小児のカロナール(有効成分:アセトアミノフェン)は、添付文書の「小児科領域における解熱・鎮痛」で、1回量が体重1kgあたり10〜15mg、投与間隔は4〜6時間以上とされています。
この条件だけを見ると「4〜6時間おき=最大で1日4〜6回?」と考えがちですが、実際には“もう1つの上限”である「1日総量60mg/kg」が同時に効いてきます。
つまり、回数は「前回からの間隔」と「当日の総投与量」が両方守れる範囲で決まる、と医療者側は説明すると事故が減ります。
服薬指導で使える言い換え(保護者向け)を、医療従事者向けに整理すると次の通りです。
ここで“意外と知られていない落とし穴”が、同じ「カロナール」でも、急性上気道炎(成人の頓用)など他の効能の用法用量には「原則として1日2回まで」等の別ルールが並ぶ点です。
小児の解熱鎮痛の話をしているのに、別の欄の「1日2回」を引用してしまうと、必要量が不足し「効かない→追加投与→結局総量が増える」という逆効果の相談につながります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9901322/
添付文書では小児は「1日総量として60mg/kgを限度」と明記され、これが回数設計の最重要の“天井”です。
たとえば、体重10kgの子なら1日の上限は600mgで、1回量を150mg(15mg/kg)にすると、単純計算では4回で上限に到達します。
同じ10kgでも、1回量を100mg(10mg/kg)に設定すれば、理論上は6回で600mgですが、投与間隔4〜6時間以上の条件を同時に満たす必要があるため、現実の運用では「その日の経過時間」と合わせて回数が決まります。
さらに、カロナール錠(200/300/500)では「小児科領域における解熱・鎮痛」に対して、1回最大500mg、1日最大1500mgという“製剤側の上限”も別途提示されています。
つまり、小児では上限が二重構造で、①体重当たり(60mg/kg/日)と、②絶対量(1日1500mg、1回500mg)が両方の制限になります。
体重が大きい小学生以上では、体重換算上は60mg/kgが大きな数字になり得るため、むしろ「1日1500mg」の方が早く上限に到達するケースがある点は、現場で説明価値が高いところです。
医療者が保護者へ“回数”を聞かれたときの実務的な返し方(例)です。
添付文書(カロナール錠)には体重別の1回用量の目安が示されており、たとえば体重10kgは100〜150mg、体重20kgは200〜300mg、体重30kgは300〜450mgとされています。
錠剤に落とし込むと、体重10kgでは錠200を0.5錠(=100mg)が例示され、体重20kgでは錠200を1〜1.5錠、錠300を1錠、錠500を0.5錠などの具体例が掲載されています。
この「錠数の目安」があることで、現場では“mg/kg計算→家庭での実行”のギャップを埋めやすく、服薬指導の時間を短縮できます。
一方で、家庭では「半錠」が心理的にハードルになることがあります。
その場合の説明のコツは、根拠を“体重当たりのmg”に戻して、錠剤の割線や分割の可否、粉砕の可否、懸濁の可否など施設の運用に沿って落とすことです(ここを曖昧にすると、保護者は自己流で割って誤差が大きくなります)。
簡易の計算テンプレ(医療者のメモとして)
添付文書には、本剤と「アセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)」を併用すると、アセトアミノフェン過量投与による重篤な肝障害のリスクがあるため、配合剤(総合感冒剤・解熱鎮痛剤など)では成分確認と併用回避を促すよう明記されています。
検索クエリの実態でも、「カロナール+風邪薬」「市販薬と一緒に飲める?」が頻出しますが、事故の多くは“回数”より“重複成分”で起きます。
したがって「一日何回まで?」に答えるときは、同時に「今日、ほかにアセトアミノフェン入りを飲んでいないか」を必ず確認する設計が安全です。
過量の見抜き方(医療者向けチェック)
“意外な実務ポイント”として、厚労省資料(アセトアミノフェンの小児解熱の整理)では、国内の添付文書記載が製剤間で不統一だった経緯や、「原則1日2回」等の表現が臨床現場に混乱を招き得る点が指摘されています。
この背景を知っていると、患者家族だけでなく、院内の他職種(救急外来、他科)への情報共有で「なぜこの説明なのか」を合意しやすくなります。
カロナールは「熱を下げること」自体が目的化しやすい薬ですが、添付文書上の効能は小児科領域での「解熱・鎮痛」であり、“発熱という症状に伴うつらさ”の緩和が主戦場です。
そこで、検索上位の一般向け記事では「熱が何度なら使う?」に寄りがちですが、医療従事者向けには、頓用の意思決定を“体温の数字”単独から切り離し、苦痛・睡眠・飲水・呼吸・疼痛(咽頭痛、頭痛、筋肉痛)などの観察項目とセットで設計すると、不要な回数増を防げます。
同じ「一日何回まで」の相談でも、真の課題が「不安で早めに投与したい」なのか、「投与しても効かない(量不足、間隔不適切、原因疾患の進行)」なのかで指導が変わるため、投与記録(時刻・量・症状の変化)を取ってもらう運用が、結果的に過量も受診遅れも減らします。
臨床コミュニケーションで役立つフレーズ例(保護者の不安に寄り添いつつ、回数の暴走を止める)
参考:カロナール錠の用法用量、投与間隔、1日総量、併用注意(アセトアミノフェン重複)の根拠
KEGG(カロナール錠)用法用量・併用注意の該当箇所
参考:小児解熱でのアセトアミノフェン用量(10〜15mg/kg、4〜6時間以上、1日60mg/kg)と、添付文書の不統一が混乱を招く背景
厚生労働省資料(アセトアミノフェン小児解熱の用法用量整理)