小児薬用量覚え方と換算式体重一覧表

小児薬用量は「mg/kg」「換算式」「最大用量」の3点を押さえると、安全性とスピードが両立します。Young式・Clark式・Augsberger式・von Harnack換算表をどう覚えて現場で迷いを減らすか、あなたの手順は固まっていますか?

小児薬用量覚え方

小児薬用量を「覚える」より「迷わない」型にする
🧠
暗記の中心は式ではなく確認手順

換算式は補助輪。実務では「体重→mg/kg→1日量→分割→製剤量→上限→成人量超えない」の順に固定するとミスが減ります。

⚖️
体表面積の考え方を一度だけ理解

体表面積を基準にした換算は比較的有用とされ、Augsberger II式や換算表が体表面積法に近いと言われます。

🧾
「%製剤→mg」変換で詰まらない

細粒/DS/シロップの%表示は、mg/g・mg/mLへ即変換できると調剤が速くなります。

小児薬用量覚え方:換算式(Young式・Clark式・Augsberger式)を最小限で覚える

小児用量の「覚え方」で最初に決めたいのは、換算式を“主役”にしないことです。臨床では本来、添付文書・ガイドライン・施設プロトコルの小児用量(mg/kg、mg/kg/day)が優先で、換算式は「小児用量の記載が乏しい」「成人量しかなく目安がほしい」など限定場面の補助として扱う方が安全です(※換算式は簡便な推算であり、薬物ごとの小児薬物動態を反映しないことがあるため)。
それでも当直・休日などで“瞬時の目安”が必要になる現場はあります。そこで換算式は、以下の3つだけを「使う頻度順」ではなく「間違えにくい順」に覚えるのがコツです。換算式の代表例として、Young式・Clark式・Augsberger式が整理されています。


【最小限セット:覚える順番】

  • ①Augsberger-Ⅱ式(年齢):(年齢×4+20)/100×成人量(1歳以上の小児に適用とされる整理が多い)

    参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1839353/

  • ②Young式(年齢):年齢/(年齢+12)×成人量(2歳以上に適用とされる整理が多い)​
  • ③Clark式(体重):体重(kg)/68×成人量(※原法はポンド計算のため注意、kg/68は簡便化された見かけ式として一覧表に掲載される)​

ここでの“覚え方”は、式そのものの暗記ではなく「使い分け条件」を一緒に暗記することです。つまり、年齢でやるならYoungかAugsberger、体重でやるならClark(ただし単位の罠あり)という棚卸しにしておくと、忙しい場面で取り違えにくくなります。


さらに意外と見落とされるのが、「体表面積(BSA)ベースが比較的有用」という位置づけです。体表面積は血液量を反映すると言われ、体表面積を基準にした計算が比較的有用と説明されています。


この背景理解があると、「なぜAugsberger II式や換算表がよく出てくるのか」が腹落ちし、丸暗記のストレスが減ります。


小児薬用量覚え方:体重換算と一覧表(von Harnack換算表)で即答する

次に、現場で最も強いのは「体重換算の型」を作ることです。体重が分かるなら、換算式よりも mg/kg(または mg/kg/day)で処方意図を確認し、製剤量へ落とすのが王道です。
ただし、救急外来や問い合わせ対応では「体重が曖昧」「年齢しか分からない」ことが起こります。そんなときの“即答用”として、von Harnack換算表は強力です。代表的な比率として、未熟児1/10、新生児1/8、6ヶ月1/5、1歳1/4、3歳1/3、7.5歳1/2、12歳2/3、成人1という整理が示されています。

【覚え方(語呂ではなく形で覚える)】

  • 1歳は1/4、3歳は1/3:数字の形が近くて記憶しやすい。
  • 7.5歳で1/2:学童期の“だいたい半分”が視覚で残る。
  • 12歳で2/3:思春期手前で成人に近づく階段として覚える。

ここでの注意点は、換算表はあくまで成人量からの比率であり、薬剤ごとの最大用量・禁忌・適応年齢を代替できないことです。実務では「比率で出した量」と「添付文書にある小児最大用量(mg/kg/day等)」を突き合わせ、どちらか低い方に寄せる、という安全側ルールが必要になります(施設内規での取り扱いを確認してください)。


【ちょっと意外な盲点】
体重換算を“正しく”やっても、処方監査でミスが出るのは「分割」「剤形」「測り方」です。つまり、1日量を正しく出しても、分3→1回量、細粒%→g/回、シロップ濃度→mL/回の変換で破綻します。そこで次のH3が重要になります。


小児薬用量覚え方:mg/kgと%(mg/g・mg/mL)を一瞬で変換する

小児は体重当たり用量(mg/kg)が基本なので、最後に必ず「製剤量」に直す作業が残ります。ここを苦手にすると、換算式をいくら覚えても実務スピードは上がりません。
一覧表では、%からmg/g・mg/mLへの早見が示されています(例:0.1%=1mg/g・1mg/mL、1%=10mg/g・10mg/mL、10%=100mg/g・100mg/mL)。

