「シート」は、薬が“シート状の包装”に載っている状態を指す言い方として現場で定着していますが、厳密な包装学の用語では「PTP包装」「SP包装」などの包装形態名で呼ぶ方が誤解が少ないです。PTPは Press Through Package の略で、プラスチック側のポケット(凸部)を指で押して、裏面のアルミ箔を破って1錠ずつ取り出す仕組みです。
PTP包装シートは、凸型を成形したプラスチックシートとアルミ箔の貼り合わせで構成され、薬を個別に密封し外部環境から守ります。 さらに、製造工程ではアルミ箔をかぶせてヒートシール(熱圧着)する工程が含まれており、「ヒート」という呼び方が現場の俗称として生まれやすい背景があります。
参考)薬剤包装シートPress Through Package(P…
臨床で重要なのは、患者・家族に「シート(ヒート)のまま飲まない」ことを具体的な行動に落とすことです。PTPは“押して取り出す”設計なので、「押し出して薬剤のみ服用」を言語化して統一し、スタッフ間の申し送りや服薬指導文言もPTP包装で揃えると事故対応が速くなります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/1044652a224dc4ed5756c950519f26b5def32b3e
参考:PTP誤飲防止の通知(切り離し、押し出し服用、一包化検討など)
厚生労働省「PTP包装シート誤飲防止対策について」
「ヒート」はしばしば“押し出すタイプのPTP”の意味で使われますが、本来の連想としては「ヒートシール(熱でフィルム同士を溶かして密封)」に近く、SP包装(ストリップ包装)と相性が良い言葉です。 実際、ヒートシール包装は「薬を特殊なフィルム袋に入れ、そのフィルム同士を熱で溶かして密封する方法」と説明され、完全密封に寄った設計です。
一方で、PTPも最終的にはアルミ箔をヒートシールする工程があるため、「ヒート=PTP」「ヒート=SP」と一対一対応しません。 つまり、ヒートという単語は“包装の種類”ではなく“密封のやり方(熱圧着)”に寄った曖昧語として機能してしまい、部署間(病棟・薬剤部・外来)や職種間(看護師・薬剤師)で意味がズレやすくなります。
医療安全の観点では、指示書や与薬手順に「ヒートのまま渡す/ヒートを外す」と書くよりも、「PTP包装から押し出して渡す」「SP包装は開封して薬剤のみ渡す」と、行為と包装形態をセットで記述する方がヒヤリ・ハットを減らしやすいです。
PTP包装シートの誤飲は、薬剤を押し出さず包装ごと服用した場合に、喉や食道などを傷つけるおそれがあるとして注意喚起されています。 厚生労働省の通知では、誤飲防止のため「ミシン目が一方向のみ」であることを踏まえ、調剤・与薬時に不必要にハサミ等で1錠ずつに切り離さないよう留意することが明記されています。
同通知では、患者・家族へ「可能な限り1つずつに切り離さずに保管」し、「服薬時にはPTP包装シートから薬剤を押し出して薬剤のみを服用」するよう指導すること、さらに高齢者等では家族等介護者への注意喚起(見守り等)も求めています。 ここで「薬ヒート」「シート」という言い回しを使うと、患者には通じにくいだけでなく、切り離しの是非や押し出し動作が曖昧になりやすいので、説明は“動作ベース”で固定するのがコツです。
現場で使える患者向けの一言例(説明のブレを減らす)。
この“行為の明確化”が、ヒート/シート論争よりも実際の事故予防に直結します。
PTP誤飲リスクや自己管理困難が疑われる患者では、通知上も「必要に応じて一包化による処方を検討」することが示されています。 薬局側でも、一包化が適切かを検討し、必要に応じて処方医へ照会の上で一包化調剤を実施することが位置づけられています。
ここでのポイントは、「ヒート(シート)だから危ない」という単純化ではなく、患者側の条件でリスクが跳ね上がる点です。高齢者、誤飲の可能性がある患者、自らの薬管理が困難と思われる患者では、家族の見守りや一包化など“システム側の支援”を組み合わせるのが現実的です。
一包化を検討する際に、医療従事者が押さえるべき観点(例)。
用語は「ヒート」より「PTP包装」「一包化」で揃えた方が、薬剤部・病棟・地域連携での情報共有が崩れません。
現場で意外に見落とされやすいのが、包装材の“廃棄・回収”が患者行動に影響し、結果的に誤飲リスクや服薬アドヒアランスにも波及する点です。PTPシートは複合素材(プラスチック+アルミ)で、分離に特別な設備が必要なためリサイクルが進みにくいという課題が整理されています。
一方で、使用済みPTPシートを回収し、プラスチックとアルミに分離して再利用する流れ(回収→施設で分離→再資源化)も紹介されており、業界側では回収・リサイクルに向けた動きがあります。 ここに医療従事者が絡める“独自の実務ポイント”として、服薬指導の最後に「切り離さないで保管」の指導をしたうえで、「飲み終わったシートはまとめて保管し、持参薬確認や回収に活かす」という運用を提案すると、誤飲防止と薬剤管理(残薬確認)の両方に効きます。
また、PTPは「薬が外から見える」「個別密封で管理しやすい」という利点がある一方、患者の生活では“切り離して携帯したくなる”誘惑が強く、そこが誤飲リスクの入口になります。 だからこそ、環境配慮の話題に寄せる形で「切り離さないほうが安全で、管理もしやすく、回収もしやすい」という一貫したメッセージにすると、行動変容が起きやすいのが実務的な狙いです。

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