骨密度検査費用の保険適用条件と算定ルールの要点

骨密度検査費用の保険適用はどんな条件で認められる?令和8年度診療報酬改定でDEXA法の算定が年1回に変わった今、正しく請求できていますか?

骨密度検査費用の保険適用を左右する算定ルールと実務のポイント

治療中の患者でも、骨密度検査を3か月おきに算定すると査定を受けます。


🔍 この記事の3ポイント要約
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保険適用の大原則

骨塩定量検査(D217)は「骨粗鬆症の診断または経過観察」の場合のみ保険算定が認められる。健診目的・スクリーニング目的での算定は不可。

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令和8年改定で算定回数が変わった

2026年4月より、原則「年1回」へ変更。治療開始から1年以内や特定病態・薬剤使用中は引き続き「4月に1回」が認められる。

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点数・費用の目安(保険適用時)

DEXA法(腰椎)360点+大腿骨同時加算90点=450点。3割負担で約1,350円。検査方法によって点数が異なるため、正確な請求には区分番号の確認が必須。


骨密度検査費用の保険適用が認められる病名・条件とは



骨塩定量検査(区分番号D217)は、健康保険制度上「骨粗鬆症の診断」または「その経過観察」の際にのみ算定できると明確に規定されています。つまり、「骨折リスクが心配だから念のため測っておきたい」という予防的・スクリーニング的な動機では、保険算定の対象外です。これが基本です。


患者側からは「骨密度が心配なので検査したい」という要望がよく上がります。しかし、骨粗鬆症または骨量減少(骨粗鬆症疑い)を示す病名・症状がなければ、保険請求できない点に注意が必要です。


実務上、最もトラブルになりやすいのが「健診で骨密度が低いと言われた患者が初診で来院した場合」です。この段階でDEXA法を行い骨粗鬆症と診断するための検査であれば、「骨粗鬆症の疑い」という病名で算定が可能と考えられます。一方で、単に「骨密度を知りたい」という理由で初診からすぐ算定しようとすると、保険者からの照会・査定を受けるリスクがあります。病名記載と問診所見の整合性が問われる場面です。


以下に、保険算定が認められる主なケースを整理します。


  • ✅ 骨粗鬆症または骨粗鬆症疑いとして診断・治療を開始する場合
  • ✅ 骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート薬、デノスマブ等)を使用中の患者の経過観察
  • ✅ 脆弱性骨折(軽微な外力で生じた骨折)が発生した場合
  • ✅ ステロイド(グルココルチコイド)長期投与など、骨密度に影響する薬剤を使用中の患者
  • ✅ 閉経後女性など骨粗鬆症ハイリスク患者に対し医師が必要と判断した場合


逆に、健診・人間ドックのオプションとして実施する場合や、患者が自主的に受けたいだけの場合は原則として全額自費になります。自費の場合、施設によって異なりますが5,000円〜10,000円程度が一般的な相場です。


骨塩定量検査(D217)の算定基準と点数の詳細 – 今日の臨床サポート


骨密度検査の保険点数と費用の実際:DEXA法・REMS法・超音波法を比較

保険適用で骨密度検査を行う場合、使用する検査法によって算定点数が異なります。これが実費負担額に直接影響するため、患者への説明と請求の両面で正確に把握しておく必要があります。


現行の診療報酬点数(令和6年版)は以下のとおりです。














































検査法 点数 3割負担(目安) 特徴
DEXA法(腰椎) 360点 約1,080円 最も精度が高い。骨折リスク評価に標準的
DEXA法(腰椎+大腿骨同時) 450点(360+加算90) 約1,350円 同日に大腿骨も測定した場合のみ加算可
REMS法(腰椎) 140点 約420円 超音波を使った新技術。被ばくなし
REMS法(腰椎+大腿骨) 195点(140+加算55) 約585円 2022年より保険収載
MD法・SEXA法等 140点 約420円 DIP法・pQCTなども含む
超音波法(QUS) 80点 約240円 踵骨で測定。スクリーニングに向く


点数だけで比べると超音波法が最も安価ですが、精度の観点からは骨粗鬆症治療の意思決定にはDEXA法が推奨されます。これは覚えておきたいポイントです。


また、1割負担の患者では腰椎+大腿骨のDEXA法でも窓口負担は約450円にとどまります。一方、3割負担では同じ検査で1,350円前後となるため、患者への費用説明の際にはその違いを丁寧に伝えることが重要です。


注意すべきなのは「同日に腰椎と大腿骨の両方を測定した場合のみ加算算定が可能」という点です。腰椎のみを測定した日に大腿骨の加算をつけると査定になります。加算の要件は「同一日」が条件です。


骨塩定量検査の保険算定点数一覧と通知の詳細 – SIGMAX Medical


令和8年度改定で変わった骨密度検査の算定回数制限と例外規定

2026年4月施行の令和8年度診療報酬改定は、骨密度検査の算定ルールを大きく塗り替えました。これは医療従事者として必ず把握すべき変更です。


これまでは「検査の種類にかかわらず患者1人につき4月に1回に限り算定する」という一律のルールでした。ところが、改定後は原則として「1年に1回」へと算定上限が引き下げられています。


骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版では「治療法が確立した後は1年以上の間隔でよい」としており、今回の改定はこのガイドラインに算定要件を合わせた形です。


