えっ、女性のASTが29でも「異常あり」と出ることがあるんです。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、肝細胞障害の指標として臨床で頻繁に使われます。ですが、女性は男性よりも筋肉量が少なく、基礎的にAST値が低く出る傾向があります。そのため、「男女共通基準値40U/L」をそのまま使うと誤判定の恐れがあります。
例えば、ASTが35U/Lの女性を「正常」と判断しても、実際には初期の肝障害が始まっているケースも報告されています。これは日本肝臓学会でも2024年版ガイドラインで指摘されています。
つまり、男女差を考慮しないと診断の精度が下がります。
女性はASTが30U/Lを超えるだけで再検を検討すべきということですね。
日本肝臓学会ガイドライン(AST基準値に関する臨床基準)
AST上昇は肝疾患以外でも起こります。特に女性は、①鉄欠乏性貧血、②ダイエットや絶食、③サプリメント過剰摂取の3つが隠れた原因として多いです。
特にプロテインダイエット中の若い女性のAST上昇例が増えています。筋肉の分解によってASTが上がるため、「肝障害」と誤解されがちです。
また、鉄欠乏性貧血では、骨髄の再生過程でAST放出が起こるケースがあります。
つまり、AST上昇=肝障害とは限らないということですね。
この状況ではフェリチン測定も併用すると安心です。
AST/ALT比は、肝障害の原因を判断する重要な指標です。女性の場合、脂肪肝ではAST<ALTになる傾向が強く、逆にアルコール関連肝障害ではAST>ALTとなります。
具体的に、AST/ALT比が0.8以下なら脂肪肝を、1.5以上ならアルコール肝を疑います。女性で飲酒習慣がないのにAST>ALTの場合、自己免疫性肝炎(AIH)の初期サインの可能性もあります。
つまりASTとALTの比率を見ることで、疾患の方向性がつかめます。
女性の場合は特にAIHや甲状腺異常のスクリーニングも重要です。
日本肝臓学会 自己免疫性肝炎に関する情報
女性は年齢とともにホルモンバランスが変化し、AST値の平均も上昇します。40代後半以降では閉経に伴い肝機能負担が増加し、AST30〜35U/Lが「正常範囲内の上限」に近づくケースがあります。
一方、20代女性ではAST20U/L前後が平均です。
つまり年齢によってASTの見方を変える必要があります。
年代別にAST値をグラフで見直すと、早期異常の発見に役立ちます。
医療機関によっては、性別・年齢別AST基準値を独自に設定しています。これにより、女性患者の肝障害検出率が約1.5倍に向上した報告もあります。
一例として、東京都のある大学病院では「女性AST上限値を30U/L未満」に変更したところ、NAFLDの早期検出数が3割増加したそうです。
結論は、画一的な基準値では限界があるということですね。
臨床現場では個別基準の運用が鍵になります。