エンシュアのような濃厚流動食・経腸栄養剤を「そのまま液体として飲む」場面では、嚥下障害がある患者ほど流動性の高さが誤嚥リスクにつながりやすく、物性(流動性・付着性)を調整して嚥下しやすい状態に寄せる発想が重要です。経腸栄養剤や濃厚流動食品は“流動性の高いままの嚥下は誤嚥リスクを伴う”とされ、必要に応じてとろみで移送速度やまとまりを調整する狙いがあります。なお、現場では「とろみを付けた=安全」と短絡しやすいのですが、患者の嚥下機能の荒廃度合いによっては、とろみを付けても誤嚥がゼロになるわけではなく、“リスク低減策の一つ”として位置づけるのが現実的です。
ここで押さえたいのは、嚥下評価の視点が「むせ」だけにならないことです。むせが目立たないサイレントアスピレーションが疑われるケースでは、とろみの粘度を上げるよりも、姿勢調整、1回量、嚥下回数、疲労、口腔内残留(口腔・咽頭)を含めた総合対応が必要になります。服薬や食事介助と同様に、提供後の観察(声の湿り、SpO2変動、痰の増加、食後の咳、微熱など)をチームで拾う設計にしておくと、「とろみを付けたのに肺炎が続く」状況の原因分析がしやすくなります。
また意外に見落とされがちなのが、“とろみが強いほど良い”という思い込みです。粘度が過剰だと咽頭残留や付着が増え、クリアランスが落ちて二次的に誤嚥へつながる可能性があります。とろみ付けは「誤嚥を防ぐために強くする」のではなく、嚥下動態に合う範囲で「必要十分」に合わせる、という整理を医療者側で共有しておくと、現場の調整がブレにくくなります。
参考リンク(経腸栄養剤・濃厚流動食にとろみを付ける狙い、二度混ぜ法の手順と有効性、目標粘度の例がまとまっています)
https://shokushien.net/wp/wp-content/themes/taberu/pdf/howto.pdf
経腸栄養剤や濃厚流動食品は、たんぱく質含有量などの影響で、とろみ調整食品の種類によって「必要量が増える」「粘度が出るまで時間がかかる」ことがあり、手順を標準化しないと同じ量でも仕上がりがブレます。そこで実務的に有効なのが、資料でも推奨されている「二度混ぜ法」です。作り方はシンプルで、①とろみ調整食品を入れて30秒ほどかき混ぜ、②10分ほど置き、③再度よくかき混ぜる(約30秒)という流れです。
二度混ぜ法の“良さ”は、時間を置くことで水和・増粘が進んだ後に、もう一度均一化できる点です。資料では、薄いとろみ(50–150 mPa・s)や中間のとろみ(150–300 mPa・s)を目標にした際、通常の混ぜ方では目標粘度に達しにくいケースが、二度混ぜ法では短時間で目標粘度に到達しやすかったことが示されています。つまり、忙しい病棟・施設ほど「置く時間」が惜しく感じられますが、結果的には作り直し(薄すぎ・ダマ・ムラ)や、提供後のトラブル対応を減らせる可能性があります。
実際の現場運用では、次のような“崩れにくい手順”に落とすと再現性が上がります。
意外なポイントとして、二度混ぜ法は「とろみがつきにくい飲料」全般で紹介されることが多い一方で、経腸栄養剤・濃厚流動食でも有効と明記されている点が重要です。つまり、“水やお茶のとろみ付け経験”だけで濃厚流動食に同じ感覚で対応すると、想定より粘度が出ない・安定しない、が起こり得ます。エンシュアとろみは、作り方そのものを「流動食モード」に切り替える必要がある、と捉えると理解しやすいでしょう。
粘度は患者ごとの嚥下機能、口腔内操作性、咽頭クリアランス、疲労、呼吸状態で最適域が変わるため、「薄い・中間・濃い」のラベルだけで固定せず、目標と評価をセットにするのが安全です。資料では薄いとろみを50–150 mPa・s、中間のとろみを150–300 mPa・sといった目標例を置いて検討しており、少なくとも“どのレンジを狙っているか”をチームで共有する価値があります。もちろん現場に粘度計が常備されていないことも多いですが、だからこそ「何分後に」「どの状態を合格にするか」を決めないと、提供者の感覚差で同一患者でも日によって危険度が変わります。
