トラマールは「トラマドール塩酸塩」を成分とする医療用医薬品の販売名で、PMDAの医療用医薬品情報でもトラマールOD錠の一般名/成分名がトラマドール塩酸塩として整理されています。
一方、トラマドールは一般名(成分名)であり、先発品トラマール以外にも後発品や、徐放設計など別ブランドが存在するため、現場では「どのトラマドール製剤か」を確認しないと話が噛み合いません。
処方箋の一般名処方では、患者さん側は「トラマドール=別の薬に変わった」と誤解しやすく、医療者側も剤形(OD/普通錠/徐放)や規格の取り違えに注意が必要です。
トラマール(トラマドール塩酸塩)の用法用量は、成分として通常「1日100〜300mgを4回に分割」、ただし「1回100mg、1日400mgを超えない」と明記されています。
この「1日400mg上限」は、単に暗記するよりも「複数規格・複数剤形をまたいで総トラマドール量を合算する」発想が重要で、薬剤変更(例:OD錠→別ブランド、あるいはIR→別剤形)時に事故が起こりやすい領域です。
また、同成分でも徐放設計(ワントラム、ツートラム等)を含む“トラマドール製剤群”として商品一覧が整理されており、服薬回数やTmaxの体感、レスキュー設計の考え方が変わるため、単純に「同じトラマドールだから同じ飲み方」とは言い切れません。
トラマドールは未変化体の作用に加え、CYP2D6で代謝される活性代謝物モノ-O-脱メチル体(M1)が鎮痛に寄与するとされ、CYP2D6阻害や個人差が効果に影響し得ることが日本語資料でも解説されています。
さらに緩和領域の薬理学的解説では、M1はμオピオイド受容体への親和性が未変化体より高いこと、そして日本人ではCYP2D6活性が低い層が一定割合ありM1が生成されにくく「鎮痛効果が発揮されにくい」可能性が述べられています。
このため、同じ「トラマドール量」を投与しても、効き方の個人差(効きにくい、効き過ぎる)を“患者要因”として評価し、安易な増量や他剤併用に進む前に、眠気・ふらつき・突出痛のタイミングなどを具体的に取り直すのが実務的です。
トラマドール塩酸塩製剤(トラマール等)では、「自動車等運転操作中に副作用が発現した国内症例が集積」したことを背景に、使用上の注意の改訂で「意識消失」に関する注意追記が行われた経緯がPMDA文書に示されています。
この情報は、単なる“眠気注意”より一段重く、初回投与・増量時・併用薬変更時に「運転や高所作業をどう指導するか」という現場オペレーションに直結します。
副作用モニタリングでは、嘔気・便秘・眠気の頻度だけでなく、「いつ」「どの用量で」「どの併用で」起きたかを記録し、製剤変更(ODへ、徐放へ、注射へ等)の可否判断材料にするのが安全です。
“同じトラマドール”でも、実臨床では「どの製剤設計か(即放性/徐放/OD/注射)」「何と組み合わせているか(合剤の有無)」「患者の代謝背景(CYP2D6等)」が絡み、同じ用量換算のつもりでも体感効果・副作用・服薬アドヒアランスが変わり得ます。
特に一般名処方の処方監査では、名称が“トラマドール”で揃って見えることで、OD錠か徐放錠か、分割回数が違うものが混在しても見落としやすく、患者説明でも「前と同じ痛み止めです」と言ってしまいがちです。
そこで独自視点として、監査・指導のチェック項目を「成分」ではなく「運用(回数・放出・上限・運転・突出痛対応)」で固定化すると、検索上位の一般的な解説よりも現場事故を減らせます。
🧩チェック項目(入れ子なし)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/bb061770885fdd052f5055d9756c8995fc459ece
参考)商品一覧 : トラマドール塩酸塩
参考)302 Found
参考)https://jpps.umin.jp/old/issue/magazine/pdf/1003_02.pdf
📌現場で使える一言テンプレ(例)
参考:トラマールOD錠の一般名(トラマドール塩酸塩)、添付文書や関連資材への導線
PMDA:トラマールOD錠25mg/50mg(医療関係者向け)
参考:トラマドール製剤の「使用上の注意」改訂理由(意識消失、運転操作中の症例集積)
PMDA:トラマドール塩酸塩等「使用上の注意」改訂について(PDF)
参考:トラマドールの活性代謝物M1とCYP2D6、そして日本人で効きにくさが起こり得る点(薬理学的知識)
日本緩和医療学会:がん疼痛薬物療法ガイドライン(薬理学的知識)