パレイドリアテスト 点数と採点と幻視とDLB

パレイドリアテストの点数(反応数)の数え方、臨床での解釈、DLBや幻視との関係、実施時の注意点までを医療従事者向けに整理します。あなたの現場では「点数」をどう運用しますか?

パレイドリアテスト 点数

パレイドリアテスト点数:現場で迷いやすい所
🧠
点数=「正答率」ではない

多くの運用で重視するのは「パレイドリア反応数(錯視反応)」で、誤って顔があると判断した回数が本体です。

⏱️
短時間で再現しやすい

ノイズ版+風景版を組み合わせても12~17分程度で実施可能とされ、外来・病棟の導入余地があります。

🎯
鑑別・症状評価に効く

DLBの幻視の“代用尺度”としての価値や、ADとの鑑別・治療前後の変化検出に関する知見が報告されています。

パレイドリアテスト 点数の意味:反応数(錯視)をどう扱うか

医療現場で「パレイドリアテスト 点数」と言うと、一般的な認知機能検査のような“総合点”を想像されがちですが、運用の核はむしろ「パレイドリア反応数(=存在しない顔や意味を“ある”と見誤った回数)」です。
特にノイズ版は、曖昧な刺激(白黒ノイズ)に対して「顔があるかどうか」を問うことで、視覚の誤認(錯視)を人為的に誘発し、幻視に近い現象を“その場で”可視化する意図を持ちます。
このとき点数が高い=単純に「悪い」ではなく、患者の訴え(幻視・誤認の頻度)や周辺症状(注意・遂行機能、睡眠、薬剤、視機能)とセットで意味が立ち上がります。
点数(反応数)の読み方で、臨床的に押さえたい軸は次の通りです。


また意外と重要なのが、点数を「患者の失敗」ではなく「症状の表出」として扱う姿勢です。検査で不安・羞恥が強まると、以後の問診で幻視を話さなくなることもあります(特に“わかっているけど怖い”“恥ずかしい”タイプの訴え)。点数運用は、チームでの説明の仕方まで含めて設計した方が安全です。

パレイドリアテスト 点数の採点:ノイズ版・風景版・パレイドリアスコア

標準化の議論では、パレイドリアテストを「風景版(風景叙述課題)」と「ノイズ版(ノイズ-顔課題)」の2系統として整理し、それぞれの採点方法を検討した報告があります。
この枠組みでは、風景版は刺激枚数を縮減し、採点は「パレイドリア反応のあった枚数」を反応として数える運用に改めた、と明記されています。
ノイズ版は、40枚のうち8枚が“顔入り”のプライマー刺激で、採点の母数はそれを除いた32枚(顔が入っていないのに“ある”と言った誤反応)を基本にする、という考え方が示されています。
さらに、両者の反応数合計を「パレイドリアスコア」として扱い、鑑別や妥当性検討に利用しています。

報告では、パレイドリアスコアの級内相関係数(ICC)が0.82とされ、検査としての再現性の一つの目安が提示されています。

また、ROC解析として「パレイドリアスコアのカットオフを5以上」とした場合にDLBとADの鑑別で感度84%、特異度84%という数字が示されています。

ここで現場向けに強調したいのは、点数の作り方が一通りではない点です。施設で使っている刺激セット、実施手順(呈示時間、練習、教示)、採点ルール(誤反応の定義、母数の扱い)が違うと、同じ「点数」でも臨床的意味がズレます。


したがって、運用導入の際は、①どの版を使うか、②「点数」を反応数で記録するか、合計スコアにするか、③プライマーや顔入り刺激をどう扱うか、を院内で固定し、記録様式(カルテ文言)まで合わせるのが事故予防になります。

参考:パレイドリアテストの標準化(風景版・ノイズ版・パレイドリアスコア、採点の母数やカットオフの考え方)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143091/201418005A_upload/201418005A0010.pdf

パレイドリアテスト 点数とDLB・幻視:鑑別と症状評価の実務

DLBは高齢者の認知症の約10~30%を占め、幻視は中核的特徴の一つで、70%以上に認められる頻度の高い症状とされています。
一方で、短い診察の場で医療者が“幻視が出ている瞬間”に立ち会うのは稀で、介護者への質問票は観察・判断に依存して過小評価につながることが指摘されています。
このギャップを埋める発想として、幻視に類似した特徴を持つ錯視(パレイドリア)を誘発し、患者から直接的に“幻視に近い現象”を引き出すのがパレイドリアテストの立ち位置です。
点数(反応数)を鑑別に使う場合、考え方は「診断の決定打」ではなく「赤旗(red flag)」「状況証拠」の積み上げです。


