あなたが何となく選んだバイオシミラーで病院が年間数千万円単位で損しているかもしれません。
バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と高い類似性を持ちながらも、完全な同一ではない後続品として定義されています。 たとえば日本では、ソマトロピン、エポエチンアルファ、フィルグラスチム、インフリキシマブ、インスリングラルギン、リツキシマブ、エタネルセプト、トラスツズマブなど、9種類程度の有効成分についてバイオシミラーが承認されています。 2026年1月時点での一覧を見ると、同一成分に対して2〜4製品のバイオシミラーが並び、薬価や承認効能が微妙に異なっていることも分かります。 日本ではPMDAの専用サイトと厚労省資料が公式な「biosimilar drugs list」として機能し、承認年度や適応領域が整理されているのが特徴です。 つまり公的ソースを押さえることが第一歩ということですね。 biosimilar(https://www.biosimilar.jp/pdf/biosimilar_list.pdf)
一方、米国FDAは「Purple Book」で、2026年3月時点で75品目以上のバイオシミラーとインターチェンジャブル製品をリスト化しており、日本よりもラインナップがはるかに多い状況です。 欧米のリストと照らし合わせると、日本ではまだ未承認の参照製品(例:デュピルマブなど)もあり、疾患領域によっては「先行品しか選択肢がない」ことも珍しくありません。 これは、同じ疾患でも国によって治療薬の選択肢とコスト構造が変わることを意味します。意外ですね。 こうした国ごとの違いを理解することで、グローバル試験や海外ガイドラインを読む際の解釈もずれにくくなります。 pcubed(https://www.pcubed.jp/medicine/20250221-2611/)
日本で承認されているバイオシミラーの一覧は、都道府県レベルでも整理されており、山口県の資料では成長ホルモン、腎性貧血、好中球減少症など適応疾患単位でリスト化されています。 このようなローカル資料は、がん領域だけでなく腎疾患や造血器疾患など、普段オンコロジー以外を中心に診ている医療従事者にも有用です。一覧表を印刷すれば、病棟や外来における処方の見直しが一気に進みます。結論は公式一覧の定期チェックが必須です。 pref.yamaguchi.lg(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/228667.pdf)
日本で承認されているバイオシミラー一覧と適応症の整理に役立つ厚生労働省の解説資料です。
厚生労働省「バイオシミラーの基礎知識と使用促進に向けた取り組み」
バイオシミラーの最大のメリットは、先行バイオ医薬品に比べて薬価が低く、医療費削減に直結することです。 厚労省資料では、リツキシマブなどの先行品では年間薬剤費が数百万円に達する一方で、バイオシミラーを使用した場合には数十万〜百万円単位での削減が可能になるケースが示されています。 例えば非ホジキンリンパ腫患者を10人フォローしている病棟で、1人あたり年間薬剤費が300万円とすると、薬価が20〜30%低いバイオシミラーへ切り替えるだけで、年間600万円〜900万円のコスト削減が理論上見込める計算です。 病院全体では、がん、リウマチ、腎疾患など複数の領域でバイオシミラーを導入すれば、年間数千万円規模のインパクトも珍しくありません。 つまり薬価差は決して誤差レベルではないということですね。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001214918.pdf)
海外でも同様の傾向があり、米国ではアダリムマブ(Humira)のバイオシミラー参入により、保険者と医療機関の支出削減が大きく期待されています。 FDAのリストを見ると、アダリムマブだけで10種類近いバイオシミラーが承認されており、競争によって価格が下がりやすい構造になっていることが分かります。 クリーブランドクリニックの解説でも、トラスツズマブやベバシズマブ、ペグフィルグラスチムなど、複数の参照製品に対して複数のバイオシミラーが存在し、それらが慢性疾患治療の費用負担軽減に寄与していると説明されています。 保険制度の違いはあっても、「biosimilar drugs list を使いこなすことが医療経済のキードライバー」という構図は共通です。 my.clevelandclinic(https://my.clevelandclinic.org/health/treatments/biosimilars)
