自家製剤加算半錠と算定要件と留意事項

自家製剤加算半錠は「同一剤形・同一規格」の有無で可否が分かれ、記載要件も重要です。点数や禁止同時算定、OD錠の扱いまで現場で迷いがちな論点を整理できていますか?

自家製剤加算半錠

自家製剤加算半錠:算定判断を迷わせるポイント
結論は「同一剤形・同一規格」

半錠は“割った後の規格”と同じ剤形・同じ規格が薬価収載されていると算定不可、なければ算定の余地があります。

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記録が算定の土台

自家製剤を行った場合は、賦形剤の名称・分量を含む工程の記載が求められます(調剤録等)。

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同時算定NGの落とし穴

自家製剤加算を算定した場合、計量混合調剤加算は算定できません。関連加算との排他関係を事前に確認します。

自家製剤加算半錠の算定要件と同一剤形同一規格

自家製剤加算は「市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合」を評価する位置づけで、単なる小分けは該当しません。
通知上、具体例として「錠剤を粉砕して散剤とする」「主薬を溶解して点眼剤を無菌に製する」「主薬に基剤を加えて坐剤とする」などが示されています。
半錠は「割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は錠剤として算定」できる扱いですが、ここで重要なのが“ただし書き”です。
分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できません。
つまり、現場で迷うときは「半錠という行為そのもの」よりも、「分割後と同一規格の薬価収載品があるか」を先に確認すると判断が速くなります。
実務上のチェック観点を、通知の言葉に寄せて整理します。


  • 処方箋に半錠指示がある(医師の指示が前提)。

    参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf

  • 分割後の規格と“同一規格”の薬価収載品がない(あると算定不可)。​
  • そもそも自家製剤は「医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行う」点も押さえます。​

なお、剤形の判断は「同一剤形・同一規格」の考え方が軸で、同一成分の別剤形があるから必ずしも自動的に不可、という単純ルールではありません(半錠は特に“同一規格”の有無が効きます)。

このため、疑義が出やすい薬(OD錠、分散錠、剤形違いの存在、後発の規格展開)ほど、薬価基準の収載状況と“同一規格”の一致を最優先で照合する運用が安全です。

自家製剤加算半錠の留意事項と調剤録記載

半錠は見た目が単純な作業に見える一方、算定要件の根拠は「自家製剤としての技術工夫」と「品質確保」に置かれています。
そのため、算定の可否以前に“記載できる状態で運用しているか”が重要になります。
通知では、自家製剤を行った場合「賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を調剤録等に記載すること」と明記されています。

半錠それ自体は賦形剤を追加しないことも多いですが、少なくとも「医師の指示に基づき分割した」事実と、品質上の配慮(均等性、破損、ロス、保管性、鑑査の観点)を、監査・説明可能な形で残す運用に寄せると整合しやすいです。

また、自家製剤は「医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行う」とされているため、徐放性・腸溶性など“分割が危険な製剤”に該当しないかの確認を手順に組み込み、疑わしい場合は疑義照会に繋げる動線を作っておくと記録にも説得力が出ます。

実務で差が出るのは、監査者が見たいのが「作業をした」ではなく「なぜその方法でよいのか」の部分だという点です。


  • 分割の根拠:処方箋の指示、医師確認の有無。​
  • 規格確認:同一規格の薬価収載品の有無、代替可能性の検討。​
  • 品質配慮:分割後の破損・粉化、患者の服用しやすさ、保管指導。​

この“説明可能性”が高いほど、算定の妥当性だけでなく、患者対応(なぜ半錠なのか、なぜ変更提案するのか)も一貫します。

自家製剤加算半錠とOD錠の取扱い(意外に誤解される点)

半錠の論点で意外に誤解が残りやすいのが、OD錠(口腔内崩壊錠)が存在する場合の扱いです。
「半錠したものと同一有効成分・同一含量のOD錠が薬価収載されている」ケースで、半錠の自家製剤加算がどうなるかは、地域の過去運用で“不可”と理解していた人もいます。
しかし、青森県薬剤師会の資料では、医療課への照会結果として「A錠2.5mgは薬価収載されていないが、A錠2.5mgOD錠は薬価収載」「A錠5mgを半割し2.5mg錠を自家製剤した場合」について、回答は「算定可能」と整理されています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911825.pdf

この整理は、半錠の可否を“同一有効成分・同一含量があるか”だけで単純化せず、通知のキーワードである「同一剤形及び同一規格」を丁寧に踏むことが重要だと示唆します。


現場では次のような“判断の順番”にするとブレが減ります。


  • ① 分割後と同一規格の「同一剤形」が薬価収載されているか(ここが最優先)。​
  • ② 代替の提案が臨床的に妥当か(嚥下、アドヒアランス、患者の取り扱い)。​
  • ③ 必要なら処方医へ情報提供(服薬状況や服薬継続性の観点も含めて)。​