  • DLB群では、風景版・ノイズ版いずれでも反応数がAD群より有意に多いという結果が示されています。​
  • 健常高齢者ではほとんど見られなかった、という記述もあり、反応数の“臨床的違和感”を拾える可能性があります。​
  • 幻視重症度との関係は、パレイドリアスコアとNPI幻覚スコアの相関(rs=0.686)として示され、特にノイズ版とNPI幻覚スコアの相関が強い(rs=0.744)という方向性が述べられています。​

つまり「点数が高い=DLB確定」ではなく、①幻視や誤認妄想、②認知機能の変動、③パーキンソニズム、④RBDなどの臨床特徴、⑤画像やバイオマーカー、⑥薬剤過敏性などと、同じ文脈で点数を位置付けるのが安全です。


実務上のコツとして、点数を説明する言い回しを工夫すると問診の質が上がります。例えば「検査で“顔が見えやすい状態”が少し出ました。普段も、壁の模様やハンガーが人に見えることはありませんか?」のように、否定されやすい症状を“体験の言語化”に変換できます。

パレイドリアテスト 点数の解釈:年齢・前頭葉機能・パーキンソン病の所見

ノイズパレイドリアテスト(NPT)は日本で広く使われ、パレイドリア反応(誤って顔を見出す反応)を数として扱う形式が明確に記載されています。
PDとAPSを比較した研究では、PD群とAPS群のパレイドリア反応の中央値はいずれも0ですが、PD群の方が反応が多い傾向(p=0.077)があり、分散が大きい(最大20)ことが示されています。
また、NPTでPDとAPSを識別する際、最適カットオフを2/3とした場合の感度25.7%、特異度100%という数字が提示され、「APSを除外する赤旗」的な使い方が議論されています。
臨床で“意外に効く”のは、点数を単体で見るより、関連因子と束ねて読むことです。


  • PD群では、パレイドリア反応数が年齢と相関(r=0.27)し、FAB(Frontal Assessment Battery)とは負の相関(r=-0.34)を示したと報告されています。

    参考)浅谈利用点云数据生产DEM的方法

  • 一方でMMSEとは相関しなかった(r=-0.15)とされ、全般的認知の低下というより、注意・遂行系や加齢などの要素が点数に乗りやすい可能性が示唆されます。​
  • さらに脳血流では左頭頂葉の低灌流と反応数の相関(r=0.35)が示され、注意ネットワーク仮説との接続が議論されています。​

このあたりは、DLB領域の文脈だけでなく、PD領域でも「点数=幻視の話題を立ち上げる検査」「点数が高いときはAPSよりLewy body病理を疑う補助線」として使える、という点が実務上のメリットです。

ただし同研究でも、感度が低いためPDの診断マーカーとしては不適で、薬剤影響やサンプルサイズなど限界が明記されています。

参考:NPTの実施手順(40枚、顔入り8枚、反応分類)と、点数(反応数)の臨床的読み方(カットオフ2/3、特異度など)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10986643/

パレイドリアテスト 点数を現場運用に落とす:独自視点「記録・説明・チーム共有」

検索上位の解説は「点数の意味」「DLB鑑別」「やり方」に寄りがちですが、実装で一番つまずくのは“点数の置き場所”です。ここでは、医療従事者向けに運用設計の観点で整理します(この章は現場実装の独自視点です)。
まず、記録フォーマットを固定します。おすすめは、自由記載だけにせず、最低限次を並べて残すことです。


  • 実施版:ノイズ版/風景版/両方。​
  • 点数定義:パレイドリア反応数(誤って「顔あり」とした数)、母数(例:32)を明記。
  • 併記:MMSE、FAB、NPI幻覚項目など、点数の解釈に必要な周辺指標。

次に、患者・家族への説明テンプレを作ります。DLBでは幻視が中核的特徴である一方、本人が話したがらない、家族が「そんなはずない」と否認する、というズレが起きます。

このとき「点数が高い=嘘をついている/間違えた」ではなく、「脳の情報処理のクセとして、曖昧な模様を“意味あるもの”に結び付けやすい状態が出ている」と説明すると受け入れられやすいです。


さらに、ケアの指針(否定・訂正しない等)に接続できると、検査が“診断のためだけ”で終わらず、対応改善に直結します。

最後に、多職種共有の観点です。DLBは全身病(自律神経症状など)としての側面も語られ、転倒リスクや薬剤過敏性など、点数以外の危険因子とセットで管理する必要があります。

パレイドリアテストの点数が高い患者は、①環境調整(照明、影、模様の多い壁紙など)、②夜間せん妄・睡眠の評価、③服薬調整の検討、④介護者教育、といったチーム課題を“見える化”するトリガーになり得ます。

点数を「神経心理のスコア」から「ケアプランの起点」へ翻訳できると、検査の費用対効果が一段上がります。


参考:ノイズパレイドリア・テストが“幻視の代用尺度”として客観的評価に使えること、DLBの症状整理(前駆症状や鑑別の要点)
https://mcd.akita-rehacen.jp/cms/wp-content/uploads/2020/05/ninchidayori_202001.pdf