ミルラクト細粒50%は、高田製薬の製品情報ページ上で「重要なお知らせ」として販売中止が案内されています。製品ページには「ミルラクト細粒50% 販売中止のご案内(更新)」といった形で掲示され、現場の情報収集の一次ソースとして使えます。
また、医療用医薬品の供給状況を集約するデータベース(DSJP)では、ミルラクト細粒50%が「販売中止」と明記され、告知日(2023年2月8日)と実施日(2023年3月1日)まで確認できます。
さらにDSJPの備考として、経過措置に関する注記(「経過措置2023年3月31日⇒未定へ」)が掲載されており、単純に“いつまで在庫が回るか”を断言しにくい状況が読み取れます。
現場でまず重要なのは、同じ「入手困難」でも用語が混ざると意思決定が遅れる点です。一般に「出荷調整」は供給が戻る前提での調整であることが多い一方、「販売中止」は将来的に通常流通へ戻る期待を置けないため、採用中止・代替への移行を早めに設計する方が安全です(この線引きは病院の薬事委員会・DIが最も強く意識すべき論点です)。
参考)医療関係者の皆さま|高田製薬株式会社
病棟・外来・調剤薬局で実際に起こる問題としては、処方変更そのものよりも「投与設計の再構築」と「説明コスト」が支配的になります。例えば、乳児・小児や経管栄養の症例では、細粒の“量の刻み”や“溶かして投与する運用”がそのままプロトコル化していることが多く、代替品で同じ運用が成立するか(溶解性、味、投与量単位、配合変化、温度条件など)を一つずつ潰す必要があります。
参考)ミルラクト細粒50%の基本情報(作用・副作用・飲み合わせ・添…
参考:高田製薬の製品ページ(重要なお知らせの掲載箇所、製品情報の一次ソース)
医療関係者の皆さま|高田製薬株式会社
参考:DSJPの供給状況(販売中止・告知日・実施日・経過措置の注記)
https://drugshortage.jp/drugdata.php?drugid=50824
ミルラクト細粒50%の一般名はβ-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム)で、薬効分類は乳糖分解酵素剤として整理されています。
添付文書情報として、乳児の乳糖不耐に伴う症状、一次性・二次性乳糖不耐など多様な場面での有効率データがまとめられており、単なる「整腸薬」ではなく“乳糖負荷と症状の関係が明確なケース”で合理性が立ちやすい薬剤です。
用法の実務で見落としやすいのが「温度」です。乳児投与では、少量の水またはお湯に溶解するが“50℃以上にならないこと”が明記されており、ミルクや湯冷ましの温度管理がそのまま効果に影響し得ます。
参考)ミルラクト細粒50%の基本情報・添付文書情報 - データイン…
この温度条件は、処方変更時に代替薬へ切り替えるなら“代替でも同様の注意が必要か”を確認すべきポイントで、家族指導文書(薬局の服薬指導書・病棟の指導せん)にも反映したい項目です。
副作用・安全性の観点では、ショック症状(四肢冷感、顔面蒼白、チアノーゼなど)や消化器症状が注意事項として挙げられ、症状出現時には投与中止などの対応が求められます。
参考)医療用医薬品 : ミルラクト (ミルラクト細粒50%)
販売中止を機に代替へ変える場合でも、「下痢が続く=薬が合わない」だけで片付けず、脱水やアレルギー反応の評価、乳糖以外(感染性腸炎、抗菌薬関連、栄養剤浸透圧、投与速度など)の鑑別を同時に走らせることが、結果的に事故を減らします。
供給状況データベース上で「販売中止」と確認できる場合、薬剤部としては“代替品検索”だけでなく、院内採用の整理(採用中止、院外処方での対応、限定出庫の条件)を同時に決めるのが現実的です。
実際に病院の運用文書では、出荷停止や供給見込み不明を理由に院内オーダを一時停止する、といった形での対応が提示されることがあります。
