「年2回やっているだけ」だと、実は減点対象になることがあります。
nursing-ehime.or(https://www.nursing-ehime.or.jp/chiebukuro/infection_control/vol172.html)
soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001243425.pdf)
多くの医療従事者が、「院内感染対策の研修は年2回やっていれば法的には十分」となんとなく理解しているのではないでしょうか。
しかし、実際の通知文書には「年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催すること」と書かれています。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
つまり、感染事例の発生や新興感染症、ガイドライン改訂のたびに、追加研修を検討することまで含めて求められているのです。
結論は「年2回+必要に応じた追加」が前提です。
この「程度」という表現のために、自治体や実地指導担当者の解釈にも幅が出ます。
例えば、ある総務省の調査では、院内感染対策研修を外部業者に丸投げしていた医療機関が指摘され、研修の頻度だけでなく内容や対象範囲を見直すよう勧告されています。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
「とりあえず年2回の講義」という状態では、指導側から「程度」の中身が不十分と判断されかねません。
厳しいところですね。
では、年2回以上の頻度にした場合のメリットは何でしょうか。
現場レベルでは、アウトブレイク時に臨時研修を組み込みやすくなり、結果として「いつも追加でやっている」こと自体が、後の説明責任の大きな支えになります。
研修を増やすと時間コストはかかりますが、1回30分×3回で1人あたり1.5時間程度を年に追加するだけでも、訴訟リスクの低減や体制評価の向上という見返りは十分に大きいと考えられます。
つまり時間投資としては悪くありません。
法律上のイメージとして、「自院で全員に年2回の集合研修をする必要がある」と思い込んでいる方も多いはずです。
ところが、総務省の文書では「無床診療所等については、当該医療機関以外での研修を受講することでも代用可」と明示されており、有床診療所でも外部研修で読み替えできるように見直すべきと提言されています。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
これは、地方で感染管理認定看護師や医師が都道府県主催の研修会に参加し、その内容を持ち帰る形で要件を満たせるという意味合いがあります。
外部研修の活用が基本です。
一方で、対象範囲は「病院全体に共通する院内感染に関する内容」について、院内の従業者に周知することとされており、医師・看護師・コメディカルだけではなく、事務職や助手、清掃スタッフまで含めることが望ましいとされています。 tmsia(https://tmsia.org/wp/wp-content/uploads/2023/03/2015_1015_02.pdf)
ある病院の例では、就業時研修として春季入職者(医師・看護師・コメディカル)に2時間のオリエンテーションを実施し、その後は全職種を対象に1時間以内の研修を年2回行う体制を取っています。 tmsia(https://tmsia.org/wp/wp-content/uploads/2023/03/2015_1015_02.pdf)
このような層別設計をすると、「現場の負担を分散しつつ、法的要請を満たす」という絵が描きやすくなります。
つまり設計の工夫が鍵です。
また、外部研修の読み替えを活用する場合は、「誰が」「どの研修を」「いつ受講し」「院内でどう展開したか」を簡潔に記録しておくことが重要です。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
記録の雛形は、自治体や医師会・看護協会の感染対策研修資料に添付されていることもあり、それを転用すれば作業負担をあまり増やさずにすみます。
こうしたテンプレートの有無を、地域の医療安全支援センターや看護協会のサイトで一度確認しておくと、今後の運用がかなり楽になります。
テンプレート活用が条件です。
多くの医療機関で見落とされがちなのが、「研修の実施内容を記録すること」という要件です。
厚生労働省の通知では、年2回程度の研修を開催するだけでなく、開催または受講日時、出席者、研修項目を記録することが求められています。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001243425.pdf)
総務省の勧告文でも、記録の不備が院内感染対策研修の実施状況を把握できない要因として指摘されており、「やっているつもり」でも、紙やデータに残っていなければ実地指導で減点の対象になり得ます。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
記録は必須です。
訴訟リスクの観点では、例えば手指衛生不備が疑われる院内感染事例が発生した場合、「当該スタッフがどの研修をいつ受けていたか」が問われます。
研修記録に穴があると、「教育を受けていない状態で現場に立たされていた」と解釈され、施設側の責任が重く見られる可能性があります。
逆に、年2回以上の研修記録と参加状況、未受講者への補講記録が整っていれば、「組織として合理的な教育体制を整えていた」と説明しやすくなります。
教育体制の一体管理が原則です。