確認のときに使える実務チェック(入れ子にしない簡易版)を挙げます。
ここで“意外に効く”のが、提供のワークフロー設計です。二度混ぜ法を使う場合、静置10分が必須なので、食事配膳・薬配薬・検温のタイミングと噛み合わないと、結局「急いで混ぜたもの」が出てしまいます。作業動線としては、①準備開始時刻を決める、②静置中に別タスクを挟む、③提供前に最終混和する、の流れを“業務として固定”すると、個人の頑張りに依存しにくくなります。
また、粘度だけでなく温度や時間経過で変化する点も見逃せません。とろみ調整食品は、混ぜた直後より時間が経ってから粘度が強くなることがあり、同じ分量でも「いつ飲むか」で体感が変わります。エンシュアとろみを“作ったらすぐ提供”なのか、“病室へ運搬してから提供”なのかで、患者の負担が変わり得るため、提供までの平均分数を把握して調整するのが実務的です。
嚥下機能が低下した患者では、誤嚥だけでなく「咽頭・食道への残留」が粘膜損傷・潰瘍の原因になり得るため、服薬場面では残留を防ぐ工夫も同等に重要です。資料では、残留対策として“とろみをつけた水、ゼリーなどを用いてきちんと飲み込める方法を指導”することや、服薬時のとろみ水は十分量(100mL以上)飲むことが記載されています。さらに内服後の注意として「内服後2時間は臥床しない」「無理な場合は30度の傾斜を保つ」など、姿勢・逆流対策まで含めて説明が推奨されています。
エンシュアとろみの記事で服薬を扱う理由は、現場では「栄養補給のついでに薬も飲ませたい」「食後の流れでまとめて支援したい」という導線が組まれがちだからです。しかし、栄養剤に薬を混ぜる運用は、薬剤の安定性・吸収、味、飲み残し時の投与量不確実性などの問題が出やすく、安易に“全部混ぜ”にしない設計が必要です(施設ルールや薬剤師確認が前提)。服薬は服薬、栄養は栄養で、支援の優先順位と手順を分けた方が安全に回るケースが少なくありません。
実務で使える、服薬とエンシュアとろみの“衝突を避ける”ポイントをまとめます。
参考リンク(嚥下機能低下時の服薬:誤嚥・残留・逆流の観点、姿勢、十分なとろみ水量、OD錠の注意などがまとまっています)
https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/shizai/files/206/EPALL1P06701-1.pdf
検索上位では「作り方」や「ダマを防ぐ」など手技の話が中心になりがちですが、医療従事者向けに一段踏み込むなら、“再現性の担保=安全性”という運用設計の視点が効果的です。二度混ぜ法のように手順が明確なものでも、実際には「忙しい時間帯は静置が省略される」「人によって混ぜ時間が違う」「計量スプーンが統一されていない」など、システム上の揺らぎで粘度が変動します。粘度が変動すれば、誤嚥リスク・残留リスク・飲水量(摂取量)・服薬支援の成功率が連鎖的に揺れ、結果として肺炎や低栄養のリスク評価が“現場ノイズ”に埋もれます。
そこで、教育と標準化を「ベッドサイドの工夫」ではなく「チームの資産」にする発想が有用です。具体策は次の通りです。
この視点が意外に効くのは、患者状態が悪化したときの原因究明です。例えば「最近むせが増えた」という事象が出た際、病状変化だけでなく「とろみの作成手順が変わっていないか」「提供までの時間が延びて粘度が上がっていないか」を検討できるようになります。つまり、エンシュアとろみは“栄養管理”であると同時に、“リスク管理(品質管理)”でもある、という整理が医療現場向けの独自価値になります。
最後に、患者・家族指導にもこの考え方は転用できます。退院後に家族が自宅でエンシュアとろみを作る場合、最も起こりやすいのは「毎回粘度が違う」ことです。二度混ぜ法のような手順を、家族が実行できる形(タイマー、道具、手順カード)に落とし込み、訪問看護・外来・薬局が同じ言葉で指導すれば、在宅での安全性と継続性が上がります。

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