乳糖水和物とは 賦形剤 調剤 用法 用量

乳糖水和物とは何かを医療従事者向けに、日局での位置づけ、性状、賦形剤としての利点、患者説明での注意点まで整理します。乳糖不耐症や牛乳アレルギーで迷う場面に、どう判断しますか?

乳糖水和物とは 賦形剤 調剤

乳糖水和物とは:現場で迷わない要点
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日局の位置づけ

「日本薬局方 乳糖水和物」として賦形剤に用いられ、白色結晶/粉末で水に溶けやすく、エタノールにほとんど溶けません。

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賦形剤として選ばれる理由

中性で反応性が少ない、やや甘味で矯味に寄与、吸湿性が強すぎない、流動性や打錠性を設計しやすい点が評価されます。

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患者説明の注意点

乳糖不耐症と牛乳アレルギーは別物で、症状と摂取量(含有量)でリスクが変わるため、必要時は製品情報を確認して説明します。

乳糖水和物とは 日局 組成 性状


乳糖水和物は「日本薬局方 乳糖水和物(LACTOSE HYDRATE)」として収載され、医薬品では賦形剤として調剤に用いられる材料です。
日局製剤情報では、成分は「1g中 日局乳糖水和物 1g」とされ、いわゆる“有効成分”ではなく製剤設計・調剤のための賦形剤という立ち位置です。
性状は、白色の結晶、粉末、または造粒した粉末であり、外観の差は粒度設計や流動性の調整(秤量・混和・分包のしやすさ)に直結します。


参考)水素水は怪しい水でしょうか?

溶解性として「水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない」という特徴が明記されており、溶媒選択や懸濁・溶解の見立てに役立ちます。

また、CAS番号の整理では水和物(乳糖水和物)が 64044-51-5、無水物が 63-42-3 と区別され、同じ“乳糖”でも物性や取り扱いが別管理になる点が実務上の落とし穴です。


参考)Expression of Cytochrome P450 …

医薬品添加物としての用途分類は幅広く、賦形剤に限らず、結合剤、崩壊剤、糖衣剤、等張化剤など多目的に記載されています。

現場のイメージとしては、「粉を増やして均一にする」だけでなく、剤形を成立させるために流動性・圧縮性・崩壊性・味などを微調整する“設計部品”として使われます。

このため、同じ乳糖水和物でも、粒子設計(結晶/粉末/造粒)と目的(賦形・結合・崩壊補助など)を分けて理解すると、説明や監査対応が楽になります。


乳糖水和物とは 賦形剤 効能 効果 用法 用量

乳糖水和物の「効能又は効果」は、治療効果ではなく「賦形剤として調剤に用いる」と明記されています。
用法及び用量も同様に「賦形剤として調剤に用いる」であり、患者に対しては“薬として効かせる”ものではないことを、必要に応じて誤解なく伝えるのが重要です。
賦形剤としての運用では、散剤の用量調整(微量薬の希釈)、混和性の確保、分包機での流動性確保など、調剤工程の品質を安定させる役割が中心になります。

この“工程品質を担保する成分”という視点を持つと、監査で問われやすい「なぜその賦形剤か」「代替は何か」「患者要因で変更するか」に答えやすくなります。

乳糖は用途分類として矯味剤・甘味剤にも挙げられており、服薬アドヒアランスの面で「味の角を取る」方向に働くことがあります。

一方で、含量が増えるほど糖質負荷や消化器症状の論点が出やすくなるため、単に“無難な賦形”と決め打ちしない姿勢が安全です。

特に小児や高齢者では、少量でも下痢・腹部膨満などの訴えが拾われやすいため、「飲みにくさ」だけでなく「体質的に合うか」を確認できる質問設計が望まれます。

実務としては、処方薬・院内製剤・分包品などで乳糖が重複する場合があるので、患者の訴えが出たときに“総乳糖量”で再評価できるよう記録しておくと後工程が軽くなります。


