ナラトリプタンの副作用として最も頻度が高いのが消化器系症状です。臨床試験では、1回目投与時23%(22/97例)、2回目投与時20%(6/30例)の副作用発現率が報告されており、主要症状は悪心と嘔吐でした。
消化器系副作用の特徴。
これらの症状は一般的に軽度から中等度で、自然軽快することがほとんどです。ただし、症状が持続する場合や重篤化する場合は、投与中止を検討する必要があります。
神経系副作用は、ナラトリプタンのセロトニン5-HT₁D/₁B受容体への作用により引き起こされます。
主な神経系副作用。
特に感覚異常については、四肢末端や顔面に現れることが多く、「トリプタン感覚」と呼ばれる特有の症状です。この症状は通常30分以内に自然軽快しますが、患者への事前説明が重要です。
眠気については、服用後4-6時間は自動車運転や危険な機械操作を避けるよう指導する必要があります。
心血管系副作用は、ナラトリプタンの血管収縮作用に関連して発現する可能性があります。
重要な心血管系副作用。
胸部圧迫感は、実際の心疾患ではなく食道や胸壁筋肉の収縮による症状であることが証明されています。しかし、真の心血管疾患との鑑別が困難な場合があるため、症状発現時は慎重な経過観察が必要です。
心血管リスクの高い患者では、初回投与時に医療機関での観察下投与を検討することが推奨されます。
薬物乱用頭痛(Medication Overuse Headache:MOH)は、ナラトリプタンを含むトリプタン系薬剤の重要な副作用の一つです。
薬物乱用頭痛の特徴。
MOH予防のための処方管理。
薬物乱用頭痛が疑われる場合は、段階的減薬または中断療法を検討し、必要に応じて予防薬の導入を行います。
適切な患者指導により、副作用による治療中断を防ぐことができます。
副作用別の対処法指導。
軽度副作用の場合
中等度以上の副作用
服薬指導のポイント
患者個々の副作用パターンを把握し、必要に応じて薬剤変更や投与タイミングの調整を行うことで、治療継続性を向上させることができます。
トリプタン系薬剤は5種類が利用可能であり、個人差により副作用の出現パターンが異なるため、患者に最適な薬剤選択が重要です。