ウルソデオキシコール酸の副作用の種類と発現頻度を解説

ウルソデオキシコール酸の副作用について、重篤な間質性肺炎から一般的な消化器症状まで、発現頻度と対処法を医療従事者向けに詳しく解説します。患者の安全管理に必要な知識を得られるでしょうか?

ウルソデオキシコール酸の副作用と安全性管理

ウルソデオキシコール酸の主な副作用
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重篤な副作用

間質性肺炎(頻度不明)- 発熱、咳嗽、呼吸困難を伴う

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頻発する副作用

下痢(1-6.88%)、消化器症状が最多

🏥
疾患別発現率

C型慢性肝疾患で最も高い副作用発現率

ウルソデオキシコール酸の重篤な副作用:間質性肺炎

ウルソデオキシコール酸において最も注意すべき副作用は間質性肺炎です。この副作用は頻度不明とされていますが、1998年の厚生労働省の安全性情報では、年間約280万人の使用者のうち3例の間質性肺炎が報告されました。
間質性肺炎の主な症状は以下の通りです。

  • 発熱 🌡️
  • 咳嗽(せき)
  • 呼吸困難
  • 胸部X線異常

症例報告の特徴

  • 投与開始90-180日後に発症するケースが多い
  • 骨髄移植後のGVHD治療中に発症した20代男性例
  • 薬剤性肝障害治療中の70代男性での再投与後の再発例

これらの症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置が必要です。

ウルソデオキシコール酸による消化器系副作用の詳細

消化器系副作用はウルソデオキシコール酸で最も頻繁に見られる副作用です。
頻度1-5%未満

  • 下痢(最多:1.91-6.88%)💧
  • 軟便
  • 便秘

頻度0.1-1%未満

  • 悪心(吐き気)
  • 食欲不振
  • 胸やけ
  • 胃不快感
  • 腹痛
  • 腹部膨満

疾患別の特徴

  • C型慢性肝疾患:下痢6.88%、軟便3.52%と最も高率
  • 原発性胆汁性肝硬変:下痢2.17%、比較的軽微
  • その他疾患:下痢1.91%、一般的な発現率

下痢は用量依存性であり、高用量投与ほど発現頻度が高くなる傾向があります。

ウルソデオキシコール酸の皮膚・過敏症反応

皮膚症状や過敏症反応も注意すべき副作用の一つです。
頻度0.1-1%未満

  • 掻痒(かゆみ):0.17-2.17% 🔄
  • 発疹:2.17%

頻度0.1%未満

  • 蕁麻疹
  • 多形滲出性紅斑等の紅斑

疾患別発現パターン

  • 原発性胆汁性肝硬変では掻痒・発疹がともに2.17%と比較的高率
  • C型慢性肝疾患では掻痒2.01%
  • その他疾患では掻痒0.17%と低率

これらの皮膚症状は一般的に軽微ですが、多形滲出性紅斑などの重篤な皮膚症状の場合は投与中止を検討する必要があります。

ウルソデオキシコール酸による肝機能検査値異常と血液系副作用

ウルソデオキシコール酸は肝疾患治療薬でありながら、肝機能検査値の異常を示すことがあります。
肝機能関連副作用(頻度0.1-1%未満)

  • AST上昇:0.14%
  • ALT上昇:0.14%
  • ALP上昇

血液系副作用(頻度0.1%未満)

  • 白血球数減少 🩸

その他の全身症状

  • 全身倦怠感(0.1-1%未満)
  • めまい(0.1-1%未満)

近年の研究では、ウルソデオキシコール酸がシスチンの取り込みを阻害し、グルタチオンの合成を障害することが報告されており、これが肝機能への影響の一因と考えられています。

ウルソデオキシコール酸服用時の特殊な注意点と禁忌事項

ウルソデオキシコール酸には特定の禁忌事項慎重投与が必要な病態があります。
絶対禁忌 ⛔。

  • 完全胆道閉塞:胆汁の排泄経路が完全に遮断されている状態
  • 劇症肝炎:急激な肝細胞壊死により症状が悪化する可能性

慎重投与が必要な病態

  • 重篤な膵疾患 🫁
  • 消化性潰瘍
  • 胆管内胆石

妊娠中の投与

  • 添付文書では「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい」と記載
  • 妊娠中や妊娠の可能性がある場合は主治医との十分な相談が必要

薬物相互作用

  • 糖尿病薬との相互作用
  • 制酸剤との併用による吸収への影響

用量調整の重要性
研究によると、28mg/kg/dayの高用量では原発性硬化性胆管炎において死亡率が2倍以上に増加し、肝移植適応となる症例が増加したため、北米での臨床試験が中止された事例があります。
厚生労働省の医薬品安全性情報:ウルソデオキシコール酸の間質性肺炎に関する詳細な症例報告と対策
Cochrane Reviews:ウルソデオキシコール酸の原発性胆汁性肝硬変に対する効果と安全性に関する系統的レビュー