これを覚えておくと、細粒10%(100mg/g)なら「必要mg ÷ 100 = g」という一本道になります。

【変換の型(この順で固定)】

  • ①医師オーダーの軸を確認:mg/kg/回か、mg/kg/dayか。
  • ②体重を掛けて“力価”へ:必要mg(回)または必要mg(1日)。
  • ③分割(分2・分3など)で1回量へ。
  • ④製剤の表示を mg/g(散・細粒・DS)または mg/mL(シロップ)へ置換。​
  • ⑤必要mg ÷(mg/g or mg/mL)=投与量(g or mL)。

【例(計算の見本:細粒10%)】

  • 体重12kg、用量10mg/kg/day、分2、細粒10%(100mg/g)と仮定。
  • 1日必要量=10×12=120mg/day。
  • 1回必要量=120/2=60mg/回。
  • 製剤量=60mg ÷ 100mg/g=0.6g/回。

この型に慣れると、「小児薬用量の覚え方」が暗記から作業手順に変わり、監査・疑義照会の説明も一貫します。さらに、%表示の早見は小児以外(成人の散剤・シロップ)でも汎用できるので、覚えた労力が無駄になりません。

小児薬用量覚え方:最大用量と年齢区分(新生児・乳児・幼児)で事故を防ぐ

小児用量で最も怖いのは「計算は合っているのに過量」になるパターンです。特に、体重が大きい小児(高学年)では、mg/kgで計算すると成人量を超える場合があり得ます。小児薬物動態の一般論でも、計算した小児用量が成人用量を通常超えないよう注意する趣旨が指摘されています。
また、年齢区分を“なんとなく”で扱うと、禁忌・適応年齢や投与間隔の判断で躓きます。小児の定義や区分は文脈により異なり得るものの、目安として新生児(出生後4週未満)などの区分を併記する考え方が示されています。


この区分の理解は、「同じ体重でも新生児は腎機能・肝機能が未熟で投与間隔が違う」など、体重換算だけでは救えないポイントに直結します(薬剤ごとの添付文書やプロトコル確認が必須)。


【監査の“赤信号”チェック(覚え方)】

  • 🚩 体重が古い:外来処方では体重が処方箋に書かれないことが多く、薬局側で確認が必要になり得る、という問題提起があります。

    参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10547047/

  • 🚩 体重が重い(肥満含む):mg/kgがそのまま妥当とは限らず、肥満小児の用量設定が課題になることが論じられています。

    参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11472402/

  • 🚩 換算式だけで決めた:換算式はあくまで推算で、薬剤ごとの最大用量・腎機能・適応年齢を代替できません。

この「赤信号チェック」を、疑義照会のテンプレとして持っておくと、“覚え方”がそのまま安全管理手順になります。


小児薬用量覚え方:独自視点「当直・休日の1分監査フレーム」で迷いを消す

検索上位で多いのは、換算式や一覧表の紹介です。ここでは独自視点として、当直・休日にありがちな「情報不足の処方」を1分で監査するフレームを提案します(このフレームは、どの換算式を使うかよりミス削減に効きます)。
【1分監査フレーム(メモ欄にそのまま貼れる形)】

  • 📝 体重:いつの体重か、保護者申告なら概算か。体重が無いなら年齢だけで決めず、可能なら確認する(体重が処方箋に載らない問題が指摘されている)。​
  • 🧮 用量軸:mg/kg/回かmg/kg/dayか、分割回数、投与間隔。
  • 📦 製剤:%表示→mg/g・mg/mLへ変換して、g/回・mL/回に落とす(%とmg/g・mg/mLの早見がある)。​
  • 🚫 上限:小児最大用量(mg/kg/dayなど)と、成人量を超えないかの両方を見る(成人超えの注意が述べられている)。

    参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5155058/

  • 📞 例外:新生児・低出生体重児・肥満など“標準体重換算が危ない群”を意識する(肥満小児の用量課題が論じられている)。​

【意外と効く工夫】

  • 「換算式を覚える」より、「最終的に出た投与量(g/回、mL/回)が現実的か」を自問する方が、ヒヤリハットを拾いやすいです。
  • 例えば細粒で“0.02g/回”のような極小量が出た場合、賦形・秤量・分包の実務上の限界が絡むので、施設内規や疑義照会の対象になりやすい、という観点で立ち止まれます(内規類は施設差が大きいため、院内規定に合わせてください)。

このフレームを回すだけで、「計算できる人」から「事故を起こしにくい人」へ変わります。換算式は、その中の“補助エンジン”として必要な場面だけ使えば十分です。


換算式・換算表(Young式・Clark式・Augsberger式・von Harnack換算表)のまとまり。
年齢・体重・体表面積の各換算式と、von Harnack換算表、体表面積が比較的有用という位置づけが整理されています
%製剤→mg/g・mg/mL早見と、体重換算一覧表。
Augsberger・Young・Clark等の換算式、von Harnack換算表、%からmg/g・mg/mLへの換算表がまとまっています