あなた6時間超でも適応で予後改善します
血栓回収療法は長らく「発症6時間以内」が適応の中心でした。これは2015年前後の主要RCT(MR CLEANなど)で有効性が証明された時間枠です。つまり6時間以内に再開通すれば、mRS 0–2の割合が約30〜40%まで改善したというデータが背景にあります。
結論は時間依存です。
ただし、この基準は「時間=脳損傷進行」という単純モデルに基づいています。しかし実臨床では側副血行の個人差が大きく、同じ6時間でも虚血コアの広がりは大きく異なります。例えば同じM1閉塞でも、ある患者は2時間で広範梗塞、別の患者は10時間でもペナンブラが残存します。
ここが重要です。
このため、時間のみで機械的に除外すると、本来救えた症例を失う可能性があります。特に夜間発症(wake-up stroke)はこの問題を顕在化させました。
つまり限界があります。
転機となったのがDAWN試験とDEFUSE3試験です。これにより適応時間は最大24時間まで拡張されました。DAWN試験では発症6〜24時間でも、コアと臨床症状のミスマッチがあれば有効とされ、良好転帰が49%と対照群の13%を大きく上回りました。
結論は延長可能です。
DEFUSE3では6〜16時間で、虚血コアが70mL未満かつペナンブラが十分残る症例が対象でした。この試験でも機能予後の改善が明確に示されています。
つまり画像選択です。
この結果、「時間ではなく組織(tissue window)」という概念が主流になりました。時間超過でも適応となるのは、ペナンブラが残存している場合です。
ここが分岐点です。
現在の適応判断では画像評価が不可欠です。主に以下が使われます。
・CTP(灌流CT)
・DWI/FLAIR mismatch(MRI)
・ASPECTSスコア
ASPECTSは10点満点で、6点以上が一つの目安とされます。例えばASPECTS 5以下では広範な虚血が示唆され、出血リスクが高まります。
ASPECTSが基準です。
CTPでは虚血コア(CBF低下)とペナンブラ(Tmax延長)を定量評価します。例えばコア30mL、ミスマッチ比1.8以上などが選択基準です。
ここが核心です。
MRIではDWI陽性かつFLAIR陰性なら発症4.5時間以内と推定でき、時間不明症例でも適応判断が可能です。
意外なポイントです。
参考:DAWN・DEFUSE3試験の解説と適応基準
https://www.jsts.gr.jp/journal/pdf/060030129.pdf
時間が経過した症例では当然リスクも増加します。特に症候性頭蓋内出血(sICH)は約6〜8%程度で、時間延長群ではやや上昇傾向があります。
ここは注意点です。
一方で、適切に選択された症例では利益がリスクを上回ります。例えばDAWN試験ではNNTは約2.8と非常に低く、3人治療すれば1人が自立回復する計算です。
かなり大きい効果です。
「時間超過=禁忌」と考えてしまうと、この利益を取り逃がします。特に搬送遅延や院内遅延がある施設では致命的です。
これは損失です。
搬送遅延リスクへの対策として、救急隊との連携強化を狙い、脳卒中疑い時にLVOスケール(FAST-EDなど)を現場で確認する運用を1つ導入するだけでも改善します。
連携が鍵です。
あまり語られませんが、施設ごとの判断バイアスも大きな問題です。特に「時間超過=紹介しない」という思い込みは依然として残っています。
見落としです。
実際、地方では発症から搬送まで平均8時間以上かかるケースも珍しくありません。この場合、時間基準だけで除外すると対象患者の半数以上を失う可能性があります。
かなり深刻です。
また、若年患者ほど側副血行が発達しており、遅延でも救える割合が高い傾向があります。つまり年齢や背景も含めた総合判断が必要です。
柔軟性が必要です。
このバイアスを減らすには、「時間ではなく画像」という共通認識をチーム全体で持つことが重要です。1つの判断軸に統一するだけで、適応判断のブレは大きく減少します。
ここが改善点です。