病気dmとして医療現場で使われる糖尿病(Diabetes Mellitus: DM)は、インスリンの作用不足により血糖値が慢性的に高くなる代謝性疾患です。世界的に患者数が増加しており、2019年時点で4億6,300万人が罹患し、2045年までに51%の増加が予測されています。
糖尿病は単一の疾患ではなく、様々な病因による疾患群として分類されます。主な病型は以下の通りです:
日本では糖尿病患者の約90-95%が2型糖尿病に分類されます。
糖尿病の診断は複数のアプローチがあり、空腹時血糖値(FPG)、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、HbA1c値などが用いられます。
典型的な症状は以下の通りです。
症状の程度は血糖値の高さや病期により異なり、2型糖尿病では無症状の期間が長く続くことが特徴的です。
診断基準(いずれか1つでも該当すれば糖尿病と診断)。
糖尿病治療の目標は血糖コントロールの改善と合併症の予防です。治療アプローチは病型と病期に応じて選択されます。
1型糖尿病の治療。
2型糖尿病の治療。
薬物療法の選択肢。
治療選択においては患者の年齢、腎機能、心血管疾患の有無、低血糖リスクなどを総合的に評価し、個別化された治療方針を決定することが重要です。
糖尿病の合併症は細小血管症と大血管症に大別され、適切な血糖管理により予防・進行抑制が可能です。
細小血管合併症。
大血管合併症。
合併症管理のポイント。
糖尿病の管理には医療従事者による包括的な生活指導が不可欠です。
食事療法のポイント。
運動療法の指針。
日常生活での注意点。
フットケアの重要性。
糖尿病患者では神経障害と血流障害により足病変のリスクが高まります。毎日の足の観察、適切な爪切り、清潔の保持、適切な履物の選択が重要です。
糖尿病治療は近年大きく進歩しており、個別化医療の概念が重要視されています。
最新の治療技術。
エピジェネティクス的視点。
最近の研究では、circRNA(環状RNA)が糖尿病の病態に重要な役割を果たすことが明らかになっています。これらのエピジェネティックな調節機構の解明は、新たな診断マーカーや治療標的の発見につながる可能性があります。
意外な関連疾患。
糖尿病は認知症のリスクを約2倍高めることが知られており、血糖管理は脳の健康維持にも重要です。また、糖尿病性網膜症における網膜の抵抗性機序の研究では、ミトコンドリアベースの防御機構が注目されており、この知見は新たな治療戦略につながる可能性があります。
Disease Management(DM)の概念。
興味深いことに、糖尿病の略語「DM」は、医療経済学分野の「Disease Management」とも重なります。この概念は特定疾患の患者集団に対する包括的な管理アプローチを指し、糖尿病治療における多職種連携やチーム医療の重要性と合致しています。
医療従事者は最新のエビデンスに基づいた治療を提供しながら、患者個別の状況に応じた柔軟なアプローチが求められます。特に、従来の血糖管理だけでなく、患者のQOL向上と長期的な合併症予防を目指した包括的なケアが重要です。