実務的な対策としては、1回あたりの研修時間を30〜60分に区切り、会議室研修とeラーニングやDVD視聴を組み合わせる方法がよく取られています。 tmsia(https://tmsia.org/wp/wp-content/uploads/2023/03/2015_1015_02.pdf)
ある施設では、講習会を前期3回・後期3回、さらにDVD講習会を年間24回行うことで、勤務シフトが多様なスタッフにも参加機会を確保していました。 tmsia(https://tmsia.org/wp/wp-content/uploads/2023/03/2015_1015_02.pdf)
このように年間30回前後の枠を用意しておくと、「年2回程度」を大きく上回る形で受講機会が確保され、結果として記録も充実します。
つまり枠を多めに持つと安心です。
意外と盲点になりやすいのが、清掃や給食、設備管理などの委託業者に対する感染対策研修です。
総務省の報告書では、「従業者に対する院内感染対策研修は法令上義務付けられているが、委託業者に対する研修については特段の規定がない」と指摘されており、その結果として、委託スタッフが施設内の感染対策教育から抜け落ちているケースが多いとされています。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
しかし、実際のアウトブレイクでは、清掃やリネン交換の手順ミス、器具の搬送ルートの混合など、委託業者が関わる工程が媒介になる事例も少なくありません。
ここは現場主導で補う必要があります。
実務的には、法令上の厳密な「従業者」に含まれない委託スタッフに対しても、年1回以上は院内感染対策の合同研修に参加してもらうか、委託先責任者経由で同等の教育を行った証跡(教材、参加者リスト)を共有してもらう形が現実的です。 soumu.go(https://www.soumu.go.jp/main_content/000245469.pdf)
例えば、院内職員向けの年2回研修のうち1回を「委託業者合同回」と位置付け、清掃・給食・設備会社のリーダー層だけでも参加してもらう運用にすれば、時間的負担は抑えつつリスクの高い工程をカバーできます。
そのうえで、委託契約書に「感染対策に関する教育実施と記録の保存」を条文化しておくと、実地指導時にも説明しやすくなります。
契約と教育をセットで設計することが基本です。
非常勤スタッフについても、「常勤だけ出席させている」という状態は望ましくありません。
週1勤務の医師やパート看護師であっても、感染対策上は院内のリスク要因であることに変わりはないため、年1回以上は必ず感染対策研修の受講機会を設ける必要があります。 tobata.kenwakai.gr(https://tobata.kenwakai.gr.jp/health-guidelines/)
シフトの都合で参加できない場合は、eラーニングや録画視聴を用いた代替研修と、簡単な理解度チェック(小テスト・確認シート)を組み合わせると、時間負担を最小限に抑えつつ「やったことが残る」形になります。
つまり非常勤ほど柔軟な手法が有効です。
年2回の研修を実施していても、中身が毎回同じスライドの読み上げになっていると、現場の理解も定着せず、評価も上がりません。
ある病院の事例では、「手指衛生強化月間」を年1回設け、その期間中に標準予防策の振り返り、アルコール擦式手指消毒剤の使用状況測定、手洗いチェッカーを用いた実技評価などを集中的に実施していました。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/dl/tp0118-1-76.pdf)
これに加えて、年2回の座学研修ではアウトブレイク事例やヒヤリ・ハット事例を取り上げ、「自院で起こり得るシナリオ」をスタッフに考えてもらう構成とすることで、研修の記憶に残りやすくなります。
つまり体験型を組み込むことが効果的です。
研修内容の設計では、例えば以下のような構成が考えられます。
1回目は「全職種共通:標準予防策・接触予防策の基礎」として、手袋・ガウン・マスク等の個人用防護具(PPE)の適切な使い方や着脱手順を中心に、シミュレーションを交えた1時間の研修にする。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/dl/tp0118-1-76.pdf)
2回目は「部門別・リスク別:検査室、手術室、病棟、外来」で、各部門に多い感染リスク場面(血液曝露、器具の持ち出し、環境清掃)を題材にグループワークを行う。
このように、同じ「年2回」でも構造化することで学習効果が大きく変わります。
構成を変えるだけで理解度が変わるということですね。
さらに、研修後のフォローとして「1か月後に10問程度のオンラインチェックテスト」を実施し、8割未満の得点者にはポイント解説付きの動画や資料を再提示する仕組みを作ると、実務面での安心感が高まります。
ここで重要なのは、テストの点数を責めるのではなく、「間違えやすいポイントを把握して、次の研修テーマにつなげる」ためのデータとして扱うことです。
その結果、研修テーマが現場のニーズに近づき、参加者の満足度も上がります。
つまりフィードバックの循環が大切です。
以下のリンクは、法的義務や研修回数、記録の考え方を整理する際に参考となる公的資料です。
総務省「院内感染対策の促進(院内感染対策研修 年2回程度・外部研修の扱い・委託業者への言及を含む報告書)」
厚生労働省「院内感染対策のための研修(病院全体に共通する内容を年2回程度定期的に開催する旨の通知)」
愛媛県看護協会「医療機関における院内感染防止対策の法的義務と評価(年2回程度の研修義務の解説)」
今、あなたの施設での「年2回研修」は、記録や対象範囲、内容の面でどこまで整っていそうでしょうか?