コントミン(クロルプロマジン)の重大な副作用として、まず悪性症候群(Syndrome malin)が挙げられます。この症状は発熱、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗などが特徴的で、白血球増加や血清CK(CPK)の上昇を伴うことが多いです。
突然死と心室頻拍も重篤な副作用として報告されており、特にQT間隔の延長、T波の平低化や逆転、二峰性T波ないしU波の出現などの心電図異常が前兆となることがあります。これらの症状は大量投与例により多く見られるとの報告があります。
血液系の重篤な副作用として、再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、白血球減少が報告されています。これらは定期的な血液検査による早期発見が重要です。
麻痺性イレウスは消化器系の重要な副作用で、腸管麻痺による食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満などが見られます。注意すべき点として、コントミンの制吐作用により悪心・嘔吐が不顕性化する可能性があることです。
錐体外路症状はコントミンの代表的な副作用で、精神神経科領域での発症頻度は40%と高い数値を示しています。主な症状として、パーキンソン症候群(手指振戦、筋強剛、流涎等)、ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動)、ジストニア(眼球上転、眼瞼痙攣、舌突出、痙性斜頸等)、アカシジア(静坐不能)があります。
特に重要なのは遅発性ジスキネジア(0.1~5%未満)と遅発性ジストニアで、長期投与により発現し、投与中止後も持続する可能性があります。これらの症状は不可逆的な場合があるため、定期的な神経学的評価が必要です。
錐体外路症状の管理では、症状の早期発見と適切な対処が重要です。軽度の症状であれば減量を検討し、重篤な場合は抗パーキンソン薬の併用や投与中止を行います。患者への十分な説明と理解も管理の重要な要素です。
内分泌系の副作用として、体重増加、女性化乳房、乳汁分泌、射精不能、月経異常、糖尿病などが報告されています。これらは患者のQOL(生活の質)に大きく影響する副作用です。
体重増加は特に注意が必要な副作用で、長期投与により顕著になる傾向があります。これは食欲亢進と代謝の変化によるもので、糖尿病発症のリスクも高まります。定期的な体重測定と血糖値モニタリングが必要です。
プロラクチン値の上昇による女性化乳房や乳汁分泌は、男女問わず発現する可能性があります。これらの症状は患者の心理的負担も大きいため、事前の説明と適切なカウンセリングが重要です。
性機能障害(射精不能、月経異常)についても、患者との十分なコミュニケーションを通じて対処方法を検討する必要があります。症状が重篤な場合は、薬剤の変更や減量を考慮します。
長期または大量投与により、角膜・水晶体の混濁、網膜・角膜の色素沈着といった眼障害が発現することがあります。これらの変化は不可逆的な場合があるため、定期的な眼科検査が推奨されます。
縮瞳、眼内圧亢進、視覚障害も報告されており、特に緑内障の既往がある患者では注意が必要です。視力の変化や眼の不快感を訴える患者には、速やかに眼科受診を勧めます。
皮膚の色素沈着も長期投与の特徴的な副作用です。主に露光部位に現れることが多く、日光曝露と関連があります。光線過敏症も報告されているため、患者には日光曝露を避けるよう指導することが重要です。
これらの副作用は投与中止後も完全には回復しない可能性があるため、治療開始前に患者に十分説明し、定期的な検査によるモニタリングを継続することが必要です。
コントミンの副作用には、他の抗精神病薬では見られにくい特徴的なパターンがあります。SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)は0.1%未満の頻度ですが、低ナトリウム血症、低浸透圧血症を引き起こし、痙攣や意識障害に至る可能性があります。
SLE様症状という免疫系の副作用も報告されており、関節痛、発疹、発熱などの症状が現れることがあります。これは他の抗精神病薬では稀な副作用として知られています。
横紋筋融解症も重要な副作用で、CK(CPK)上昇、血中・尿中ミオグロビン上昇を伴います。筋肉痛や脱力感を訴える患者では、この副作用を疑い、速やかに検査を実施することが必要です。
近年注目されているのは肺塞栓症、深部静脈血栓症のリスクです。不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態などの危険因子を持つ患者では特に注意が必要で、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫などの症状に注意深く観察することが求められます。
医療従事者としては、これらの副作用に対する包括的なアセスメント能力を持つことが重要です。患者の症状を総合的に評価し、副作用の早期発見と適切な対処により、安全な薬物治療を提供することが医療の質向上につながります。
コントミンの副作用管理において、定期的なバイタルサイン測定、血液検査、心電図検査、神経学的評価を組み合わせた多角的なモニタリングシステムの構築が、現代の医療現場では必要不可欠となっています。