過量投与につながったケースが示されています。つまり「疑義照会をした」という事実だけでは安全にならず、照会の質が重要です。


そこで、力価計算に直結する“照会テンプレ”を作っておくと強いです。


  • 「この処方は、製剤量・成分量のどちらの意図ですか?」(まず土台を揃える)
  • 「添付文書の通常用量と比べて約○倍です。増量意図はありますか?」(“多いです”ではなく倍率で)
  • 「持参薬(または前医情報)は製剤量表記でした。院内は成分量表記運用で合っていますか?」(施設間差の確認)
  • 「もし成分量が正なら、製剤量は○g/日になります。分包は○包でよいですか?」(調剤手順まで落とす)

この型の良い点は、計算式を忘れていても運用が崩れにくいことです。比例で出した値を使って“言語化”し、相手の返答が曖昧なら上級医や別ルートへエスカレーションする、という流れが作れます。


力価計算の事故は「数学の誤り」より「前提(製剤量/成分量、単位の意味、施設ルール)の取り違え」で起きやすいので、独自視点としては“計算式の前に前提を固定するコミュニケーション設計”が、結果的に最短ルートになります。




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