経過措置が終わっても、ジェネリックに切り替えるだけでは患者の尿酸値が悪化するケースが1割以上存在します。
ザイロリック錠100は、2022年8月に品質問題を理由に自主回収・出荷停止となりました。 原薬調達先の変更と製造工程の変更に伴い実施した安定性試験(溶出試験)において、全11ロットで規格を下回る結果が認められ、有効期間を通じた品質と有効性が保証できないと判断されたためです。 重篤な健康被害が発生する可能性はないとされていましたが、これが長期出荷停止の直接原因となりました。 hosp.yamanashi.ac(https://www.hosp.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/dibox1569.pdf)
ザイロリック錠50は溶出試験の問題こそなかったものの、100mgの代替需要が急増したことでメーカー在庫が消尽し、2022年12月に出荷停止となりました。 2つの規格が相次いで使えなくなるという異例の事態です。 hosp.yamanashi.ac(https://www.hosp.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/dibox1569.pdf)
その後、出荷再開の見通しが立たないまま、グラクソ・スミスクライン(GSK)は2025年2月に正式な販売中止を発表しました。 販売中止後は経過措置期間に移行し、ザイロリック錠50は2026年3月末、ザイロリック錠100も同様に2026年3月末をもって経過措置期間が満了となっています。 gifu-upharm(https://www.gifu-upharm.jp/di/mguide/salesupply/2g/ss1326402502.pdf)
経過措置とは何か、簡単におさえておきましょう。医薬品が薬価基準から削除される際、急な切替えで患者や医療現場が混乱しないよう、一定期間は旧薬でも保険請求を認める措置のことです。この期間が終了すると、保険診療での処方・調剤・請求がすべて不可となります。つまり期限後の処方は自費扱いになります。
2026年3月31日をもって経過措置期間が終了し、ザイロリック錠50・100は薬価基準から正式削除されました。 これ以降、万が一在庫が残っていても保険請求はできません。医療機関・薬局ともに在庫確認と処方オーダの修正が必須です。 low-cost-pharmacy(https://low-cost-pharmacy.com/%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E9%8C%A0%E3%80%812026%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%AB%E3%81%A7%E7%B5%8C%E9%81%8E%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E7%B5%82%E4%BA%86%E3%80%82%E4%BB%A3%E6%9B%BF/)
見落としやすいのは「電子処方箋」や「院内システムの薬品マスター」への対応です。処方元では薬品マスターから削除済みかどうかを確認し、調剤薬局では受付時のアラート設定を見直す必要があります。対応が漏れると、保険請求後に返戻・査定が発生するリスクがあります。返戻対応の事務作業は1件でも相当な負担になります。
また、経過措置期間中に在庫として残っていたザイロリックを患者に渡す場合も、期間満了後は実費請求しか認められません。患者への事前説明が不十分だと、突然の負担増でクレームに発展することがあります。
| 対応項目 | 期限・タイミング | 担当 |
|---|---|---|
| 薬品マスターから削除 | 2026年3月末まで | 医療機関・薬局 |
| 処方オーダの代替薬変更 | 経過措置終了前 | 処方医・薬剤師 |
| 患者への切替え説明 | できるだけ早期 | 薬剤師・医師 |
| 在庫品の請求停止確認 | 2026年4月以降 | 薬局・事務 |
これが基本の対応手順です。特に患者説明は早いほど混乱を防ぎます。
ザイロリックの後継として処方されるのは、同成分・同用量の「アロプリノール錠後発品」です。 2026年4月現在、複数の製薬会社からアロプリノール錠50mg・100mgが供給されています。薬価はいずれも1錠8円程度と先発品より低く設定されており、医療費の削減効果があります。 uchikara-clinic(https://uchikara-clinic.com/prescription/allopurinol/)
