規格とは薬局方の規格試験方法

医療従事者が押さえるべき「規格とは薬」を、薬局方・承認規格・試験方法・判定基準の観点で整理し、現場の確認ポイントまでつなげます。あなたの職場の「規格」の理解は十分でしょうか?

規格とは薬

規格とは薬:医療従事者の最短整理
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規格=試験方法+判定基準のセット

「規格」は“規格書の見た目”ではなく、試験方法と、その結果を合否判定する基準(限度値・許容範囲など)を束ねたものとして定義されます。

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薬局方は公的な規格基準書

日本薬局方は、医薬品の性状・品質の適正を図るために定められた公的規範で、通則・製剤総則・一般試験法・医薬品各条などで構成されます。

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現場では「何を見ればよいか」が重要

添付文書の用法用量だけでなく、製剤の均一性・溶出など“品質の入口”を理解すると、採用品質・後発品比較・監査対応の会話が速くなります。

規格とは薬:規格及び試験方法と判定基準


医薬品分野でいう「規格」は、単なる“規格値(数値)”ではなく、①試験方法(どの手順・分析法で測るか)と、②判定基準(その方法で測った結果を合否判定する限度値・許容範囲など)をまとめたリストとして定義されます。
さらに、この規格はメーカーが妥当性資料を添えて申請し、行政当局が「その医薬品を製造するための条件」として承認した、遵守すべき(critical)品質基準でもあります。
医療従事者の実務では、「規格」という言葉が次のように混線しがちです。


  • 製品の規格(承認された試験方法・判定基準の組)
  • 社内規格(出荷時により厳しく運用する場合があるという考え方)
  • 薬局方規格(公定書に基づく試験・判定基準)

    ICH-Q6Aの概念としては、規格は品質保証の重要要素ですが“唯一の要素ではない”とされ、開発段階の特性解析やGMP、安定性試験などと組み合わさって品質を作ります。


ここが意外に重要なのは、医療現場のトラブル相談が「規格値」だけでなく「試験方法の前提(サンプリング、測定系、ロットの考え方)」に由来することがあるからです。


例えば同じ“溶出率85%以上”でも、試験液・回転数・時間点・判定の段階(S1/S2…のような運用)などが違えば、品質の意味合いは変わり得ます(現場で確認すべきは“数値”ではなく“規格のセット”という感覚です)。


参考:規格の定義(通知本文・ICH-Q6A相当)が読める
厚労省通知「新医薬品の規格及び試験方法の設定について」:規格の定義、工程内試験、出荷判定基準など

規格とは薬:日本薬局方と薬局方の一般試験法

日本薬局方は、医薬品の性状および品質の適正を図るために厚生労働大臣が定める「医薬品の規格基準書」と位置づけられています。
構成として、通則・生薬総則・製剤総則・一般試験法・医薬品各条から成り、我が国で繁用される医薬品が中心に収載される、とされています。
医療従事者にとって薬局方が“遠い存在”に見える理由は、日々の業務が処方・監査・服薬指導・調剤・投与に寄っていて、試験法の文章に触れる機会が少ないからです。


しかし、品質の説明責任が求められる場面(後発品採用、院内採用審査、監査対応、供給不安時の代替提案など)では、「薬局方に基づく」という一言の重みが増します。


参考)https://www.semanticscholar.org/paper/69ba4bc4e860dcf3e9ba4e4d4b0789c31fad60ea

薬局方の一般試験法は、規格設定で“まず準用することを原則”とされており、JPの通則・製剤総則・一般試験法・標準品などを基本に組み立てる方針が示されています。


また、日米EUで試験法と判定基準が同等とみなされる一般試験法の調和(PDGの考え方)にも触れられており、同じ「無菌試験」等でも“調和された条件”が重要になり得ます。