乳糖水和物とは 安全性 乳糖不耐症 牛乳アレルギー

乳糖水和物は一般に広く用いられる添加物ですが、患者安全の論点として代表的なのが「乳糖不耐症(ラクターゼ活性低下)」と「牛乳アレルギー(乳蛋白への免疫反応)」の切り分けです。
牛乳アレルギーは主にカゼインや乳清タンパクが問題であり、乳糖そのものは糖質であるため、概念上は別に評価すべきだと整理されています。
ただし“概念上別”でも、製造由来で微量の乳蛋白が混入する可能性を完全にゼロと言い切るのは難しく、重症例では慎重な情報確認(製品情報、メーカー情報、既往歴)が必要です。


参考)【Q】牛乳アレルギー児に対して、散薬の賦形は乳糖の使用は可能…

一方、乳糖不耐症では分解できない乳糖が消化器症状につながり得るため、「乳糖が入っているか」そのものが説明ポイントになります。

実務で困るのは、患者が「牛乳でお腹を壊す」=「アレルギー」と自己判断しているケースで、この場合は症状(皮膚・呼吸器・循環器の即時型か、消化器中心か)を丁寧に聴取し、必要なら医師へ情報共有します。

また、乳糖が不適切な患者(乳糖不耐症など)では賦形剤をデンプン等へ変更する必要性が議論されており、賦形剤選択が“患者要因で変わる”具体例として押さえておくと役立ちます。


参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/36/9/36_9_684/_pdf

患者説明で使える言い回しの例(状況に応じて調整)。
✅「このお薬は成分を均一にするために乳糖を少量使うことがあります。牛乳アレルギーと乳糖不耐症は別なので、出た症状を教えてください。」​
✅「以前に乳糖で下痢が強く出た方は、賦形剤の変更が必要な場合があります。」​

乳糖水和物とは 現場の落とし穴 粉末 造粒 吸湿

乳糖(乳糖水和物/無水乳糖)を“同じもの”として扱うと、監査やトラブル対応で説明が詰まることがあります。CAS番号が水和物と無水物で異なるように、同じ乳糖でも規格や物性の管理単位が分かれます。
特に「粉末」か「造粒」かは、混和・分包の均一性に影響しやすく、同じ秤量でも静電付着や分離の出方が変わるため、調剤工程の再現性に関わります。
また、溶解性の記載(“水に溶けやすい”)は、現場では「すぐ完全に透明に溶ける」ことと同義ではありません。粒度、攪拌、温度、共存成分で溶け残りの見え方が変わるので、患者の「溶けない」「ざらつく」といった訴えは、配合設計の問題として拾う価値があります。

意外に見落とされるのが、乳糖は用途として崩壊剤や崩壊補助剤にも挙げられている点で、“ただの増量剤”にとどまらず崩壊挙動に関与しうる材料だという理解です。

つまり、賦形剤を安易に別物へ置き換えると、同じ成分量でも「崩壊」「溶出」「口腔内での崩れ方」が変わり、服薬感や効果発現の体感が変化する可能性があります。

そこで独自視点として、乳糖水和物を「患者安全」だけでなく「工程品質(混ざる・流れる・分かれない)」と「服薬体験(味・ざらつき)」の両輪で評価すると、現場の説明力が上がります。


この整理をチーム内で共有しておくと、疑義照会や患者クレームが出た際に、原因仮説(体質か、配合か、工程か)を短時間で切り分けやすくなります。


日本薬局方収載・性状・効能効果(賦形剤)を確認する箇所。
PMDA「日本薬局方 乳糖水和物」:組成・性状、効能効果、用法用量
医薬品添加物としての用途分類(賦形剤/結合剤/崩壊剤など)やCAS番号(水和物/無水物)を整理する箇所。
日本医薬品添加剤協会(JPEC)「乳糖」:CAS、収載公定書、用途分類
牛乳アレルギーと乳糖不耐症の区別、賦形に乳糖を使う判断の臨床的考え方。
くすり教育研究所(閉鎖DI)「牛乳アレルギー児に対して散薬の賦形は乳糖の使用は?」




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