「目薬をさす」を漢字で書こうとすると、現場でも患者さんでも迷いやすいポイントです。結論から言うと、由来・意味の筋が通る候補が複数あります。総合東京病院の解説では、もともとは「注す」や「点す」だったが、常用漢字として扱われにくい事情から、現在はひらがな表記や「差す」が一般的になっている、と整理されています。
医療従事者向けに「違い」を短く言語化するなら、次のイメージが実用的です。
参考)目薬のおはなし
医療機関の掲示物・院内配布プリント・同意説明資料などでは、読みやすさと統一感が最優先になります。したがって、院内ルールがない場合は「目薬をさす(ひらがな)」に寄せるか、どうしても漢字にするなら「差す」を採用して表記ゆれを止める、という運用がトラブルを減らします。
「目薬」は通称で、より医療用語としては「点眼剤」などが使われます。総合東京病院のコラムでも、「目薬をさす」の正式な言葉は「点眼する」と説明されています。
ここで、医療従事者が文章を書くときに役立つ“使い分けの型”を提示します。
意外に現場で効くのが、「用語の統一が教育コストを下げる」という視点です。新人指導や患者指導で“同じことを別の言葉で言い直す”回数が増えると、ミスや認識ずれの温床になります。まず施設内で「記録=点眼」「患者説明=さす(差す)」のように、最低限のルール化をおすすめします。
点眼は「入れる」行為に見えて、実際は“汚さず、狙って、保持する”手技です。高松赤十字病院の解説では、手洗い→下まぶたを軽く下げて1滴→点眼後は静かに閉眼して約1分、必要に応じて目頭を押さえる、という流れが示されています。
医療従事者が患者さんに教えるとき、伝達ミスが起こりやすいポイントを補足します。
外来でよくあるのが「黒目の真上に落とさなきゃ」と思い込んで、怖くて手が止まるケースです。そのときは“下まぶた側のポケット(結膜嚢)を狙う”と説明し、鏡を使う・座位で頭を軽く後屈するなど、再現性のある姿勢に誘導します。
点眼指導で見落とされがちですが、薬効以前に「汚染させない」が安全の土台です。総合東京病院のコラムでは、目とボトルが液体でつながるような距離まで近づけると、涙液が瓶の中に逆流して薬液が不潔になることがある、と注意喚起されています。
この“逆流(汚染)”は、患者さんの行動としては次の形で起きやすいです。
医療者側の工夫としては、指導時に「距離」を言葉で決めるのが有効です(例:「先端が触れないように数cm離して」など)。さらに、点眼後はキャップを確実に閉めて清潔に保管する、とセットで説明すると事故が減ります。
検索上位は「差す・注す・点すのどれが正しいか」に寄りがちですが、医療現場では“正しさ”よりも「伝達の安全性」が重要です。総合東京病院でも、現在はひらがな表記や「差す」が一般的になっている、とされており、読みやすさの観点が背景にあります。
ここを一歩進めて、院内の文書品質として考えると、表記の揺れはインシデントの種になります。例えば、患者向け資料に「点す」が混ざると、読めない・変換できない・検索できない(スマホで調べられない)という“小さなつまずき”が発生し、結果的に自己流点眼へ流れやすくなります。
おすすめの統一案(例)を示します。
言葉の統一は、患者さんの理解だけでなく、説明する側(看護師・薬剤師・医師)の“説明の揺れ”も減らします。結果として、点眼の手技が標準化され、汚染・点眼失敗・過量点眼のようなよくある問題を、地味にしかし確実に減らせます。
点眼の基本と注意点(患者指導に使える要点)
高松赤十字病院の「正しい点眼薬の使い方」(手洗い、1滴、閉眼・目頭圧迫などの手順)
「目薬をさす」の表記・由来(院内文書の表記統一の根拠に)
総合東京病院の「目薬のおはなし」(「注す」「点す」由来と、現在は「さす」や「差す」が一般的という整理、先端を近づけ過ぎない注意)