成分が同一だから切り替えるだけでよい、という認識は一部誤りです。剤形・錠剤の硬度・素錠かフィルムコートかの違いがあり、嚥下困難の患者や錠剤の大きさに敏感な高齢者では服薬コンプライアンスに影響します。切替え後の最初の来局時に確認する習慣が重要です。
また、アロプリノール後発品は複数メーカーが存在するため、薬局の採用品が変わることがあります。患者が「前と錠剤の色や形が違う」と感じても、成分は変わらないことを丁寧に説明しておくと、不必要な不安を防げます。これは地味ですが重要な対応です。
さらに注意が必要なのが用量の引き継ぎです。ザイロリック錠100→アロプリノール錠100mgへの変更では原則1対1の対応となりますが、処方内容の確認なしに変更すると、稀にダブルカウントや用量誤りが発生するケースが報告されています。必ず処方内容を照合してから変更してください。
アロプリノールは腎排泄型の薬剤です。eGFRが低下している患者では活性代謝物(オキシプリノール)が蓄積しやすく、重篤な副作用として知られるアロプリノール過敏症候群(AHS)のリスクが高まります。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/allopurinol/)
AHSは発症率こそ低いものの、いったん発症すると致死率が最大25%とも報告されており、侮れない副作用です。腎機能低下例では通常100mgから開始するところを50mg/日以下に減量し、慎重に増量するのが原則となっています。
eGFR30未満の高度腎機能障害患者では、アロプリノール自体を避けてフェブキソスタット(フェブリク)やトピロキソスタット(ウリアデック/トピロリック)への切替えを検討することが推奨されています。 フェブキソスタットへの切替えで83.7%の患者で著明な尿酸値改善が確認されたとする報告もあります。 腎機能障害例には特に有効な選択肢です。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/allopurinol/)
切替え時の実務では、eGFRの直近値を確認してから処方設計するのが最短ルートです。血液検査データが古い(3か月以上前)場合は、新規測定を依頼するか処方医へ確認を入れる一手間が、後のトラブル防止につながります。
| 腎機能目安(eGFR) | アロプリノール推奨用量 | 代替選択肢 |
|---|---|---|
| 60以上(正常〜軽度低下) | 通常量(100〜300mg/日) | アロプリノール後発品 |
| 30〜60(中等度低下) | 50〜100mg/日に減量 | フェブキソスタット検討 |
| 30未満(高度低下) | 原則回避または最小量 | フェブキソスタット/トピロキソスタット |
今回のザイロリック問題は、原薬調達先の変更というサプライチェーンの問題が引き金でした。 一見、特定メーカーだけの問題に見えますが、実は先発品に依存した処方設計全体に潜むリスクを可視化した事例です。これは医療現場全体への教訓です。 hosp.yamanashi.ac(https://www.hosp.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/dibox1569.pdf)
後発品が十分に供給されている成分でも、後発品の出荷調整が同時発生した場合には代替手段が一気に狭まります。ザイロリックの場合、アロプリノールの後発品も出荷調整となっており、処方医・薬剤師ともに代替品探しに追われたという報告があります。 hosp.yamanashi.ac(https://www.hosp.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/dibox1569.pdf)
医療機関として取り組める対策としては、①処方薬の薬価削除・経過措置情報を定期的に確認する仕組みを設ける、②特定成分に依存している処方数の多い患者リストをあらかじめ把握しておく、③代替薬への切替えパスを標準化しておく、の3点が有効です。
参考として、厚生労働省の薬価基準削除品目一覧は随時更新されており、医療機関での定期チェックに活用できます。
薬価基準から削除される品目の最新リストについては、以下の厚生労働省公式情報が参考になります。
厚生労働省「薬価基準から削除する品目について」(PDF)|経過措置品目の一覧と期限を確認できます
ザイロリックの販売中止・経過措置の詳細な公式案内はこちらから確認できます。
GSK「ザイロリック錠50および100 販売中止のご案内」(岐阜県薬剤師会DI資料)|販売中止時期と経過措置期間満了の具体的な日程が記載されています