ただし、単純に「一番安いものを選べばよい」という話ではありません。日本の一部調査では、病院薬剤師の多くが「バイオシミラーの使用促進のためには、医師や看護師など医療スタッフ全体への情報提供がまだ不十分」と回答しており、安さだけを理由に切り替えることには慎重な姿勢も見られます。 ここで重要なのは、コスト削減のメリットと、安全性・有効性への信頼感のバランスです。コストだけ覚えておけばOKです。 具体的な薬価差と臨床データをセットで示す院内資料があると、チーム全体で合意形成しやすくなります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001214918.pdf)
薬価差や年間コストのイメージをつかむのに役立つ、日本のバイオシミラー普及と医療経済に関する解説です。
P-Cubed「バイオシミラー開発支援と情報発信におけるPMDAの取り組み」
臨床現場でよく議論になるのが、「先行品からバイオシミラーへ切り替えて本当に大丈夫なのか」という安全性と免疫原性の問題です。 米国がん協会の解説では、ベバシズマブ、リツキシマブ、ペグフィルグラスチムなど、がん領域のバイオシミラーについて、多数の臨床試験が実施され、全般的に有効性と安全性は参照製品と同等であることが示されています。 特にペグフィルグラスチムのバイオシミラーでは、好中球減少症の回復速度や発熱性好中球減少症の発生率に有意な差はなく、免疫原性プロファイルもほぼ一致していると報告されています。 つまりスイッチング自体は原則として安全と考えられています。 cancer(https://www.cancer.org/cancer/managing-cancer/treatment-types/biosimilar-drugs.html)
とはいえ、「原則として安全」という情報だけでは、多職種カンファレンスで納得してもらえないことも多いはずです。そこで有用なのが、具体的な製品名とデータを示した患者単位の説明です。例えば、リツキシマブからそのバイオシミラー(Truxima、Riabni、Ruxienceなど)へ切り替える場合、寛解維持療法として2年以上継続した症例群でも、再燃率や重篤な有害事象に差がないという試験結果が複数報告されています。 数字としては、グレード3以上の有害事象発生率が両群とも20〜25%程度など、ほぼ同等の範囲に収まっていることが示されており、これを示すと医師や看護師の不安はかなり和らぎます。 データを示すことが基本です。 biosimilarsforum(https://biosimilarsforum.org/approved-biosimilars/)
免疫原性に関しては、抗薬物抗体の発生率が1〜3%といった低頻度で、参照製品とバイオシミラーの差が統計的に有意でないケースが多く報告されています。 ただし、すべての製品で同じとは限らず、糖鎖構造の違いや製造プロセスの変更が感受性の高い患者群に影響する可能性が指摘されているため、長期投与例では定期的なモニタリングが望ましいとされています。 投与後数か月〜1年のフォローアップ時に、臨床反応の変化や新規のアレルギー症状がないかを意識して情報収集すると、早期に問題に気付けます。つまり慎重な観察が条件です。 そのうえで、疑わしい有害事象はPMDAや製造販売業者への報告ルートを整理しておくと安心です。 phrma-jp(https://www.phrma-jp.org/wordpress/wp-content/uploads/2020/08/Best_Practices_in_Drug_and_Biological_Product_Postmarket_Safety_Surveillance_for_FDA_Staff.pdf)
がん領域バイオシミラーの安全性やスイッチングに関する患者向け・医療者向けの分かりやすい解説です。
American Cancer Society「Biosimilar Medicines」
バイオシミラーの普及は、個々の医師の処方だけでなく、チーム医療と地域連携の設計にも影響を与えます。 厚労省の調査では、病院薬剤師の多くが「医師、薬剤師以外の医療スタッフへの情報提供」がまだ不足しており、結果としてバイオシミラー使用の判断が一部の専門家に閉じてしまっていることが指摘されています。 地域包括ケアの現場では、退院後に在宅医や診療所へ処方が引き継がれる中で、「先行品からバイオシミラーに変わった理由が共有されていないために不安が生じる」といった声もあります。 これは、実際の薬効に問題がなくても、情報不足による心理的ハードルが導入のブレーキになっている典型例です。痛いですね。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001214918.pdf)