ただし、以下の条件に該当する患者については、引き続き「4月に1回」の算定が認められます。


  • 🔷 ア:骨粗鬆症の治療を開始した日から起算して1年以内の患者
  • 🔷 イ:新たに骨折した患者
  • 🔷 ウ:ガイドライン所定の骨折危険因子が新規に増加した患者
  • 🔷 エ:ビスホスホネート薬の中断を検討している患者
  • 🔷 オ:グルココルチコイド・アロマターゼ阻害薬・抗アンドロゲン薬骨形成促進薬など、骨増減をきたす薬剤を投与中の患者
  • 🔷 カ:吸収不良・全身性炎症疾患・長期不動・人工閉経など、骨増減をきたす疾患等を有する患者


つまり、治療開始2年目以降で安定した骨粗鬆症患者については、原則として年1回しか保険算定できないことになります。厳しいところですね。


骨密度検査が収益の柱になっている整形外科クリニックでは、この変更が大幅な減収につながる可能性があります。定期通院中の骨粗鬆症患者を多く抱える施設ほど影響は大きく、2年目以降の安定患者に対して過去と同じペースで算定を続けると査定リスクが生じます。


対応策としては、条件に該当する患者を正確に分類し、カルテに算定根拠(ア〜カのいずれか)を明記しておくことが重要です。電子カルテのテンプレートにあらかじめ算定根拠の選択肢を組み込んでおくと、レセプト作成時の確認漏れを防ぐことができます。


令和8年度診療報酬改定 骨塩定量検査の見直し詳解 – CREDO Medical


骨密度検査が自費になるケースと患者への説明・対応実務

保険診療と自費診療の線引きを正確に理解することは、患者トラブルを防ぐうえでも欠かせません。


保険適用外となる主なケースを整理しましょう。


  • ❌ 骨粗鬆症の病名・疑いがない状態での単独検査
  • ❌ 健康診断・人間ドックの一環として実施する場合
  • ❌ 企業健診や市町村健診のオプション受診
  • ❌ 患者希望のみによるスクリーニング(症状・リスクの記録がない場合)
  • ❌ 改定後の算定制限を超えた過剰な実施(2年目以降の安定患者への4か月ごとの検査)


自費の場合の費用相場は、施設・検査法によって異なりますが、概ね以下の範囲です。




















受診形態 費用の目安(全額自費)
医療機関での自費検査(DEXA法) 3,600円〜4,500円程度
人間ドック・健診オプション 3,000円〜10,000円程度
自治体の骨粗鬆症検診(QUS法) 無料〜1,100円程度


「今日の検査は保険が使えますか?」という患者からの質問には、単に「はい・いいえ」で答えるのではなく、「現在の診断や治療内容によって判断が変わります」と伝えることが実務上のポイントです。


また、「初回のスクリーニング検査だから自費になります」と説明した後に、骨粗鬆症と診断された場合は「次回からは保険が使えます」とフォローすることで、患者の納得感が高まります。つまり、受診タイミングによって費用が異なることを最初から丁寧に案内しておくことが大切です。


自治体の骨粗鬆症検診は、多くの自治体で40〜70歳の女性を対象に年1回・無料または低額で実施されています。検診で「要精密検査」と判定された患者が整形外科や内科を受診する場合は、その時点から保険算定の起点となりやすいため、紹介・連携の機会としても活用できます。


骨密度検査費用の保険適用:医療現場では見落とされがちな独自視点

多くの医療従事者が見落としている点があります。それは、「骨密度検査の保険算定は検査法ごとではなく、患者1人につき1カウント」という制限です。


たとえば、同一患者に対してDEXA法と超音波法を同月に実施したとしても、算定できるのは「どちらか1種類のみ」です。「種類にかかわらず」という規定がその根拠です。2種類を実施したからといって2つ算定すると査定になります。これは意外ですね。


さらに、外来診療と健診を同日に行った施設でも注意が必要です。外来(保険)での骨密度検査と、健診オプション(自費)での骨密度検査を同日に行った場合、二重算定の問題が生じ得ます。骨塩定量の算定カウントに健診が含まれるかどうかは解釈が分かれますが、同月に両方の記録がある場合は指摘を受けるリスクがあると認識しておくべきです。


加えて、REMS法は2022年の改定で初めて保険収載された比較的新しい検査法です。X線を用いないため被ばくのリスクがなく、超音波機器を使う点でQUS法と混同されがちですが、技術的には別物です。点数はDEXA法より低い(腰椎単独140点)ものの、腰椎と大腿骨を同日に評価できる点はDEXA法と共通しています。導入施設では算定区分の選択を誤らないよう注意が必要です。


また、ステロイド性骨粗鬆症(GIOP:glucocorticoid-induced osteoporosis)の患者は令和8年改定後も4月に1回算定できる「オ」の条件に該当します。ステロイドを長期投与されている患者は、リウマチ科・腎臓内科・呼吸器内科など整形外科以外の科でも診療を受けていることが多く、専門科との連携時に検査記録を共有しておくことが、重複検査防止にも役立ちます。


骨密度検査は患者1人あたり月額・年額の保険上限があるという認識を持ちつつ、個々の患者の状態を見極めた正確な算定が求められます。結論は、アからカの条件確認を毎回行うことが原則です。


厚生労働省・中医協資料「骨粗鬆症と骨密度検査」ガイドラインと診療報酬の関係(2025年12月)






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