参考:日本薬局方の位置づけと構成がまとまっている
厚労省「日本薬局方」:法的根拠、構成(通則・一般試験法・医薬品各条など)、改正情報

規格とは薬:含量規格と製剤均一性と溶出性

規格項目の代表例として、原薬・製剤ともに「定量法(Assay)」「純度試験(Impurities)」「確認試験(Identification)」が土台になります。
特に製剤では、投与単位の均一性(Uniformity of dosage units)や溶出性(Dissolution)など、患者に届く“1回量の再現性”に直結する項目が重要になります。
含量規格は、製造過程・定量誤差・安定性などを踏まえ、有効性と安全性に関して同等とみなせる品質を保証するために、下限・上限を設定する考え方が示されています。


また、経口固形製剤の溶出性は通常規格に含まれるとされ、即放性なら1時点、徐放性なら複数時点、放出遅延なら2段階試験など、剤形機能に合わせた設計が推奨されています。


ここで現場に役立つ“意外な視点”は、溶出試験が単なる形式試験ではなく、許容できないバイオアベイラビリティを示すロットの識別につながる条件設定が望ましい、と明確に述べられている点です。


つまり「溶出は規格に書いてあるからやる」ではなく、「溶出で何を弾きたいか(患者影響を避けたいか)」という発想が規格側にあります。


さらに、薬物が高溶解度で速やかな溶出を示すなど条件を満たす場合、溶出試験の代わりに崩壊試験を使う考え方も示されており、同じ“品質保証”でも試験設計が変わり得ます。


このような“試験の置き換え”の議論は、後発品の評価や、製造変更時の説明資料の読み解きで理解差が出やすいポイントです。


規格とは薬:工程内試験と定期的試験/スキップ試験

規格の世界では「すべての試験を毎ロット実施する」とは限らず、定期的試験/スキップ試験(Periodic/skip testing)の概念が整理されています。
これは、出荷時の特定試験をロット毎ではなく、あらかじめ定めたロット数毎・期間毎に行う運用で、試験を省略したロットも“試験すれば判定基準に適合する”ことが前提で、妥当性の説明と承認が必要です。
また工程内試験(In-process tests)は、出荷試験の一部ではなく製造工程中に実施される試験で、単に工程の作動状態の指標として行う試験(例:コーティング前の硬度・摩損度、個々の錠剤質量など)は規格に含めない、とされています。


一方で、出荷時に要求されるのと同等以上の判定基準で工程中に測り、最終製品まで変化しないことをバリデーションで示せるなら、工程内データを出荷判定に使う可能性も述べられています。


医療従事者の立場でこの話が効くのは、供給不安や製造トラブル時の説明で「検査を省略したのか?」という誤解が生まれやすいからです。


スキップ試験は“抜き取り=不安”ではなく、前提として妥当性・承認・逸脱時の報告やロット毎試験への復帰など、制度設計の中で管理される運用です。


規格とは薬:医療従事者の独自視点(採用・監査・情報連携)

検索上位の解説は「規格の定義」や「薬局方とは」に寄りがちですが、医療現場で効くのは“規格をどう会話に変換するか”です。
具体的には、院内採用・後発品比較・供給不安対応・監査対応で、品質の論点が「成分は同じ」から「規格(試験方法と判定基準)で何を担保しているか」へ移ります。
現場での確認ポイントを、規格の考え方に沿って整理すると次の通りです。


  • 🧾 「適合」の意味:規定された方法に従って試験するとき、リストにあるすべての判定基準に適合することが「規格に適合する」の意味。
  • 🧪 “試験法ありき”の落とし穴:限度値だけを切り出すと、サンプリングや装置条件、判定の段階などの前提を見落とす。
  • 🏭 工程内・出荷・有効期間の視点:規格は品質保証の一要素で、開発データやGMP、安定性と組で品質が成立する(監査や説明では、この全体像が説得力になる)。

意外に知られていない(しかし現場に効く)ポイントとして、「承認申請時に得られているデータには限りがあり、実生産のデータが増えると判定基準の変更が必要になることがある」と明記されています。


つまり“規格は固定の絶対値”というより、科学的妥当性と実測データの蓄積で見直され得る管理基準でもあり、変更時は行政当局の承認が必要、という設計です。


この理解があると、製造所変更・原薬由来変更・容器変更などの説明資料を読むときに、「どこが品質リスクで、どの試験(規格)がそれを押さえる設計になっているか」を線で追えるようになります。




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