代替の検討は、単純な同効薬置換ではうまくいかないことがあります。乳糖分解酵素剤は「乳糖を摂取した時に症状が出る」ことを前提に処方されるため、栄養内容(乳糖量)と投与タイミング(食事・栄養投与と同時か)が揃わないと、同じ成分カテゴリでも体感効果がぶれます。
そのため、切替の最初の一手は「患者ごとの乳糖負荷の源を特定する」ことです。例としては、ミルク、経腸栄養剤(乳糖含有の有無)、内服薬の賦形剤(乳糖)、流動食などがあり、負荷が薄い患者に漫然と継続していると、販売中止を機に“中止・経過観察”が最も安全で合理的になる場合もあります(もちろん症状と栄養状態を見て判断します)。
切替時に揉めやすいのは、患者・家族の納得感です。以下の説明テンプレをチームで統一すると、外来・病棟・薬局で説明が割れにくくなります。
・「販売中止(供給状況)で、同じ薬が今後手に入りにくい」
・「症状を抑える目的は同じだが、飲ませ方や量が変わる可能性がある」
・「下痢が悪化する/血便/発熱/尿量低下があれば早めに連絡してほしい(脱水評価を優先)」
ミルラクト細粒50%は、経管栄養食・経口流動食摂取時の乳糖不耐による下痢などの改善にも用いられ、投与量は「摂取乳糖量10gに対して1g」を目安に食事とともに投与するとされています。
この“乳糖10g”という軸は、栄養剤ごとに乳糖の扱いが異なる現実と衝突します。つまり、栄養剤の成分表を見て乳糖相当の炭水化物がどれかを確認しないと、同じ「1g」でも患者間で負荷量がズレ、効果判定が曖昧になります(医師・管理栄養士・薬剤師の連携ポイントです)。
温度条件(50℃以上で力価低下・溶解時の上限)は、投与手技の誤差として現れやすい“意外な盲点”です。例えば、作り置きや湯せん、熱いミルクへの直接混和などで温度が上振れすると、同じ処方でも日によって効き方が変わり、「薬が効かない」と誤認されることがあります。
経管投与では、投与前後のフラッシュや懸濁の粒子性が詰まりの原因になるか、他剤との同時懸濁を避けるべきか、といった運用面の確認が必須です(ここは施設ごとの簡易懸濁プロトコルに従い、代替薬でも再検証します)。
また、乳児では便性状や哺乳量の変動が大きく、下痢の評価が難しいため、「投与開始・変更の前後で、便回数、性状、水分摂取、体重、尿量」をセットで追うと判断がブレにくくなります。
販売中止をきっかけに、症状の背景(感染、ミルク調整、抗菌薬、栄養速度)も同時に棚卸しすると、薬剤変更以上にアウトカムが改善することがあります。
独自視点として強調したいのは、「代替薬を決める」だけでは運用が終わらない点です。ミルラクト細粒50%は薬価情報(1gあたりの薬価が掲載されている)も公開されており、代替でコスト構造が変わる可能性があります。
コストは患者負担だけでなく、院内採用の購買・在庫管理・分包運用にも跳ね返るため、“選定→採用→処方マスタ→説明資材→監査”までを一気通貫で設計しないと、現場は混乱しがちです。
具体的には、次の三点セットを同時に作ると失敗が減ります。
・在庫方針:院内残在庫の払出条件、院外処方への切替基準、患者限定の例外運用の可否(供給状況が「販売中止」であることを前提にする)
・処方設計:乳糖負荷の源(ミルク・栄養剤・賦形剤)と投与タイミング、温度条件(50℃以上回避)を含む投与手順の再定義
・説明文書:家族向けに「販売中止による変更」「溶かし方(温度)」「受診目安(ショック症状や脱水)」を短く明文化し、外来・病棟・薬局で同じ紙を使う
医療現場では、供給不安が長引くほど「情報の鮮度」が価値になります。一次ソース(製造販売業者の案内)と、供給状況データベース(告知日・実施日・経過措置の注記)をセットで参照する運用にしておくと、問い合わせ対応の精度が上がり、スタッフの心理的負担も下げられます。