ヨーデルS糖衣錠-80は、便秘治療剤で、有効成分は「センナエキス」であり、1錠中にセンナエキス80mg(センノシドAとして16mg)を含有します。
分類としては大腸刺激性下剤に位置づけられ、主成分(センノシドA・B)が大腸の蠕動運動を促進し、さらに水分の吸収を抑制することで便通を促します。
「効き目」を理解するうえで重要なのは、センノシドが“そのまま”強く効くというより、腸内細菌により活性体のレインアンスロンへ変換されて薬効が発現する点です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/ec420c7fd965118e3f0b03d84fdf6e42d70a3ff5
このため、抗菌薬投与中・下痢傾向・食事量低下などで腸内環境が変動している患者では、同じ用量でも反応が読みづらい可能性があり、問診で「最近の便性・回数・腹部症状・併用薬」を押さえておく価値があります。
また、刺激性下剤は「排便がない」状態に対して効果を期待されがちですが、実務では“便があるのに出ない”のか、“便が硬い/少ない”のかで戦略が変わります。ヨーデルSは蠕動促進が主なので、硬結便や糞便塞栓を疑う場面では、内服だけで押し切らない判断(坐薬・浣腸・摘便評価、原因薬の確認など)が必要です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/34427ab1089e3efd6f7881b8c9074bf66446fe0f
効能・効果は「便秘症」です。
用法・用量は、成人では通常1回80mgを就寝前に経口投与し、高度の便秘では1回160〜240mgまでを頓用として投与可能とされています。
さらに、連用する場合は1回40〜80mgを毎食後に投与し、小児(6〜12歳)は1回40mgを就寝前に投与します。
ここで医療者として押さえたいのは、「頓用(就寝前)」と「連用(毎食後)」が添付情報上で分けて提示されている点で、患者の便秘タイプ(周期性か、常態化か)に合わせて“狙うタイミング”が設計されていることです。
現場では“効き目が弱い”訴えが起きやすい一方で、刺激性下剤は用量を上げるほど腹痛・下痢のリスクも上がります。
したがって、効果評価は「出た/出ない」だけでなく、便性(ブリストル)、排便時痛、残便感、夜間症状、翌日の生活影響まで含めて行い、患者が求めるゴール(毎日出す、腹痛なく出す、失禁しない等)を言語化してすり合わせると、同じ“効き目”でも納得度が上がります(指導の工夫として有用)。
主な副作用・毒性として、腹痛、悪心・嘔吐、腹鳴などが挙げられています。
患者説明では「お腹が痛くなることがある」という一言で終わりがちですが、刺激性下剤の腹痛は“腸管の収縮”に由来する体感であるため、痛みの性状(差し込む・波がある・冷汗を伴う等)を具体的に確認し、強い場合は無理に継続させない判断につなげます。
また、安全性に関する情報として、尿が黄褐色または赤色を呈することがある点が明記されています。
この「着色尿」は患者が血尿と誤解しやすいので、事前にひとこと添えるだけで不要な受診・不安を減らせます(ただし、肉眼的血尿の鑑別が必要な症状があれば当然別ルートで評価します)。
さらに、長期連用で耐性形成のため効果が減弱することが示されています。
“効き目が落ちてきたから増量”という行動パターンが形成されると、結果として下痢→脱水・電解質異常へ進むリスクが高まるため、便秘治療の軸を「生活・原因薬・便性調整・必要最小限の刺激」に戻す介入が重要です。
ヨーデルS糖衣錠-80の基本は、成人1回80mgを就寝前に投与する設計です。
就寝前投与は、日中の突発便意を避けたい患者(勤務・通学・介護など)にとって合理的ですが、夜間の腹痛や睡眠障害につながるケースもあるため、初回は翌日が比較的調整しやすいタイミング(休日など)を提案するのが現実的です(患者安全とアドヒアランスの両立)。
一方、連用時は毎食後(1回40〜80mg)という選択肢が提示されています。
ここは“常に刺激を入れる”発想になりやすいので、医療者側で「連用の目的(排便リズムの立て直しなのか、原因薬が避けられず補助が必要なのか)」を明確にし、一定期間で再評価する枠組みを持つと、耐性形成や依存的使用を避けやすくなります。
なお、吸収は「わずか」「多少吸収される」程度で、尿中排泄は5%以下という情報が提示されています。
ここから、全身性の作用よりも腸管内での作用設計が中心であることが読み取れる一方、下痢による体液変動は全身状態に直結するため、高齢者・腎機能低下・利尿薬併用など“脱水に弱い患者”では特に慎重なモニタリングが必要です。
検索上位の解説は「効果・副作用・用法」に集約されがちですが、医療従事者が現場で差を出しやすいのは、患者の“効き目体験”を設計し直す説明です。たとえば、ヨーデルSは長期連用で耐性形成により効果が減弱しうるため、「効かなくなった=便秘が悪化した」ではなく「刺激に慣れた可能性」を患者と共有できます。
この共有ができると、患者の行動は「増量」ではなく「いったん頻度を見直す」「便の材料(食事・水分)を増やす」「原因薬を棚卸しする」「便が硬いなら別軸を検討する」に向きやすくなります(治療の軌道修正)。
また、尿の着色(黄褐色または赤色)を“先回り”して伝えるだけでも、患者の不安が減り、服薬中断や自己判断の増量を防ぐ一手になります。
患者説明で使える、短い例文を置いておきます。
参考:効能・効果、用法・用量、成分含量などの公的な薬剤基本情報
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00006159
参考:作用機序(腸内細菌で活性化)、安全性情報(着色尿、耐性形成による効果減弱)など臨床での注意点
https://www.shirasagi-hp.or.jp/goda/fmly/pdf/files/921.pdf