こうした状況に対して有効なのが、「施設ごとのbiosimilar drugs list の方針」をA4一枚程度でまとめた院内資料です。例えば、「リツキシマブは新規症例は原則バイオシミラー、継続症例は主治医と相談のうえスイッチング」「インフリキシマブは新規・継続ともにバイオシミラー推奨」など、薬剤ごとに方針を明記しておくと、当直医や転入してきたスタッフにも判断基準が共有しやすくなります。 この資料に、先行品とバイオシミラーの薬価差や、国内での使用実績(例:何例に投与し大きな問題はなかった、などのローカル情報)を併記すると説得力が増します。 つまり運用ルールの可視化が大切です。 pcubed(https://www.pcubed.jp/medicine/20250221-2611/)
地域連携の観点では、基幹病院と周辺クリニックが同じ成分のバイオシミラーを採用することで、在庫管理や患者説明がシンプルになります。 例えば、基幹病院で開始したインスリングラルギンのバイオシミラーを、かかりつけ医でも同じ製品で継続できれば、患者のお薬手帳もわかりやすく、薬局での在庫負担も軽減されます。 逆に、同じ成分で複数のバイオシミラーが乱立しすぎると、名称の違いから投薬過誤リスクが高まる可能性も指摘されています。 ここでは、「選択肢を絞って標準化する」という戦略が有効です。標準化に注意すれば大丈夫です。 phrma-jp(https://www.phrma-jp.org/wordpress/wp-content/uploads/2020/08/Best_Practices_in_Drug_and_Biological_Product_Postmarket_Safety_Surveillance_for_FDA_Staff.pdf)
日本の医療現場におけるバイオシミラー普及の課題と、医療従事者への情報提供の実態をまとめた資料です。
厚生労働省「バイオシミラーの基礎知識と使用促進に向けた取り組み」
最後に、検索上位にはあまり出てこない「自施設仕様のbiosimilar drugs list を作る」という視点を紹介します。公式の承認一覧は有用ですが、そのままでは日常診療の判断に直結しにくいことも多いはずです。 そこでおすすめなのが、自施設のレセプトデータやDPCデータをもとに、「よく使う先行バイオ医薬品ベスト10」を抽出し、そのうちバイオシミラーが存在するものだけをピックアップしたローカルリストを作成するアプローチです。 これなら、日々の診療でよく処方する薬剤から優先的に切り替えを検討でき、インパクトも分かりやすくなります。これは使えそうです。 biosimilar(https://www.biosimilar.jp/pdf/biosimilar_list.pdf)
例えば、腫瘍内科と膠原病内科、小児科がある中規模病院であれば、トラスツズマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプトなどが「よく使う先行バイオ医薬品」に入ることが多いでしょう。 それぞれに対応するバイオシミラーを、国内の承認リストと照らし合わせて表形式にまとめ、「薬価差」「自施設の使用例数」「主な適応」「スイッチングの可否」といった列を追加していきます。 この表を年1回更新するだけでも、院内の処方傾向と医療費の関係がかなり見える化されます。つまりローカルリストの更新が原則です。 my.clevelandclinic(https://my.clevelandclinic.org/health/treatments/biosimilars)
さらに一歩進めて、電子カルテやオーダリングシステムにこのローカルリストを組み込むと、処方時に自動で「先行品→バイオシミラー候補」をサジェストできるようになります。 リスクとしては、強制的な自動切り替えは適応外使用や患者の希望を無視するおそれがあるため、「候補を提示して、最終判断は医師が行う」設計にとどめることが重要です。 実装の際には、情報システム部門と薬剤部門が協力し、誰がどのタイミングでリストを更新するかを明確にしておくと運用が安定します。更新担当を固定することが条件です。 pcubed(https://www.pcubed.jp/medicine/20250221-2611/)
自施設のローカルリスト作成や更新の参考になる、PMDAのバイオシミラー承認一覧と関連情報のポータルです。