インフュージョン カーボン医療機器における軽量化と高強度の実現

医療機器の軽量化・高強度化を可能にするインフュージョンカーボン製品。X線透過性や成形技術の特徴から、CT天板、義肢装具、車椅子への応用例まで詳しく解説します。どのように医療現場で活用されているのでしょうか?

インフュージョン カーボンの特徴

インフュージョンカーボンの主な特徴
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真空含浸による高品質成形

VaRTM工法により樹脂含有量を最適化し、軽量で高強度な製品を実現

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X線透過性に優れた医療応用

金属と比較して高いX線透過性により被ばく量を軽減

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医療機器の負担軽減

軽量化により医療従事者と患者双方の身体的負担を削減

インフュージョン成形の基本原理と工法

 

 

 

インフュージョン成形は、VaRTM(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)工法とも呼ばれる真空含浸技術です。この工法では、下型(メス型)のみを使用し、上型の代わりにバギングフィルムで密閉する特徴があります。カーボン繊維を型にセットした後、真空ポンプで減圧することにより大気圧の100kPaで繊維を型に押し付け、その状態で樹脂を吸い込ませて含浸させます。

 

参考)ドライ?ウェット?インフュージョン?それぞれのカーボン製品の…

成形プロセスでは、離型剤、ピールプライ、ネットブリーダー、バックフィルム、スパイラルネット、シールテープなど多数の副資材を使用します。真空引きにより繊維と型の間に隙間がない状態を作り出し、そこにエポキシ樹脂を流し込むことで均一な含浸が可能となります。樹脂の流し込み前には脱泡作業を行い、カーボン内部への均等な樹脂浸透を確保します。

 

参考)カーボンアイテムのインフュージョン成形って?CF Labの工…

この工法の大きな特徴は、真空状態で樹脂を吸引するため必要以上に樹脂が入らず、樹脂の含有量をハンドレイアップよりも少なく抑えられることです。繊維の密度が向上するため、強度と軽さの両方が従来製品より格段に向上し、ドライカーボンに近いクオリティが得られます。

 

参考)カーボン 板 製作 インフュージョン成型 ワンオフいたします

インフュージョン カーボンの物性と重量比

インフュージョンカーボン製品の重量比は1.3~1.5となり、ドライカーボンの1.4~1.6と同等レベルの軽量性を実現しています。引張強度についてもドライカーボンと同等の性能を持ち、積層条件やハニカム材の使用有無によって特性を調整できます。​
樹脂含有量が適切に管理されることで、繊維体積率が向上し高強度の成形品が得られます。従来のウェットカーボンと異なり、型に繊維を押し付けることができるため、表面がうっすらと白く濁ることがなく、ドライカーボンのような黒々とした表情を実現できます。

 

参考)Infusion Molding/インフュージョン成形

成形時の温度管理も重要で、エポキシメーカーが定める管理温度を保ちながら含浸・保温・加熱(アフターキュア)を行うことで、最適な硬化状態を得ることができます。このプロセス管理により、医療機器に求められる高い品質基準を満たす製品が製造可能となります。

 

参考)医療分野のCFRP製品実績|スーパーレジン工業株式会社

インフュージョン カーボン医療機器におけるX線透過性の優位性

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の最大の特徴の一つが、金属材料と比較して高いX線透過性です。この特性により、少ないX線照射量で鮮明な画像が撮影でき、患者の被ばく量を大幅に軽減できます。

 

参考)炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用途例【医療分野】

医療用途では、レントゲン撮像装置、CT天板、マンモグラフィー固定テーブルなどにこの特性が活かされています。特にCT天板では、透過範囲に金属片等の異物がないことが求められ、X線を遮ることなく正確な診断が可能になります。

 

参考)医療

治療計画用CT天板では、患者が寝台に載った際のたわみも診断精度に影響するため、高剛性設計が重要です。CFRPは軽量でありながら高剛性という特性を持つため、荷重時のたわみを抑制し、正確な診断に貢献します。X線透過性と高剛性を両立できることが、CFRP製医療機器の大きなアドバンテージとなっています。

 

参考)治療計画用CTカーボン天板・MRI用フラットマット

インフュージョン カーボン成形のメリットとデメリット

インフュージョン成形の主なメリットは、低コストで機械成形を始められることです。オートクレーブ成形と異なり高額な設備投資が不要で、上型も必要ないため型製作費用を大幅に抑えられます。真空機械さえあれば場所を選ばず施工可能で、小規模な製品でも型さえ作れば製作できます。

 

参考)インフュージョン(VaRTM)成形 積水化成品ヤマキュウ

品質面では、型なじみの悪いカーボンクロスでも浮き上がりすることなく、真空状態で樹脂を吸い込ませるため基本的に気泡が残りません。樹脂の含浸量を適量に抑えることで、軽量で丈夫な成形品に仕上がります。ポリエステル、エポキシなど一般樹脂での施工も可能です。

 

参考)https://www.crazy-shift.com/vartm.html

一方デメリットとしては、バギングフィルムなど使い捨て品のゴミが多く出ることが挙げられます。成形時にしっかり真空状態を維持していないと、空気が漏れて施工が失敗する可能性もあります。また、製品形状が複雑すぎる場合は製作が困難となる制約もあります。アンダーカット製品の成形は可能ですが、複雑な三次元形状には限界があります。

 

参考)レジンインフュージョンと、オートクレーブ成形の違いとメリット…

インフュージョン カーボンの医療分野への応用事例

医療分野でのCFRP応用は多岐にわたり、X線用天板(CT、カセッテ)、歯科用ヘッドレスト、手術用器具などに使用されています。X線透過性の高さにより、器具がX線を遮ることなく手術を行うことができ、人体への被ばく量も軽減できます。​
義肢・装具分野では、必要な剛性を維持しながら軽量化することで、使用者が扱いやすく身体への負担も軽減できます。設計の自由度が高く、個人の体形や活動量に合わせた設計が可能です。脊髄損傷者用長下肢装具C-FREXの開発事例では、CFRPの特徴を活かし外部動力を用いずに歩行を実現しています。

 

参考)CFRP専業メーカーから見るカーボン装具について

車椅子のフレームや駆動輪を軽量化することで、利用者本人や介助者が扱いやすくなり、身体への負担を軽減できます。スポーツ用途では高剛性を活かし、スピード要求に応えるとともに操作性の向上を目指すことができます。携帯用スロープも必要な剛性を維持しながら軽量化でき、持ち運びやすく取り扱いが容易になります。​
東レ・カーボンマジックの医療分野でのCFRP活用事例:X線透過性を活かした撮像装置への応用
スーパーレジン工業の医療分野CFRP製品実績:クリーンルーム環境での高品質製造
CFRP専業メーカーによるカーボン装具開発:C-FREX脊髄損傷者用長下肢装具の技術詳細

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