アノーロエリプタは吸入ステロイドを含まないため、うがいは絶対に必要ではない。
抗コリン薬であるウメクリジニウムを含むアノーロエリプタは、吸入ステロイド薬とは成分が異なります。吸入ステロイド薬のうがいは口腔カンジダ症や嗄声(声がれ)を防ぐために「必須」とされますが、抗コリン薬については「必ずしも吸入後にうがいをする必要はない」というのが薬学的な整理です。
参考)医療関係者の方へ
つまり根拠となる添付文書上の記載がない、ということですね。
ただし、実際の臨床現場では話が変わります。適切に吸入できた場合でも、約80%の薬剤が口腔内に残ることが知られています。 うがいを2回行うことで90%以上の薬剤を除去できるというデータもあり、口渇・甘みや苦味などの不快感を軽減するためにもうがいは有効です。
うがいに注意すれば大丈夫です。薬剤師や看護師が患者へ指導する際は、「必要はないが推奨する」という一歩踏み込んだ説明が実用的です。
参考)https://www.fukujuji.org/wp-content/uploads/2017/02/kiyosedpi_shido171211.pdf
参考:エリプタ製剤の統一的なうがい指導方針について(東京病院・きよせ吸入療法研究会)
レルベア・アノーロ・エンクラッセ・アニュイティ【エリプタ】吸入指導資料(福寿会)
アノーロエリプタ吸入後のうがいには、「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」の2種類があります。正しい手順は、まず口腔内を洗浄するブクブクうがいを行い、次に咽頭・喉の奥を洗浄するガラガラうがいを行うという順番です。 それぞれ3回以上行うことが推奨されています。fukuoka.hosp+1
「どちらも同じでいいのでは?」と思われがちですが、役割が異なります。ブクブクうがいは口腔内(頬の内側・舌の上など)に残留した薬剤を除去し、ガラガラうがいは喉の奥(咽頭・喉頭)に付着した薬剤を除去します。2ステップで行うことで除去効率が上がるということですね。
うがいができない状況の患者には、口腔内をすすぐだけでも一定の効果があります。 また「食前に吸入して、食事で口腔内の残留薬剤を洗い流す」という方法も有効で、服薬アドヒアランスの向上と副作用軽減を同時に狙えます。rad-ar+1
| うがいの種類 | 目的 | 回数の目安 |
|---|---|---|
| ブクブクうがい | 口腔内(舌・頬内側)の薬剤除去 | 3回以上 |
| ガラガラうがい | 咽頭・喉頭の薬剤除去 | 3回以上 |
うがい後は必ず水を吐き出すことが条件です。 飲み込んでしまうと口腔内の薬剤が消化管経由で吸収され、全身への薬剤曝露が増えてしまいます。
参考:吸入後のうがいの方法と必要性についての解説(松本薬剤師会 吸入指導Q&A)
吸入指導連携 Q&A ─ 松本薬剤師会
アノーロエリプタには7吸入用(1週間分)と30吸入用(30日分)の2種類があります。 30吸入用を使用する患者でも、開封後は6週間以内に使いきる必要があります。これは添付文書には記載がなく、吸入器に同梱の説明書にのみ記載されている情報です。
意外ですね。添付文書を確認するだけでは気づけない情報です。
30吸入用であれば1日1回で30日分のため、余裕を持って使いきれます。しかし7吸入用を複数キット処方された患者が、未開封のまま長期間保管するケースでは問題が生じる可能性があります。指導時には「開封したら6週間以内」を必ず伝える一言が重要です。 患者が自己判断で「残っているから使える」と考えるリスクを防ぎましょう。
アノーロエリプタには明確な禁忌が2つあります。閉塞隅角緑内障の患者と、前立腺肥大による排尿障害がある患者です。 抗コリン作用により眼圧が上昇して緑内障発作を誘発するリスク、また排尿筋を弛緩させて尿閉を誘発するリスクがあるためです。carenet+1
これは問題ありません、では済まないケースもあります。潜在的な緑内障・前立腺肥大を持つ患者が自覚症状を医師に伝えていない場合、処方時点では禁忌が見落とされることがあります。 服薬指導の場面で「目に急な痛みが出たら即受診」「尿が出にくくなったら即受診」を必ず伝えることが医療安全上重要です。
また0.5%以上の頻度で報告される副作用として、頻脈・動悸・口内乾燥・排尿困難があります。 過量投与ではQT延長が認められており、1日1回を超えて吸入しないよう患者への念押しも欠かせません。carenet+1
参考:アノーロエリプタ添付文書・薬効薬理(ケアネット医薬品検索)
アノーロエリプタ30吸入用の効能・副作用 ─ CareNet
アノーロエリプタが採用する「エリプタ」デバイスは、カバーを開けるだけで薬剤がセットされるシンプルな構造です。 「勢いよく・深く」吸入することがポイントで、吸入後は苦しくない範囲で5秒程度の息止めを行います。 肺内への粒子沈着を十分に行うには5秒以上の息止めが有効とされています。city+2
5秒の息止めが基本です。
ただし、COPD患者は呼吸機能が低下しているため、息止めを強制すると苦痛を与えることがあります。 「苦しくならない程度に」という柔軟な声かけが、吸入継続率を高める上で重要です。また、マウスピースに息を吹き込んでしまったり、吸入前にデバイスに息をかけてしまったりするミスが多く報告されています。 練習用トレーナーを活用して吸気流速を確認することで、正確な吸入手技を習得させましょう。
参考:COPD患者向けアノーロエリプタ吸入指導チェックリスト(国立病院機構福岡病院)
吸入指導チェックリスト エリプタ製剤(福岡病院 薬剤部)