処方箋をなくした場合、薬局は原本がないと原則として調剤できないため、まず発行元の医療機関に連絡して再交付の可否を確認します。処方箋には使用期間があり、一般に「交付日を含めて4日以内」が原則と説明されるため、紛失に気づいた日が期限内か期限切れかで対応が分岐します。
期限内であれば「処方箋の再発行(再交付)」で済むことがありますが、期限切れだと原則として再診が必要になり、結果的に“新たな処方箋を発行する”流れになりやすい点が現場の混乱ポイントです。
患者説明では、最初に「いつ受診した処方箋か」「薬局に一度でも提出したか」「薬はすでに受け取ったか」を確認すると、後の金額説明が一気に整理できます。
また、患者が「薬局に電話すればどうにかなる」と誤解しているケースが多いので、処方内容・期限・再交付の可否は最終的に医療機関判断になることを丁寧に伝えると、クレーム予防になります。
処方箋再発行が自費になりやすい背景として、再交付を保険で認めると「紛失した」と偽って繰り返し薬を得る不正を誘発しうるため、厚生労働省の通達により再発行の費用は全額自己負担とする運用が示されている、という説明が一般的です。
このため、再発行に伴う再診料・処方箋発行に関する手数料が「原則として保険適用にならない」と案内されることが多く、患者側の納得形成が必要になります。
医療従事者向けに言い換えると、「同じ処方内容でも、患者都合の再交付は保険診療としての請求根拠が弱くなる」ため、窓口では自費扱いになりやすい、という整理がしっくり来ます。
ここで大事なのは、“自費=高額”と決めつけないことです。医療機関ごとに設定が異なるため、患者には「金額は医療機関で異なるので、再交付の可否と併せて窓口で確認してください」と案内するのが安全です。
患者が「処方箋だけ」を紛失して、まだ薬局で薬を受け取っていない場合、医療機関側の再交付費用は自費になっても、薬局での調剤・薬剤費は保険適用となる説明が複数の実務記事で示されています。
一方で、薬局で薬を受け取った後に薬そのものを紛失した場合は、再処方や再交付だけでなく、薬局での薬剤費も自費(10割)になる運用が案内されることがあります(「薬を紛失」と「処方箋を紛失」を混同しないのがポイントです)。
患者は「紙がないだけ」なのか「薬がない」なのかで負担が大きく変わるため、受付・薬局ともにヒアリング項目を定型化すると説明ブレが減ります。
例として、電話口での確認テンプレは次の3つだけでも効果があります。
- 受診日(処方箋の交付日)
- 薬局に提出したか/薬を受け取ったか
- 何を紛失したか(処方箋だけ・薬だけ・両方)
実務上の流れは、まず患者が医療機関へ連絡し、氏名・生年月日・受診日・紛失の経緯を伝えて再交付できるか確認する、という順序になります。
期限内で再交付が可能な場合でも、医療機関の運用によっては本人確認や来院が必要になることがあるため、「電話だけで即日発行」と約束しないのが安全です。
期限切れの場合は再診予約を取り、医師が症状変化の有無を確認したうえで新たな処方箋を発行する流れが基本になり、再診時に処方内容が変わる可能性も患者へ事前に伝えるとトラブルを避けられます。
薬局側では、患者が処方箋を“画像送信”していても、原本の取り扱い(期限内に原本持参が必要等)は薬局運用に依存しうるため、医療機関としては「最終的に薬局へ原本提出が必要な場合がある」点を一言添えると親切です。
同じ「処方箋再発行 自費」でも、患者の怒りポイントは“金額”より“説明の不一致”に寄ることが多いので、医療機関と薬局で使う言い回しを寄せるだけで揉め事が減ります。たとえば「再発行できますか?」と聞かれたら、すぐ可否を断言せず「期限内か確認します」「薬は受け取り済みですか?」を先に挟むと、後から自費説明になっても納得されやすくなります。
現場で使える短い説明例を置いておきます。
- 「処方箋は原本が必要なので、まず発行した医療機関に確認が必要です」
- 「処方箋だけの紛失か、薬の紛失かで、薬局での負担が変わる場合があります」
- 「期限(交付日を含め4日)が切れると、同じ処方が出せないことがあります」
また、患者都合の再交付が自費になる理由は“不正防止”と説明されることが多いので、「制度上そう決まっている」より「不正な二重受け取りを防ぐためのルール」と目的を添えたほうが角が立ちにくいです。
最後に、再発行が必要になった患者は、次回も同じことを起こしやすい(忙しい、認知機能低下、書類管理が苦手等)ため、「受診後すぐ薬局へ」「置き場所を固定」「電子処方箋対応の医療機関の活用」など、再発防止の提案まで踏み込むと医療者としての価値が出ます。
厚労省通達(再交付・使用期間と費用負担の考え方)の根拠確認に。
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/bu_ka/shido_kansa/kikan_tsuchi/documents/22093002.pdf