小児用量の「覚え方」で最初に決めたいのは、換算式を“主役”にしないことです。臨床では本来、添付文書・ガイドライン・施設プロトコルの小児用量(mg/kg、mg/kg/day)が優先で、換算式は「小児用量の記載が乏しい」「成人量しかなく目安がほしい」など限定場面の補助として扱う方が安全です(※換算式は簡便な推算であり、薬物ごとの小児薬物動態を反映しないことがあるため)。
それでも当直・休日などで“瞬時の目安”が必要になる現場はあります。そこで換算式は、以下の3つだけを「使う頻度順」ではなく「間違えにくい順」に覚えるのがコツです。換算式の代表例として、Young式・Clark式・Augsberger式が整理されています。
【最小限セット:覚える順番】
ここでの“覚え方”は、式そのものの暗記ではなく「使い分け条件」を一緒に暗記することです。つまり、年齢でやるならYoungかAugsberger、体重でやるならClark(ただし単位の罠あり)という棚卸しにしておくと、忙しい場面で取り違えにくくなります。
さらに意外と見落とされるのが、「体表面積(BSA)ベースが比較的有用」という位置づけです。体表面積は血液量を反映すると言われ、体表面積を基準にした計算が比較的有用と説明されています。
この背景理解があると、「なぜAugsberger II式や換算表がよく出てくるのか」が腹落ちし、丸暗記のストレスが減ります。
次に、現場で最も強いのは「体重換算の型」を作ることです。体重が分かるなら、換算式よりも mg/kg(または mg/kg/day)で処方意図を確認し、製剤量へ落とすのが王道です。
ただし、救急外来や問い合わせ対応では「体重が曖昧」「年齢しか分からない」ことが起こります。そんなときの“即答用”として、von Harnack換算表は強力です。代表的な比率として、未熟児1/10、新生児1/8、6ヶ月1/5、1歳1/4、3歳1/3、7.5歳1/2、12歳2/3、成人1という整理が示されています。
【覚え方(語呂ではなく形で覚える)】
ここでの注意点は、換算表はあくまで成人量からの比率であり、薬剤ごとの最大用量・禁忌・適応年齢を代替できないことです。実務では「比率で出した量」と「添付文書にある小児最大用量(mg/kg/day等)」を突き合わせ、どちらか低い方に寄せる、という安全側ルールが必要になります(施設内規での取り扱いを確認してください)。
【ちょっと意外な盲点】
体重換算を“正しく”やっても、処方監査でミスが出るのは「分割」「剤形」「測り方」です。つまり、1日量を正しく出しても、分3→1回量、細粒%→g/回、シロップ濃度→mL/回の変換で破綻します。そこで次のH3が重要になります。
小児は体重当たり用量(mg/kg)が基本なので、最後に必ず「製剤量」に直す作業が残ります。ここを苦手にすると、換算式をいくら覚えても実務スピードは上がりません。
一覧表では、%からmg/g・mg/mLへの早見が示されています(例:0.1%=1mg/g・1mg/mL、1%=10mg/g・10mg/mL、10%=100mg/g・100mg/mL)。
これを覚えておくと、細粒10%(100mg/g)なら「必要mg ÷ 100 = g」という一本道になります。
【変換の型(この順で固定)】
【例(計算の見本:細粒10%)】
この型に慣れると、「小児薬用量の覚え方」が暗記から作業手順に変わり、監査・疑義照会の説明も一貫します。さらに、%表示の早見は小児以外(成人の散剤・シロップ)でも汎用できるので、覚えた労力が無駄になりません。
小児用量で最も怖いのは「計算は合っているのに過量」になるパターンです。特に、体重が大きい小児(高学年)では、mg/kgで計算すると成人量を超える場合があり得ます。小児薬物動態の一般論でも、計算した小児用量が成人用量を通常超えないよう注意する趣旨が指摘されています。
また、年齢区分を“なんとなく”で扱うと、禁忌・適応年齢や投与間隔の判断で躓きます。小児の定義や区分は文脈により異なり得るものの、目安として新生児(出生後4週未満)などの区分を併記する考え方が示されています。
この区分の理解は、「同じ体重でも新生児は腎機能・肝機能が未熟で投与間隔が違う」など、体重換算だけでは救えないポイントに直結します(薬剤ごとの添付文書やプロトコル確認が必須)。
【監査の“赤信号”チェック(覚え方)】
この「赤信号チェック」を、疑義照会のテンプレとして持っておくと、“覚え方”がそのまま安全管理手順になります。
検索上位で多いのは、換算式や一覧表の紹介です。ここでは独自視点として、当直・休日にありがちな「情報不足の処方」を1分で監査するフレームを提案します(このフレームは、どの換算式を使うかよりミス削減に効きます)。
【1分監査フレーム(メモ欄にそのまま貼れる形)】
【意外と効く工夫】
このフレームを回すだけで、「計算できる人」から「事故を起こしにくい人」へ変わります。換算式は、その中の“補助エンジン”として必要な場面だけ使えば十分です。
換算式・換算表(Young式・Clark式・Augsberger式・von Harnack換算表)のまとまり。
年齢・体重・体表面積の各換算式と、von Harnack換算表、体表面積が比較的有用という位置づけが整理されています
%製剤→mg/g・mg/mL早見と、体重換算一覧表。
Augsberger・Young・Clark等の換算式、von Harnack換算表、%からmg/g・mg/mLへの換算表がまとまっています