OD錠があると、患者にとってはむしろ服用しやすい場合もあるため、算定可否と並行して「患者の利益としてどちらが良いか」を別軸で検討し、疑義照会や提案に繋げると、薬局の対人価値が出ます。


OD錠に関する根拠を押さえたい場合(照会事例の要点)。
OD錠が薬価収載でも、普通錠を半錠にして自家製剤加算が算定可能となる整理(医療課照会の回答)。


青森県薬剤師会:自家製加算の取扱いについて(OD錠がある場合の算定可否)

自家製剤加算半錠と点数算定の実務(投薬日数の考え方)

自家製剤加算は、ケースによって「1調剤行為に対して算定」か、「投与日数に応じて算定」かが分かれます。
通知では、原則として「イの(1)に掲げる場合以外は投薬量・投薬日数に関係なく、自家製剤による1調剤行為に対し算定」としつつ、錠剤等の内服薬を自家製剤の上調剤した場合は「自家製剤を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに所定点数を算定」とされています。
半錠は「割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は錠剤として算定」と明記されているため、日数の考え方を含めて“錠剤としての扱い”を踏むのが基本線になります。
ここで重要なのは、算定ロジックを「半錠だから特別」と捉えるのではなく、「錠剤を自家製剤(分割)した」という整理に乗せることです。

  • 投与日数が長い処方で、同一患者・同一薬剤が反復する場合ほど、日数カウントの誤りが監査リスクになります。​
  • “投与日数に応じた区切り”がある算定は、レセプト摘要と薬歴・調剤録の整合が問われやすいので、算定の根拠(分割の事実・対象日数)を固定のテンプレ文で残す運用が有効です。​

また、時間外加算等の基礎額に「自家製剤加算は含まれない」と通知に明確化されているため、受付時間帯の運用(時間外/夜間・休日等加算との関係)も含め、点数の積み上げをルール化しておくと、調剤事務・薬剤師間の齟齬が減ります。

点数表関連の一次資料で、定義と留意事項(自家製剤加算、半錠の扱い、記載要件、時間外加算の基礎額の考え方)を確認したい場合。
算定要件の定義、半錠の扱い、記載要件、時間外加算等の基礎額に含めない加算の範囲。


厚生労働省:調剤報酬点数表に関する事項(自家製剤加算の留意事項)

自家製剤加算半錠の独自視点:患者説明と分割品質(均等性・ロス)を「対人業務」に変える

半錠の現場トラブルは、算定の可否よりも「患者が家で半分にできない」「粉が出る」「どっちが先か分からない」「湿気で崩れる」「PTPから出したら管理できない」といった服薬行動の失敗から起きやすいです。
ここを薬局側の“作業”で終わらせず、対人支援として設計すると、結果的に疑義照会や処方提案の質が上がり、監査対応の説明も強くなります(自家製剤は品質確保が前提という通則とも整合します)。
具体的には、次の観点を薬歴の定型項目にしておくと、半錠が「ただ割った」から「継続服用できる形に整えた」へ変わります。


  • 🧠 服用順の誤り防止:半分ずつの取り違えが起きる患者には、薬袋の記載(例:朝は半錠、夕は半錠など)を具体化し、家族支援の有無も確認する。
  • ✂️ 分割の再現性:患者が自宅で分割する運用か、薬局で分割する運用かを統一し、患者が自宅分割できない場合は処方医へ規格変更や剤形変更の提案を検討する。​
  • 📦 保管性:PTPから出すと劣化しやすい薬があるため、分割後の保管(遮光・防湿、薬袋の使い方)を短い説明文で必ず伝える。
  • 🔁 供給不安・規格欠品時:供給不足時に在庫薬で調製した場合も自家製剤加算の対象になり得る方向で見直しが進んでいるため、欠品時は代替の妥当性を“記録できる形”で残す(薬局内の判断の透明性を上げる)。

この独自視点のポイントは、「半錠=算定」ではなく「半錠=服薬継続の設計」に置くことです。


通知が求める“薬学的に問題ない判断”や“品質確保”を、患者の服薬行動の観点で言語化できると、算定の正確さだけでなく、薬局の価値(減薬提案、残薬削減、アドヒアランス向上)にも繋がります。

このセクションの実装例(薬歴テンプレの一文例)
「半錠指示あり。分割後同一規格の同一剤形の薬価収載なし確認。分割後の粉化/破損の有無と保管方法を説明し、患者の自宅分割困難の有無を確認。必要時は処方医へ規格・剤形の提案を検討。」​